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第2回ヴィーノサローネ試飲会&即売会を終えて

Vol.036
2023年11月11日。ヴィーノサローネの第2回試飲会&即売会を開催しました。今回もサルト銀座店の協力を得て、同店2階を会場としてお借りしました。また、あらたな試みとして、ワインの即売もやってみました。

試飲会は前回同様、2回にわけての展開です。
15時と17時、それぞれ1時間半ほど。
試飲したワインは、ヴィーノサローネが販売する白ワインの2種「スキオペット」と「カンテ」に、主が個人的にストックしたトスカーナ州のロゼワインを加えて計3種類です。本来は、ロゼワインではなく、販売中のオレンジワイン「パラスコス」をラインナップするつもりでしたが、在庫が少ないため、手持ちの秘蔵のロゼワインに替えました。

ワイングラスを片手に、主がトークを挿んで、試飲会を進めます。
「イタリアワインの近代化」「なぜヴィーノサローネは、白ワインの販売にこだわるのか」「イタリアファッションの近代化とは、いつか」……。ワインとファッションの歴史を探り、それぞれの共通点も話します。よりリアルに“ワインとファッションとのであい”を体感してもらうことも、試飲会の狙いです。

今回は、参加費の徴収も試みました。男性/1,500円、女性/無料。女性は試飲会後の、ワインの購入に負担がないように無料としました。いわば、女性参加者への“えこひいき”です。
結果的に参加者数は、15時の会が7名(うち男性1名)、17時の会が5名(うち男性3名)。2回とも同じ内容のトークでしたが、15時の会と17時の会では、ワインの注目の仕方が違っていました。

まず、15時の会。
この会は、土着品種が注目されました。
ヴィーノサローネは、土着品種の紹介も大事なテーマにしています。なぜなら、イタリアワインの魅力のひとつが土着品種にあると考え、販売するワインを選んでいるからです。
イタリアには、およそ2,000種の土着品種が存在する、といわれています。「スキオペット」と「カンテ」のワイナリーを構える、北イタリアのフリウリ=ヴェネツィア・ジューリア州にも独特なブドウがあります。「スキオペット」は、フリウラーノという土着品種、「カンテ」は、ヴィトフスカという土着品種でワインを造っています。

参加者のあいだで、それぞれのブドウの香り、風味、味わいの違いが徐々に共有され、場の雰囲気に一体感が生まれたのが15時の会でした。
特に「スキオペット」は、ヴィーノサローネにとって重要な位置を占めるワイン。遡れば1960年代、イタリアにおける革命的な白ワインの主役が「スキオペット」であり、その象徴がフリウラーノなのです。

一方の「カンテ」は、ヴィトフスカ特有の繊細な酸を残し、ミネラルをたっぷりと含んだ、まるで“岩清水”のような口当たり。「カンテ」のワイナリーは、フリウリ=ヴェネツィア・ジューリア州の州都トリエステからほど近い、カルソという地域に構えています。その場所は、石灰岩に覆われた土壌のためミネラルが豊富で、テロワールの特性が見事に反映されたワインになっています。
参加者すべての方がはじめて味わったヴィトフスカ。みなさんの表情をみると、取りつかれた様子でした。

続いて、17時の会。
土着品種への注目は、この17時の会でも、すべての参加者から伝わってきました。そして、「スキオペット」のエチケットに施された図柄や色使いの説明にも、かなり関心を示していました。
ヴィーノサローネのInstagramをみていただくとわかると思いますが、エチケットのデザインは、ワイナリーの哲学や歴史が表現されています。つまり、エチケットをよくよくみていくと、ワインの歴史やワイナリーのこだわりが読み取れるのです。

「スキオペット」のエチケットにデザインされた紋章を解読し、強く印象に残る黄色の意味を「これはハプスブルク・イエロー」です、と主が説明すると、「おぅー」という大きなため息がもれました。
かつて、フリウリ=ヴェネツィア・ジューリア州は、オーストリア=ハンガリー帝国の領土で、いうなればハプスブルク家領の最後の地域に含まれていました。それが、1918年、第一次世界大戦の敗北で帝国は解体され、イタリアに編入。そんな時代背景から、「スキオペット」の初代当主のマリオ・スキオペットさんが、ハプスブルク家へのオマージュを込めて、鮮やかで気品あふれる「ハプスブルク・イエロー」をエチケットに選んだのです。

この鮮やかな黄色を「ハプスブルク・イエロー」と呼びます。
まさに気品あるれるイエローです。

終わってみれば、試飲会後の即売も大好評でした。そこで、主が実感したのは、ワインの造りや味わいを参加者のみなさんと共有することや、ワイナリーの歴史や産地の環境も、うまく伝えられると購買に繋がることでした。これはECサイトでは実現できない、試飲会ならではのライブ感にあることがわかりました。

次回の“ディアリオ ヴィーノサローネ”に続きます。

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