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VOGUE BUSINESS 「ゲーム内のファッションで何億円も稼ぐデジタル・デザイナーたち。」(翻訳後半)

https://www.voguebusiness.com/technology/the-digital-designers-making-millions-from-in-game-fashion

Japanese translation of "The digital designers making millions from in-game fashion" 執筆 LUCY MAGUIRE 2022年5月25日
(※ 翻訳の正確さについては上記のオリジナル記事を参照してください。前半部分はこちらになります。)

デジタルファッションの潜在的可能性を証明する

Web3の成長が注目されて来ているとはいえ、潜在的なコラボレーションの相手やクライアント企業を教育することは、デジタルファッションのデザイナーにとって最も大きなハードルと言える、と先駆者たちはいう。「このビジネスはとてもシリアスなものだと、膨大な売上を見て理解しました。でも、ほんの2年前は自分でも『なんで誰もそんな風には話題にしないのかな?』って感じで。」とジョーダンは言う。「人々の反応は未だに『ああ、あの子どもたちが遊んでるゲームね』みたいな。」ジョーダンはLinkedinとツイッターで一生懸命、彼の作品についてと、カルチャーに貢献したいブランドにとってのロブロックスの重要さについて説いた。そしてすぐにブランドとの取引が始まったのである。

「我々クリエイターの何人かはデジタルファッションを十年ぐらい(ブランドがこのトレンドに追いつくずっと前から)作成しています。そして現在はその多くがトップのブランドから、アイテムやエクスペリエンスを作成するためにアプローチされています。」ロブロックスのグローバルなブランドのパートナーシップのVPである Christina Wootton は言う。「次の世代のファッションデザイナーたちは、ロブロックスで経験を積むことになると信じています。誰でもクリエイターになることが出来るからです。」2021年、クリエイターのコミュニティはロブロックスで5億3900万ドルを稼ぎ、2022年の第1四半期だけで1億4710万ドルの売上を上げたが、これは前年に比べて24%の上昇である。

「最初の頃はコーポレイト企業に対しての話し方を学ぶのが大変でした」とジョーダンは言う。「彼らの話し方を学習しなければならなかったし、うまく翻訳して相手を教育する方法を学びましたね。」ロブロックスの場合、ゲーム内の売上に対するコミッションは相当なものになる。ジョーダンによると昨年は百万ドルを稼ぐために、およそ1千万ドル相当のバーチャルファッションのアイテムを売り上げたという。

現在の為替を基準にするとロブロックスのプレーヤーは、R$100ロバックスを得るために一人当たり1ドル払っている。バーチャル・アイテムが一つ売れるたびに ロバックスの30%はアイテムのクリエイターに支払われ、40%は売る側の店に支払われる(ジョーダンを始めとする多くの店はロブロックスそれ自体である)。残りの30%はロブロックスの取り分となる。ロバックスはドルに交換されなければならず、ロブロックスはそこでも手数料を取る。そのため$R100ロバックスの売上(およそ1ドルに相当する)に対して、クリエイターの取り分は交換後には10.5セントとなってしまう。

ブルーベリーは、メタバース・ファッション・ウィークにて、ルクジュアリー・ブランドのジョナサン・シンカイ(Jonathan Simkhai)とコレクションを作り上げた。

さらにデザイナーにとって困難なのが、「コーポレイト企業による決定」という赤いテープをうまく辿っていくことだと言う。ゲームのプラットフォームで言えば、ゲーム内およびDiscordやTikTokそしてツイッターといった他のプラットフォームのコミュニティのフィードバックに基づいてデザインを何回もやり直すことが重要になる。しかし、ブランドがデザインの決定を下すのに時間がかかり過ぎると、コミュニティのフィードバックを得て改良することができなくなってしまう。

「私の顧客のうち少なくとも10%は個人的に知っているわ」とマクダフは言う。ブルーベリーは、制作プロセスの中で早い時期にコンセプトを見せて、デザインに関しての決定に利用者のフィードバックを利用する。「コミュニティは制作に参加しているように感じるし、コミュニティが購入するような製品を制作しているということにもなるし。」

ブルーベリーのビジネスはグローバルであり、会社によると40%は合衆国に居住しており、残りはラテン・アメリカ、ヨーロッパ、中東に分かれているという。利用者は多くが女性で平均の年齢は22歳だと言う。ゲームのコミュニティのうち女性の割合は45%だと推定されている。

バーチャルのファッション・デザイナーたちは、彼女たちがゲーマーであることから、ゲームのコミュニティの中では特に女性からの需要があることを理解していると、ブルーベリーのCOOであるKatherine Manuel.Sは言う。

「ゲーム・プレイヤーのジェンダーは統計上はきれいに分かれていても、ゲーム自体は伝統的に男性がデザインしています。ミシャの秘密兵器は彼女が女性のリード開発者であり、女性のためにデザインしていることです。長い間、デザインは女性ためには施されていなかったのです。」
ブルーベリーのチームには男性は一人しか居ません、とマクダフはプライドを持って付け加えた。

ロブロックスのデザイナーのほとんどは、主となる「ブロック型」のボディ・タイプのためにデザインしている。そのため女性のパッケージを利用している女性のプレイヤーは無視されていた。ほとんどのアクセサリーが正しくフィットしないことに、ジョーダンも同意する。「ファッションの領域で、プレーヤーが必要とする細かいことを理解することです」と彼は言う。

メタバースにおけるマーケティング

バーチャル・ファッションにおける最高のプロモーションのための道具は「口コミ」だとデザイナーは言う。ゲーマーがお互いにTikTok, YouTube, Discord あるいはツイッターで製品を推薦することや、ゲーム中のチャットで話題にすることを指している。バーチャル・ファッションで繰り広げられる競争の光景は、ある意味で実生活のファッションよりもさらに熾烈であると、ジョーダンは言う。「ハイクラスのストリートでは、競争して並んでいるのは20店舗かもしれませんが、デジタル空間では100万ものクリエイターがまったく同じ場所で競っている可能性だってあります。」製品のリーチをより多くするために、バーチャル・デザイナーはバーチャルと実生活の両方のインフルエンサーが、彼らの製品を着て共同でサインしなければならない。

サミュエル・ジョーダン、ミシ・マクダフ、そしてジェームズ・ゴベルトのバーチャル・デザインは、ゲーム内での売上とルクジュアリーとのコラボレーションからビジネスとして成功している。

ブルーベリーは、バーチャル・インフルエンサーを利用する他、例えば(セカンドライフで売られている)L’Homme Magazine のようなヴァーチャル・ファッション・マガジンへ製品を掲載している。他のプレイヤーやインフルエンサーが製品を着ているのを見かけると、人々はブルーベリーの最新作を購入するために、様々なメタバース内のバーチャル店舗の外で12時間「徹夜で並ぶ」準備をするのだとマクダフは言う。

Republiqeはコーチ(Coach)のようなブランドとコラボレーションする他、フランスのアクセサリー・ストアであるモニエ・フレール(Monnier Frères)と共同で、メタバース・ファッション・ウィークのために Decentraland に店舗をプロデュースした。ルクジュアリー・ブランドにメタバースの可能性を見せつけたことで、ビジネスを拡大するのにかなり役立ったという。「リクエストが毎日のように来ますよ」とゴベルトは言う。9人からなる彼のチームに、新たに3人を雇おうとしている最中である。

まとめ: Web3が成熟化しゲームの盛り上がりがより注目されるようになり、バーチャル・ファションの需要は伸びている。若いアントレプレナー達は、3Dファッション・デザインの専門知識と、伝統的なファッションとルクジュアリーのブランドよりも深いゲームとWeb3コミュニティについての知識を組み合わせて、成長率の高いファッション・ブランドを築いているのである。(翻訳終了)


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