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「君たちはどう生きるのか」思ったことそのまま感想 *ネタバレあり

宮崎駿監督最新作「君たちはどう生きるのか」、公開初日に観てきました!!



唯一の事前情報が「冒険活劇」ということで楽しみにしていましたが、う~ん、”活劇”感はやっぱりラピュタには負けるかな。
飽きることなく話は進むんだけど、序盤がゆっくりミステリー風に進んで、後半は一見では理解しがたい世界をコロコロ場面展開しまくるので付いていくのに必死(;^_^A。なので活劇というにはテンポがちょっと歪かな。
あと勧善懲悪的な爽快感、見終わってスッキリするカタルシスもあるようなな無いような…アレは何だったんだ?っていうモヤモヤはいっぱい残るので「冒険活劇」というよりも、私的には「冒険ミステリーファンタジー」って感じでしょうか?


セルフオマージュ満載!

とにかく全編に宮崎監督のセルフオマージュを思わせる描写が散りばめられていた。未来少年コナンを子供の時に観て、ナウシカ、ラピュタを劇場で見てきた世代としては嬉しくなる、フフッと微笑みたくなる場面がいっぱい。

私が、これってアレのオマージュ?この感じはあの場面を彷彿とさせるな~というのは…

・最初の病院の火事の場面。二階の窓から火事を見る真人の顔の前に火の粉が流れる。
→ラピュタで、墜落したロボット兵が暴れ出して火の粉が舞う塔からフラップターに逆さ吊りになったパズーがシータを助ける時の火の感じに似ていた。
あと、人ごみをかき分けて疾走する演出にどこかデジャブ感があるな~と思っていたけど、あれ、高畑監督の「かぐや姫の物語」の姫が疾走するときの感じに似てるんだなと気が付いた。

・時代的には戦中。
→「風立ちぬ」の時代と重なる感じですね。

・7人のおばあちゃん達
→ポニョの老人ホームのおばあちゃん達とか、ジブリ作品歴代のおばあちゃんキャラを集めた感じ。
(最初、缶詰とか食料に群がる感じがちょっと怖くて、田舎の老婆の集団…横溝正史の作品的なホラーなのか?ってビクビクしてました(;^_^A)
寝てる真人を見守る6体の人形の婆ちゃん+若返った婆ちゃん=7人の小人的な?白雪姫?なんてことも思ったりw

・お父さんの軍需工場から戦闘機のコクピットのガラス部分を連なって運んで家の中にズラ~っと並べるところ。
→あの形、王蟲に似てるな~と思いました。王蟲が並んで行進して、ズラ~っと並んでるナウシカの場面がすぐ浮かびました。

・塔の中にトンネルで入っていく所。
→あれはやはり「千と千尋」トンネルですよね。あそこが異世界への入り口という共通点。

・キリコさん(だっけ?一人若返ってたおばあさん)と一緒に舟に乗っての波の描写。
→あの大きな波の感じはポニョを彷彿としました。ちょうど絆創膏も取れて、頭半分刈り上げ頭になった真人が大きくなった宗介に見えたのは私だけ?

・塔の中の色んな世界に繋がってる
→あれはハウルの家にあるいろんな所に繋がる扉っぽいなと。ハウルのは一つの扉がカチッと装置が回って行き先が変わる感じでしたけど。

・ヒミ様の登場の仕方が火の中から出てきたところ。
→ちょっとカルシファー味があるな~とw

・ヒミ様が花火を上げてペリカンを追いやっていた場面。
花火を眺める描写がハウルで星が花火みたいになるところをハウルとソフィーで眺める場面っぽいな~と。

・ヒミ様を二人?二羽?のインコがカプセル棺みたいので運ぶところ。
→ハウルで荒野の魔女の御輿を担ぐ従者感があった。

ワラワラ
もののけの木霊をもっとかわいくアップデートした感じ。
(あれは絶対キャラクターグッズで儲けてやろうっていうキャラだろうなwでもムッチャ可愛かった。ぬいぐるみ欲しいッ!!)
あれが螺旋状に上がるのは螺旋構造のDNAから来てるんですかね?

・最後の異世界が崩壊してそこから逃げ出すところ。
→あれもラピュタの「バルス」後な感じでしたかね。

・ヒミ様がバターたっぷりジャムたっぷりのトーストを御馳走してくれるところ。
→トロトロ目玉焼きがのったパズーのパンを彷彿としました。

まだまだ色々あったけど、とりあえず思い出せたのは今のところこれくらいかな。


謎のままなこと

まず、アオサギ!!

結局お前は何者やねん!!っていうのが最後までわからなかったw
最初はアイツが消えた大叔父様の変わり果てた姿なのかと思っていたんだけど…違った!あいつは何者だったんだろう?

でも鑑賞後に思ったことは、主人公が宮崎監督を投影させた人物だとすると、主人公・真人とケンカばかりしながらも最後には友達だというハゲたオッサン…
あれは…鈴木敏夫Pの投影されたキャラ!?とビビッと来ました。

ググってみたらそういうことを既に言及しているサイトもありました。
アオサギって、クロサギとかアカサギとか詐欺師の種類で言ったら何になるんだろう?と思って調べてみたら…企業を騙す詐欺師だそうな。

ウン、確かにプロデユーサーって、企業相手に色々騙して…っていったら語弊があるが(;^_^A、上手いこと言っていっぱい出資して貰う、お金集めるのが主な仕事だし、あながち間違ってないw

また別視点で見ると、企業=ジブリ自体と捉えると、ジブリのお金で懇意のタイ人女性を優遇しまくってる報道のあった鈴木P…あながちそれも間違ってないかもwww

アオサギは鈴木Pへのジョークとして、じゃあペリカンやインコは何を意味していたんですかね?裏の意味があるのかな?花言葉みたいに鳥言葉みたいなのある?

金の門と巨石

地獄?塔の床から落ちて行った世界にあった金色のゲートと石舞台古墳みたいな石室?巨石遺跡みたいなところ。
何か怪物がいるみたいなこと言っていたけど、あれは何だったんだろう?結局怪物も出て来なかったし。”後ずさりしながら去る”っていうのも何か意味がありそうだったけどわからず仕舞い。

ツイッターだったかな?でチラッと見たものに、ダンテの「神曲」をベースにしているという意見を見かけた。ダンテの「神曲」も地獄を巡る物語なので、最初の金色のゲートは「地獄の門」だったということなんでしょうかね?

突然現れた扉

大叔父様のいる場所に行くときに、だだっ広い大広間みたいなところを横切っていたけど、真人の最初の夢の中(?)とインコ大王が行った時はそのまま横切っていた。でも最後に真人とアオサギが行った時は手前に扉が現れてそっちに入って行った。どうして急に扉が現れたんだろう?

ナツコさんはなぜ塔に?

ナツコさんはなぜ塔に入って行ったのか?そして紙垂みたいのがいっぱい垂れたあの部屋で子供を産まさせられようとしていたってこと?
インコたちはその子供が欲しかったのか?子供共々食べたかったのか?何がしたかったのか?

インコ大王とインコ軍団

彼らは何だったんだろう?大王は子分たちと惜別して、あの積み木を壊すことを最初から目指していたのか?でも大叔父様に世界を維持して貰いたがっていたような…???

大叔父様と黒い物体

大叔父様は神というか創造主的な感じだったから、あの人物も宮崎監督なんだろうなと思いました。世界を創造するアニメーター、クリエイター。そして真人もその血筋ということでクリエイターである宮崎監督自身の部分もありつつ、新しい世代のクリエイターを表しているってことかな。

新しいクリエイターが古いクリエイターの世界(宮崎監督が作ったアニメ界の枠組み)をそのまま引き継ぐのではなく、そんなものはぶっ壊して自分たち自身の新しい世界を作って行けばいいんだよ…という監督の若いクリエイター達へのメッセージなのかな~と。

でもあの頭上に浮いていた黒い岩の塊みたいなのは何だったんだろう?

透けた人たち

キリコさんと舟で着いたところにいた体がちょっと透けたような人達。
魚を自分達では獲れない、買い出しに来ているとか言っていたけど、あれも何かのメタファーっぽい。

あの魚がシーラカンスっぽい古代魚風だった。あれは古い世界の生き物。古い創作物ってことなんですかね?自分達では獲れない人々=自分達では作り出せない人々=クリエイターではない一般的なアニメ視聴者…的な?古い宮崎作品をいつまでも消費してるだけの視聴者=実体のない有象無象的な?

その古い世界の生き物を、ブスっと切り裂いて料理して食して血肉にする。
これは古い創作物(宮崎作品など)をガンガン料理して自分たちの血肉にして生きていけよ若いクリエイターたちよ!っていう監督のメッセージなのかな?

ばあちゃん達の人形

机の下でばあちゃん達の人形に囲まれて寝ていた真人。
キリコさんはお前を守ってくれているから動かしたらダメだと言っていた。

でも真人、ちょっとだけ触って動かしてたよね?アレは何かの結界を壊したちゃったの?でも何か変化があったようには見えなかった。そもそも何から守っていたの?よくわからんかった。
(というか、どうしてわざわざ人形の上を跨いで倒しそうになりながら机の下から出てくるのか…。人形置いてない方向から出ればいいのにって、ちょっとイライラ、ヒヤヒヤしましたw)

そしてキリコ婆さん人形をお守りと言って渡されて、ずっとポケットに入れていたけど何かから守って貰っていたのだろうか?何の活躍する場面もなく元の世界に戻って来てからポケットから婆さんに実体化しただけだよね?

七番目の風切羽

アオサギが落とした七番目の風切羽で弓の矢羽根を作った真人。
どうして射った矢がアオサギを追跡したのか?自分の羽根がどうして敵対するようになったのか?不思議。どんな魔力なんだろう?


どうでもいい感想をつれづれと


上記のように謎のまま説明もなく進むことが多い。
あれは何だったんだろうと考えてる暇もなく次の何なんだコレは?がやってくるので、今は考えずにとにかく物語についていくしかない!って感じで進んで行ってしまう映画でした。

最初はミステリーっぽく、謎のアオサギが発端になるのはわかるけど物語がどう展開していくのか全く先が読めないのでその部分はワクワクしながらずっと見ることが出来、楽しかった。

あと宮崎作品のオマージュも散りばめられているし、奇妙で魅力的なキャラ達も次々と出てくるし、そういう意味でも飽きなかった。

主人公・真人くん。彼が何歳くらいなのかがよくわからなかった。
最初の火事の時で、お父さんの腰ぐらいまでしか身長が無かったから小学生低学年ぐらいかと思ったけど、田舎に来てからは高学年、11歳くらい?だったのかな?
でもそれにしたら声が完全に声変わりした青年の声だったのがちょっと違和感。パズーと同じくらいの年齢に見えたから、もっと田中真弓さんみたいな声の人が良かった気がする。

真人父のキムタクもなんかやっぱりキムタクだったな。他の俳優声優さん達は全然その人たちの顔が浮かばなかったけど、キムタクだけはすぐキムタクが浮かぶんですよね。

アオサギの菅田くんはわからなかったなぁ。菅田くんだと思って聴いてみようとしたりもしたけど、すぐアオサギってキャラの強さが菅田将暉を打ち消していた。お見事!

ヒミ様と真人が抱きついたりする場面で、何か二人の間に母子愛より男女間の愛っぽいものを少~しだけ感じたのは私だけ?どうしてもパズーとシータをオーバーラップしちゃってたからかな?

”男児が母親を愛して父親を憎む”ってのは「オイディプス・コンプレックス」でしたっけ?ギリシャ神話から来る「父親を殺して母親を独占したい」という願望。
真人は母親であるヒミ様を助けて、別に憎んでるわけじゃないけど最後に創造主である大叔父さんを滅ぼすってのは、なんかそういう感じなんですかね?

あと真人くんが自分で頭に傷をつくる。あれは大怪我したことにして学校を休もうとしたってことなんでしょうか?
引きこもりとか、現実社会から逃げてネットやフィクションの世界に逃げがちな若者を真人くんで表して、そういう若者に「どう生きるべきか」を説くということだったんですかね?

いまを生きる若い人たち、若いクリエイターたちへの宮崎監督からのメッセージ映画だというのが大方の感想ではないでしょうかね。私もそう受け取りました。
ただわかりにくい!!この辺をもうちょっと私みたいなアホでもわかるように嚙み砕いて示してくれたらな~とはやっぱり思う。そういうアホの視点も取りこぼさない優しさは高畑勲監督はあるけど宮崎監督は稀薄なんですよね。アホでもわかるように簡単な言葉で説明してくれる高畑監督と、専門用語や難解な言葉で説明する天才宮崎監督といった感じ。

そういうメッセージを内在しつつも、そういう部分を汲み取れない層でも表面的に起こっている事象を追っているだけでモヤモヤすることなく楽しめる作品であって欲しいって言うのが私の勝手な希望であったりします。

例えば2層構造で、一層目はラピュタ的に次々に起こる事象のジェットコースターで絶えずエキサイティング感を維持して、そこだけ観てても十分完結してて楽しめる。特にモヤモヤ要素はない。
そして二層目に、いろいろなクリエイター側のメッセージが織り込まれている層がある的な作品。その層に気付く人はいくらでも深堀して楽しめる。

「君たちはどう生きるのか」はその2層構造がクッキリ分かれているのではなく、二層目が一層目に、異世界に入った辺りからゴチャゴチャに食い込んで混ざってくるのでわかりにくい。その辺をうまく切り離して理解できる人じゃないと「何なんだ、アレは?」と当惑する作品だと思う。

一層目だけでちゃんと完結出来ていれば子供も含め多くの大衆が楽しめる娯楽作品になるんだろうけど、説明の無いモヤモヤ部分が多いので「理解出来ない=悪いこと」と捉えがちな人からは不評を買う部分もあるでしょうね。

一方で「理解できない=不思議で面白い」と捉えることも出来る頭の固まっていない子供達には案外人気が出る部分もあるように思う。ワラワラとかは子供が好きな”不思議でカワイイ”の権化みたいなキャラでしたしw

ということで、今後いろんな方の考察とかでより理解を深めて行けたらなぁ~と思います。(岡田斗司夫さんの動画が出るのが楽しみw)

とりあえずの評価としては
作品ストーリー単体で見ると10点満点中で6~7点…かな。
そこに子供の時から見てきた宮崎作品へのオマージュとそれへのノスタルジー、魅力的なキャラ造形で+2点結果8~9点といったところでしょうか。

でも面白かったのは事実。
この場面の意味は何だろうと何回も見る度に思うだろうし、リピートしたくなる作品なのは確か。金ローで放送してたらついつい観始めて、引き込まれて最後まで観ちゃうのは間違いない気がしますw

あと主題歌の米津玄師「地球儀」。
別に本編でも泣くというようなことはなかったのですが、最後にエンドロールでこの曲がかかっているのを聴いていたら、なぜか急に込み上げてきてウルっと来てしまいました。彼の声が妙に心の琴線に触れる声なんでしょうかね?加えて最後の宮崎作品になるかもしれないという切ない想いが、胸の中でこの曲と一緒に響いた…そんな感じがしました。

アッ、あと最後の終わり方がヤケにアッサリしてましたね。
どうせならエンドロールの後ろで、車か汽車の車窓から真人が外を眺めていると、映画の中で登場してきた鳥たちが追いかけるように飛んでいる…みたいな描写があってもよかったのにな~。
映画としての余韻はあるけど物語としての余韻は全くなかったw


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