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君を好きでよかった

「あほくさ」、って、

何回言ったかわからない。


「馬鹿みたい」、って、

吐き捨てた回数も、数えきれない。



あなたのことが好きだ とか

あなたを大切に思ってる とか

安易に言えない世界が

嫌で、不味くて、嫌いだ。







昔日の雨の日、先生に、
「なんでわたしのことスルーするときあんの?」

と聞いたことがあった。


あなたは「大事だからだよ」、と灰色の世界にその言葉を置いた。


わたしのことが?

もしくは、



あなた自身が?



という問いも、今になってはもう聞けなくなってしまった。





最近、会いに行くと、受験が近いからだからだろうが 彼のクラスの子が進路について相談しているところを見る。




「私、どうすればいいですかね」


「○○さんの行きたいところ行けばいいんだよ」
「大丈夫、○○さんなら」




「みくるなら大丈夫」






大事なわたしにも、普通の生徒のあの子にも

かける言葉は同じ。






吐きそう。

なにこの、穢い世界。



“成人と未成年は付き合っちゃダメ”

とか

“先生の社会的な立場”

とか

“あなたの身勝手な行動”

とか。



オマエに関係ないやろ。


親の承認とか
先生って立場とか
高校受験とか



邪魔なものが多すぎる。




吐きそう。
吐きそう?




気づいたらトイレの中でしゃがみこんで、涙を流している私がいた。





こんな世界が、恨めしくて、

わたしのことを否定する人が、憎々しくて。



点数が落ちたことよりも
親が離婚することよりも
怒鳴られたり、怒鳴りあってるのを聞いたりするよりも

何よりも、辛くてしんどくて、

やるせなくて愚かしくて、恥ずかしい。




死にたい。





あなたに迂闊に恋をしちゃったの。

なんて、言えたら、
すべてを終わらせられるはずなのに。



“恋”なんて 簡単で単純で面白くない感情。
あなたとわたしの間には、それ以外の特別な絆だってある。

それだけならよかったのに。




ベランダに出るだけで、毎回泣きそうになる。
隣のお姉さんの洗剤の匂いが、あなたの匂いと同じだから。


あなたの担任するクラスに入るだけで、ここは私から切り離された場所だなぁと感じる。
あなたのことをいつでも見られて、相談できて、励ましてもらえるから。




忘れられない人、
忘れる訳ないけど、
いつも近くにいるけど、


1番遠い人。






そんなあなたに、恋なんかしなければ。









いつか、この世界が







「君を好きでよかった」とか







笑顔で言える世界になりますように。

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