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「忘れかけていた思い出」【コラム】

来年1日から毎週投稿を始める予定のnote連載コラム「有野優樹の人生ありのまま」今年の更新は、来年からの更新に向けての宣伝期間です!人生ありのままってコラムを始めますよ!っていうね。

さて今回は0.3回目。内容は「思い出は買えないよね」ってお悩み。

前回「寂しい匂い」

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小学生の頃、なかよし集会という名の学校内だけでやる文化祭があった。食べ物は無いが、それぞれの教室で出し物の準備をする。

6年生のみお化け屋敷を作ることが許されていて(というよりもお化け屋敷を作るのは上級生がやるものという暗黙の了解で)特別に視聴覚室を使わせてもらえた。段ボールで壁を作り迷路上にして、お墓を作ったり、絵の具で血を表現したり、髪の長い子が貞子役になって驚かせたり、下級生の泣かせるくらいのクオリティになっていた。

他にも射的やスマートボール、宝探しなどもあり、各々が家から景品を持ってくる。雑貨からよくわからない小物、折り紙で作った残念賞的なものから、そこそこな値段がついているカードゲームなどがあり、それ欲しさに頑張っていたものだ。

ぼくには好きな子がいた。塩谷(しおや)さん。なかよし集会が終わると片付けのため、一度教室に戻る。そのとき塩谷さんから

「これ、わかんないからあげるよ」

と、当時流行っていたカードゲーム(遊戯王カード)のカードをもらった。そのカードゲームをやっていたぼくはわかっていた。いわゆる雑魚カード。でも、めちゃくちゃ嬉しかった。今でもそのカード名は覚えているし、それを見るたびに「あぁ、塩谷さんからもらったカードだ」と思い返す。

大人になってからは物ではなく、場所に変わった。それまではなんの変哲もなかった場所。他の人からすれば前のぼくと同じようになんの変哲もない場所。

1人で行くには寂しすぎるけど、なんとなく行ってしまう。だって、思い出になってしまったから。

100万円の値段がついてるものは100万円を出せば買えるけど、好きな子から貰ったカードという思い出はいくらお金を出しても買えない。現物は失くしてしまったが、思い出はずっと残っている。ぼくが忘れない限り、ずっと。




言葉のDIY職人
有野優樹(ありのひろき)

人生、仕事、言葉など「生活の悩み」をテーマに、“書いて考えて解決していくこと”を目的に連載をしていきます!毎週月曜日18時更新!お便りや取り扱ってほしいテーマなどはお問い合わせかこちらのメールアドレスまでご連絡ください!

arino.hiroki@gmail.com

感想は #人生ありのまま

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