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エンタメ自粛で我に返る


私はあるバンドが好きなのですが、いつの頃からか、ちょっと無理してライブに通っていました。好きは好きでも、実際の気持ち以上に多くライブに行っていた感じです。

ファンになって、約5年。「わー好き好き」ばかりではなく、「ちょっとなあ」と思うことにもときどき遭遇して、でもその度に目を瞑ってきました。
だって、好きなものがなくなるとつまらないし。ほかに予定もないし。「何かのファン」というアイデンティティを失うのも、なんだか惜しいし(馬鹿馬鹿しいけれど、よく思うことです)。
そんな感じで、次々決まるツアーのチケットを「とりあえず」申し込んでいたと思います。

ところが、今回のエンタメ自粛によって、ライブ通いは強制休止。行くはずだった3月のライブが払い戻しになったことで、私は久々に1ヶ月以上ライブに行かない状態に戻りました。
正直なところ、少しほっとしたのも事実です。「もう、無理してお金を払わなくていいんだ」と思いました。

そして今、気持ちがだんだんとフラットに戻っていくのを感じています。間が空けば空くほど、冷める。バンドやアイドルはなぜこんなに活動ペースが速いのだろうとよく思っていたけれど(以前私が取材した女性アイドルは、2週間に1度はニュースを出そうと運営から言われていたそうです)、その理由も少しわかった気がしました。

かわりに今、私がしていることは、こういうことを書いたり、仕事の目標を立てたり、筋トレをしたりといった「自分のこと」です。
あるアーティストの方が、「今だからこそ、自分のための有益な時間を過ごしてください」と自らの多くのファンに伝えていたのですが、本当にこんな風に自分に対してきちんと意識を向けたことは、久しぶりのような気がします。そして、今まで当たり前に手の中にあった、ものごとの価値やありがたみについても考える機会になりました。

我に返った。正気に戻ってしまった。
そのつまらなさを嘆きつつも、この粛々とした日常がまた、あのエネルギッシュな気持ちを取り戻すことにつながるのではと、やっぱり少し期待しています。そしてそのときは、気持ちを持って行ける場所がちゃんと戻ってきていることを願います。



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