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モテ女の極意 夕顔(源氏物語)



暮れなずむ逢魔時。
純白の夜顔が開き始めた。


どこか淋しげで匂い立つよな美しさは、恋しい男を待つ
女のようだ。


源氏物語に登場する夕顔の
花を一眼見たくて、種を買い
咲くのを待っていたのだが、いざ花が開くと、ネットで見ていた夕顔とは花弁の形が異なり、調べてみると残念な事に夜顔と言う種類だった。


夜顔を夕顔と言う名で販売している業者もあり、2つの花は姉妹のようによく似ている。



夜の帳を待ちわび、徐々に花開く夜顔を見ていると、紫式部は夕顔の花を見て、源氏物語に登場させるヒロインの
イメージが沸き、夕顔の章を書いたのではないかと想像してしまう。


清らかさと、反比例する妖艶さを合わせ持つところが、
この花の一番の魅力だろう。

源氏は夕顔に素性を明かさず、薄い頭巾を被り顔まで隠して夜な夜な彼女を訪う。


頼る人のいない夕顔は、疑いながらも嫋やかに源氏を受け入れる。


幾ら心細いと言えど、怪しい男を直ぐに受け入れてしまう感覚は非常に危なっかしいが、そこには男を嵌める計算高さもない。
ただ男を信じ、無垢な花のように寄り添うだけだ。



紫式部は源氏に語らせる。

「彼女は凄い美人と言うわけではないけれど、小さな花びらみたいに可憐なんだ。


余りにも素直で、幼い女の子みたいに頼りなくて、いじらしくて放っておけないんだ。

気の張るお姫様は堅苦しくて、一緒にいると気疲れてしまうけれど、
彼女といると癒されるんだ。


それでさ、成熟した女の顔を見せる時もあるから、余計に
魅力的だよね。

どんな時でも俺を頼り切り、言うがままに従ってくれる。
そんな可愛い女を放っておけないよ。
他の女に心変わりしたら可哀想だよ。


欲を言えば、もう少し、しっかりしたところがあると良いんだけどね。

ただただ、愛おしいんだ」

モテ男の源氏を心身共に夢中にさせた夕顔だが、彼の狂おしいまでの恋心は、彼の恋人である六条御息所の激しい嫉妬を買い、彼女は生き霊となって夕顔に取り付き、源氏の
目の前で呪い殺されてしまう。


それゆえに夕顔は、源氏の心の中で永遠に可愛い女で居続けるのだ。



瀬戸内寂聴先生は「夕顔」の、自我の無い幼児性が男心を掻き立てるのだろうと説いてらっしゃる。
「俺がついててやらないと、
どうなる事か」
と。


女の弱点は母性本能だ。

「この男、可愛いわ」
と思ったら、その恋はその地点で彼に降参したと同じである。

それと同じように、男性達も
守ってやりたい父性本能を
擽られたら、白旗?



そしてもう一つ、付け加えるのは意外性ではないかと思う。

男性は、女性に対して最初に抱いたイメージと違う面を見ると、そのギャップに魅了されると聞いた事がある。

夕顔が清らかさの中に、
艶を潜ませているように。




羨ましいモテ女。


けれどいつの世も、モテ女にはヘビ女の嫉妬が付き纏う。


夕顔は早々に殺されてしまったし。



21世紀のモテ女に必須なのはタフさかしら?



次回は、源氏物語の中に登場する私に似た女を書きます。

さて誰でしょ? 
貴方は誰だと思います?






























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