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高齢出産は自己満足なのか

こんにちは。菫青石です。

いつもは漫画の話ばかりしているのだが、今回はずっと気になっていた高齢出産について書きたいと思う。
このテーマは批判や議論の的になりがちだが、それでも敢えて書いてみたい。

⚠私の勝手な意見です。高齢出産についての意見も、あくまで私が調べたり聞いたりした範囲での意見です。
⚠まとまりがなく、長い記事です。

① 私の姉は高齢出産

私の姉が高齢出産し、数年が経つ。
結婚10年目にしての妊娠、出産であった。
アラフォーで出産し子どもは問題なく育っているのだが、高齢出産への風あたりが思っていたものと違ったのでこの記事を書こうと思ったのだ。

② 前の職場での話

ここで一つ、私の前の職場での話を聞いて欲しい。
社内結婚することになった他部署の男女カップルが、私の部署の先輩に結婚の報告と婚姻届の証人になって欲しいと依頼するためにやってきた。
女性(仮にAさん)は40歳を少し超えている年齢で再婚、男性(仮にBさん)はAさんより10歳以上年下で初婚であるらしい。

私は同じ会社で働いていながらほぼ面識のない2人だったので「おめでとうございます」とだけ伝え、先輩が話し出すのを待っていた。
先輩はAさんに向かって開口一番、
「あんたはもう子どもが産める年齢ではない。Bさんは初婚で若い。ここであんたが身を引いて、Bさんが子どもを産める年齢の女性と結婚するのを願うことが本当の愛。私はこの結婚に反対だから、証人にならない。」と言った。

私はかなり驚いた。

Aさんは泣き出し、Bさんは無表情で「お忙しいところ、失礼しました。」と言ってAさんを抱えるようにして去っていった。

2人は子を望んでいたのかそもそも不明だが、その後ちゃんと入籍はしたと噂で聞いた。

先輩は50代の女性。
結婚も離婚も2回しており、お子さんが3人いる。
2人が去ったあと先輩は私に
「厳しい発言だと思ったかもしれないけど、きっと結婚してから後悔する。もし子どもが出来ても高齢な母親は育児に適さないし、子どもが出来なかったら結局男性が離婚を切り出すはず。男性側は絶対に子どもを欲しがる。男性側も高齢ならまだ諦めがつくかもしれないけど。」

私は返答に窮してしまった。
ただ、溢れる笑顔で入って来たAさんの号泣した顔が今でも忘れられない。

姉が出産したのは、この時期と同時期である。

③ 私と私の周囲の意見

私は姉が出産するまでは高齢出産に関してそこまで深く考えたことはなかったと言うのが本音だ。
以下に私が初期(姉の出産前)に抱いていた高齢出産へのイメージや意見を書いてみた。

◎ 体力的に若い頃より大変かもしれないが、頑張って育てて欲しい。

◎ 遅くに産まれた子どもだから、特に大事にされそう。

浅い かつ偏見が含まれている意見だが、素直な意見を書いてみた。

私自身はというと、結婚さえしていないが周囲は子ども有りの既婚者だらけ。
私が姉の出産を周囲に伝えたとき、一応、みんなまずは「出産おめでとう」と言ってくれた。
そして次のような言葉をもらったのだ。

「あなたのお姉さん、授業参観のとき気をつけなきゃね。今のママさん、みんなオシャレだから若く見られるようにするだけじゃなくオシャレにも気をつけて。」

「若いママさん達と話をあわせる努力をしないと。結構大変だけど、頑張ってって伝えておいて。」

「失礼だけど…障害とかは大丈夫だった?」
(高齢出産だと障害を持って産まれてくる確率が上がるので、障害児でないのかを聞いているのだと思う。)


「頑張って」とかも言ってくれるしアドバイス的に取れる意見かもしれないが、私はなぜかこの時、複雑な気持ちだった。
自分でもよくわからないが嫌な気持ちというより、複雑な気持ち…。

「私の知り合いにも高齢出産した人がいるけど、旦那さんが定年する頃、子どもがまだ高校生でお金ですごく苦労してたよ。」
とだけ言ってきた人もいる。

姉夫婦の経済事情を心配してくれているのだろうし高齢な人が子どもを産んだ時のシビアな現実だと思うのだが、素直にそう受け取れない自分がいた。

姉自身も周囲から同じようなことを言われたらしくかなり落ち込んでいた時期があったが、元々が私と違って強く明るい性格なので今では受け流しているようだ。
でも、本当に受け流せているのかなぁ…と強く疑問はある。

次に、こんなこともあった。

会社の休憩時間にテレビで芸能人の高齢出産がニュースになっていた。
たまたま私に姉がいることさえ知らない人達ばかりだったからか、他の同僚達は口々にこのニュースに関して意見を言っていた。

「子どもが少し大きくなった時に、子どもの友達からおばあちゃんって思われるだろうから可愛そう。芸能人だから他の人よりはキレイで若く見えるだろうけどね。」

「一人っ子になる可能性が高いし、親も子どもが若いうちに亡くなってしまう。芸能人だから資産はそこそこ子どもに残すだろうけど、天涯孤独になる可能性が高いから子どもが可愛そう。」

「芸能活動も続けるとか言ってるけど、高齢で仕事もして育児も務まると思っているなんて、育児舐めすぎ。」

「実際、私がそうだったけど高齢出産の母親がいるとママ友の集まりで話があわない。ものすごく高齢ママに気を遣う。」

バチバチにリアルな意見が飛び交っているな、と思った。
姉を思うと悲しくなったが、リアルな意見を聞くことができた、と思うようにした。
実際、このときくらいからこの問題に関して深く考えるようになった気がする。

④ ネットの意見

では次にネットでの意見である。

ネットでも高齢出産には「厳しい意見」が多い印象がある。

少子高齢化が問題となり、晩婚や不妊治療の保険適用問題(令和4年4月から適用決定)なんかもあって世間的に高齢出産への関心が高まりだした頃、メディアでもこれらが取り上げられることが多くなっていた。

これらのネット記事は私の偏見覚悟で言わせてもらうと、だいたい 
コメント欄が荒れる = アクセス数が稼げる からだろうか、非常に多い気がする。(あとは老後資金関連の記事)。

実在するかもわからない高齢夫婦が登場するこの手の記事は、たいがい結末もハッピーではない。
成人した高齢出産の子も登場したりすると、さらに記事の内容は悲惨さを増す。
授業参観に来た親を、友人からおばあちゃんって言われて恥ずかしいし悲しかったとかのエピソードが追加されるからだ。


私は自分の姉のこともあってネットでさらに調べてみたことがあった。
その時は以下のようなサジェストだったと記憶している。

高齢出産 気持ち悪い
高齢出産 自業自得
高齢出産 みっともない
高齢出産 ムカつく

うーん、中々に手厳しい…。

“みっともない”に関してはその発想に驚いた。
“ムカつく”に関しては「育児が上手くいかなくて自分自身にムカつく」の意味かと思ったが、「高齢出産する人にムカつく」の意味だった。「そこまでイラつく?なんで?」と不思議だった。


それぞれの記事やニュース、掲示板的なサイトも見てみたが圧倒的に女性が厳しい意見をしており、かつ妊娠・出産・育児経験のある女性が大半であった。(あくまでコメント内容の記事から私の推測。)
しかも、どの厳しい意見にも「いいね」がつきまくっており、「大きい声では言えないけど、本当にそれ!」と賛成の意見がズラリと続いていた。
ということは、これらを私は「厳しい意見」と書いたが「経験者の貴重な意見」であって、私が勝手に否定的に捉えているだけなのかもしれない。

では、私がネットを見漁った時の意見で多かったものを稚拙ながら要約して以下に記述してみた。

「女性はいつまでも自分が若いと思っていて、40歳を過ぎても問題なく出産できると勘違いしている。
高齢出産した芸能人のニュースなんかがあると、私達もまだいける!と中年女性達がさらに勘違いする。
少子化が加速する原因だ。早いうちに学校でその辺をきちんと教えるべきだ。」

「学校行事に親が来たら同級生から祖父母と思われて恥ずかしい思いをさせる。
子どもが成人する頃には親は還暦。介護が始まる。一緒に遊びに行ったりできなくなる。」

「親が定年で退職間近なのに子どもが学生だったら学費はどうするのか。自分達の暮らしで手一杯で子どもに惨めな思いをさせるのではないか。」

「だいたい、女性の出産適齢期は20代である。30代後半や40歳まで好き勝手に遊んでおいて、突然焦って国のお金で不妊治療して出産なんて自己中心的。それで育児が大変なんて言われても、自業自得。」


私の職場での意見と被る意見も多かった。

特に
授業参観や学校行事で母ではなく「おばあちゃん」と思われる
…という意見。

実際に私も姉のことで言われたし、ネットでもかなりよく目にした。
SNSとかで
「すごい恥ずかしい思いをした。若い両親が羨ましい。」と、高齢出産で産まれた子どもが悲しみを吐露している投稿も多々あった。

私は
「他人の親を見た目や年齢で非難するなんてひどい!」
「自分の親を恥ずかしいだなんて、そう自分の子どもに思われてネットに相談までされていることを知ったら親も悲しいよ。」

と思っていたが、私自身がこの体験をしたことがないし、ここまで根強く非難されるのだから本当に辛いことなのだろうと思った。
かなり昔、関西のお笑い芸人さんが同じようなエピソードを話していたのを思い出した。
うろ覚えだが、このエピソードでは高齢なお父さんをおじいちゃんと同級生に言われて嫌だった、という話だったと思う。
柔らかい軽めの口調で話していたので会場もクスクス笑いが起こっていたが、「ほんまに嫌やった」と言っていた。
大人になっても覚えていて忘れられないくらいなので、私のように「ひどい!」とか「悲しい」で片付けていい問題ではないのかもしれない。

⑤ もちろん、別の意見もある

「産まれたとき、授かったときが適齢期」

「若くても妊娠できない人もいる。
高齢であろうが望んで授かったのならば、産まれてきた命を愛することに年齢は関係ない。育児の苦労も、みな同じ。」

私はこの意見には同意である。
しかしこれまでの意見を思い返すと、子どもがいる人からしたら「それはそうだけど、でも子育ての苦労は綺麗事ではないのだ」との声が聞こえてきそうである。
そしてその意見にも私はある程度同意である。

⑥ 私の反論と疑問

色々と書いてみたが、上で紹介したネット上の意見の一つ、この意見↓に関しては反論と疑問がある。もう一度ここに書いておく。

「女性はいつまでも自分が若いと思っていて、40歳を過ぎても問題なく出産できると勘違いしている。高齢出産した芸能人のニュースなんかがあると、私達もまだいける!と中年女性達がさらに勘違いする。少子化が加速する原因だ。早いうちに学校でその辺をきちんと教えるべきだ。」

これに似た意見も本当に多かった。
この意見に関しては、私の周囲では女性だけでなく男性も同意見を言う人が多くいた。

特に年配の男性からは
「そもそも、いつまでも若いからとか美魔女だのなんだのと勘違いしてオシャレカフェとか女ばかりで旅行とかして遊んで、なかなか結婚さえしないのがいけない。」
との意見が多く、高齢出産というか未婚女性へのあたりが強いなぁ…と思った。
(私はまさに該当者なのでこの話題が職場で出るたびに最高に肩身が狭いが、いつまでも若いと思うどころか日々老いに苦しんでいる。)

でも……
本当にそうだろうか?


子どもを作らない人生を選んだ夫婦は別として(子ども無しを選択した夫婦も色々言われるが今回は割愛)、大抵の女性はその辺はわかっているのだが、キャリアや経済面で問題があったり、そもそも結婚もしていないどころか恋人さえいない。めっちゃ婚活してるのに…といったことから出産の意志はありつつも実現していない人の方が多いのではないだろうか。


しかし!

あるネット記事のコメントで、
「私は女ですが、女はいくつになっても出産できると思っていた。学校でそうじゃないことを教えて欲しかった。」
とのコメントがありたくさんの“いいね”がついていた。

正直、「え?そんな女性いるの?」と思ってしまったが、よく考えたら私の思い込みにすぎない。
うーーん、やはりこの私の反論と疑問も検討違いなのだろうか?
どういう意味でこのコメントに“いいね”をしているのか謎だが、「その通り」「わかるよ」ってことだと思うのだがどうだろう…。

⑦ 不妊治療の保険適用について

姉は不妊治療をせずに妊娠したが、高齢出産について調べていくと不妊治療の話題が頻繁にでてくる。

不妊治療の保険適用については、「かなり費用がかかると聞いていたし、費用面で治療を諦めていた人には朗報。少子化を解消できる一歩に繋がるかもしれないしいいことだな。」と私は思っていた。

しかし、ネットや周囲の意見は私と似通う意見がある一方で、違う意見が目立っていたと思う。

「高齢で出産できても、障害を持って生まれる子どもが多いし、そもそも治療が成功して産まれるかどうかもわからないのだから、別のことに税金を使って欲しい。」

「高齢になるまで授からなかったのだから妊娠は諦めて、今すでに産まれている未来のある子ども達のために税金を使って欲しい。人間、諦めも大事。」

若くても妊娠しにくい身体で不妊治療を受ける人もいるとは思うが、不妊治療=高齢出産のイメージが強いのだと思う。
上の意見は一見厳しいが、現実を直視したストレートな意見であり否定できない。

⑧ そもそもなんで子どもが欲しいの?


私は子どもがいないが、勝手な意見を述べたい。

出産は誰にとってもある程度自己満足
ではないだろうか。

かなり昔の時代なら女性はお見合い結婚が多く、とりあえず早く結婚して出産するのが当たり前だったかもしれないが現代においてはどうだろうか。

「日本の未来のため」とか「命というものは素晴らしく尊く、人間はその命を繋いでいかなければならないから」とかの意見を時々見るが、

好きな人とのあいだに子どもが欲しい

ほぼこの理由ではないのだろうか。

多くの女性が「日本の未来の発展」といったことを一番の理由として出産を望んでいるのだろうか。
今の日本は少子化が深刻な問題であるが、
「よし、少子化だし日本の未来のために子ども産むか!」
という女性がどれだけいるだろう。

命は尊く繋いでいかなければならないとの定義も、人間の命以外に関しては疑問が残る。人間の命限定の考え方なら、単なるエゴ=自己満足ではないのだろうか?
そもそも人間の都合で絶滅寸前だったり絶滅しまくっている種がたくさんあるのに、絶滅から保護されるものとそうでないものも人間の都合で決まっている。かなり意地悪な考え方だが、私には都合よくキレイに聞こえるだけの理由な気がしてならない。

⑨ 結局、この記事を書いて何が言いたいの?

まず、私は私の意見に賛同して欲しくてこの記事を書いたわけではない。

「多様性」とか「ハラスメント」とかの問題と同様、この「高齢出産」や「不妊治療」の問題も、議論を続けていくこと自体に意味があると思っている。
日常で意見を交わし合ったり、交わし合う場や相手がいないならネットで自分の意見を発信していく。
そうしていくことで、これらの問題を問題としてただ存在させるのではなく解決までいかなくとも多くの人が納得できる社会へ繋がるアクションの一つになるのではないかと思っている。
大きなムーブメントを起こせなくとも、偶然であっても、とある記事を読んだり人の意見を聞いたことでこれらの問題への現実を知り、理解や配慮が生まれるかもしれない。

…なんて勝手に思っている。

⑩ 最後に…


③で私の高齢出産に関する初期のイメージや意見を述べたが、今はどうなのか。

初期の意見は変わらずあるが、不妊治療までして出産を望む人はみな高齢出産のリスクへの理解と子どもという命を育てることへの強い覚悟があると思う。
それなら、その理解と覚悟を応援したい。
この思いが新たに私の中に生まれた。

ここでちょこっと余談…

日本メンズヘルス医学会というところのホームページによると、不妊の原因の半数は男性側にもあるとの世界保健機構(WHO)のデータがあるらしい。
男性はいくつになっても若い嫁がいれば子どもを持つことができる
こんなイメージが今でも強くあると思うので、この辺りの情報も、もっとメディアは取り上げて欲しい。
育児は女だけがするのではない。
年老いて育児が困難なのは男性も同じはずである。

今回はここまで。
読んでくださった奇跡のような人がいたら、とびきりの感謝を。









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