ある日のアルバイト帰りに感じた絶望
「つかれたぁ〜。アルバイトも頑張ったし、今日は何して帰ろっかなぁ〜」
ルンルン気分で秋葉原のラジオ会館前を歩いていた。ラジオ会館には大きな街頭ビジョンがついている。いろいろな告知が流れているのを何となく見ていたとき、とある舞台のプロモーション映像が流れた。
「あれ‥いまのって‥」
そこにうつっていたのは、演劇専門学校の同級生Tくんだった。同じ教室で学び、同じ舞台にも出たことがあるTくん。
「え‥?T、あんなとこまでいってんの‥?」
だれに見られているわけでもないが、なんだか急に恥ずかしくなってきた。
「アルバイトくらいで浮かれてる場合じゃない。だめだ。こんなんじゃ」
フリーランス一年目。同級生の活躍を見て感じた遅すぎる危機感だった。
・前回「あなたはいらなかったという言葉」
【おいていかれたという絶望】
別に親に詰められたとかじゃないんですよ。でも
「学費と養成所費を出してもらったのに、今やってることは‥アルバイト。何になりたくて勉強してきたんだ?アルバイトか?違うだろ」
と自分を責めていたんです。アルバイトをしている間にもどんどん入ってくる同期の活躍情報。でもぼくは自分を正当化しようと
「でもTくんは、授業でこんなこと言われてたし。あの子はあんな事言われてたし」
となんとか揚げ足を取り、お仕事をしていない自分を言い聞かせようとしていたんです。だから、お仕事が自分に来なかった。アピール(営業)もしていませんでしたし、できることも少なかった。
できないこと、できることが少ないのが悪いんじゃありません。それに向き合わずに、できている人のダメなところを探して“今の自分を正当化しようとしていること”がダメだったんです。
「アルバイトはやめた。営業しよう」
営業といっても当時やっていた営業は、SNSにボイスサンプルを投稿したり、個人ホームページを作って実績や問い合わせ口を作ったりという基本‥というより、そんなこともやってなかったのかと言われてしまうようなものばかりでした。
あのとき、街頭ビジョンを見たからこそ、気持ちを切り替えることができた。気付くのがもっと遅かったら‥なんて、考えるだけでも恐ろしいです。
良く言っていますが、その日気づいたからといってそうはうまくいきませんよ、当たり前ですけど。
だって、昨日まで何もしてなかったんですから。素人の思いつきで焦ったアイデアを出しても、通用するわけがありません。
「なんで結果が出ないんだ!」
今までやってきていなかったので、そのときにやっていた頑張りをかなりのものだと過大評価していました。そりゃそうです。昨日まで腕立てを10回もやったことない人が、今日15回やっただけでも頑張ったになってしまいますからね。プロは毎日100回やっていて当たり前の世界。
正直、そのときよりもお仕事をいただけるようになった今の方が、自分でできるいろんなことを毎日しています。noteを書いたり、営業したり、読書をしたり。やっぱり、やらなきゃ変わりません。
【おいていっていたのは自分】
他の誰のせいでもありません。自分のせいです。おいていかれたぁ〜!と叫んだところで相手は「おいてったつもりどころか、連れてったつもりもないよ」って話しです。
おいていかれたと言っているけど、ついて行く努力をしていたのか?恥ずかしながら、全くしてませんでした。
自分を責めていても仕方ありません。やってしまったことはしょうがない。これからどうするかです。
【自分で自分を連れて行く】
誰かが何とかしてくれると思っていた時期がありました。そりゃ誰にも依頼されませんわな。何をみて判断したらいいのかわからないからです。上手い下手の前に、この人は何ができる人なのかわからないから使いようがなかった。
“何者か知ってもらう努力”
ボイスドラマやインディーズアニメの声優や、Web動画・YouTube動画広告のナレーションを担当させて頂いたり、大好きな怪談を喋らせて頂ける現場に足を運んだりしていました。
現場に雑務のお手伝いに行ったり、お客さん参加型の怪談イベントへ行って喋らせて頂いたり。
まずは、誰でもできることをたくさんやりました。行けばできることをとにかくたくさん。
そのときは「声優、ナレーター、怪談」の3つを売りにしようと決めていたんです。なので、それらを出せる場所へ行きまくりました。行って、言って、良いものになるようにたーくさんやる。
良いものになれるかどうかはわかりませんが、行くと言うは下手でもできます。絶望を感じたからこそ気づけたこと。牛の歩みではありますが、ちょっとずつちょっとずつお仕事に繋がり始めてきました。
「おぉ!毎日やればやるだけ成果が出るんじゃないか!?」
馬鹿の一つ覚えでただやるだけじゃーダメなんですよ。考えなきゃ。
次回「人は、その時の気持ちに合わせて自然に言葉を選んでいる、スゴイ生き物だ。」
ナレーター
有野優樹(ありのひろき)
「僕には喋りのお仕事しかない!~ありがちな声と言われたトラウマ~」
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