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J2降格でも売上増!? V長崎に学ぶチーム運営

さて、本日のテーマについてです。どうしようかなと、ネタ集めをしたときに気になる、ニュースの見出しがありました。

それはNewspicks の記事、”Jリーグ唯一の女性社長コロナ禍と就任1年目” という記事でした。

この記事では、ヴィファーレン長崎 女性社長 高田春菜さん(たかたはるなさん)についての記事でした。

このV・ファーレン長崎ですが、親会社はジャパネットたかたグループがオーナーの完全子会社であり、2019年末から、創業者の高田明氏から娘である春奈さんに継承されました。

色々調べてみると、降格やコロナ禍での逆境の立ち向かい方、ファンの巻き込み方など色々参考になることがありました。

今日はV・ファーレン長崎のクラブ経営から、チーム運営について考えていきたいと思います。

このnoteはVoicyの過去の放送を文字に起こしたものです。

V長崎とジャパネットグループの関係 髙田明さんの行動力

さて、このチャプターでは、サッカークラブ Vファーレン長崎とジャパネットたかたグループの関係についてふれていきます。

まず、このクラブの前身は、2004年に遡ります。
有明町のサッカークラブと、高校サッカーの強豪国見高校のOBを中心にチームが結成されました。そして、翌年からV・ファーレン長崎に改名をします。
2005年から2008年までは九州リーグに所属。2009年からJFLに昇格、2012年11月にいよいよ上のカテゴリーであるJ2リーグへの参戦が認められました。

一見すると順調に見えますが、2017年3月に、3億円の赤字、選手や監督への給与未払い問題が表面化しました。それが原因で、J3への降格危機が顕在化します。

そこで手を差し伸べたのが、ジャパネットたかたの創業者 高田明さん。ここからは現代ビジネスの記事の抜粋です。

クラブ消滅の危機を招いた前経営陣が退陣し、再建に立ち上がったのが、メインスポンサーであったジャパネットたかたの創業者である高田だった。
さらにジャパネットホールディングス(HD)がクラブの株式を100%取得し、V・ファーレンは完全子会社となった。
高田に社長就任を要請したのは、'15年にHD(ホールディングス)の代表取締役社長を引き継いだ息子の旭人(あきと)だ。
39歳という若さながら、明が全幅の信頼を寄せる旭人が当時を振り返る。
「クラブを一致団結させるためには、父のような存在でないと無理だと思っていました。ジャパネットとしてもお金を大きく投下しなければ救えなかった。経営者が父であれば、何も心配なくお金を預けられる。'17年末までに、再建のために7億から8億は投資しました」
父子(ふし)がこだわったのは、株式の100%取得であり、その理由は'17年12月期に売り上げ1,929億円、経常利益182億円(ともに過去最高)を記録するまでに成長したジャパネットたかたを、これまで上場させなかった理由と一致する。
株主の顔色をうかがわずに、「素早い経営判断」を可能にするための策が非上場であり、完全子会社化なのだ。旭人が続ける。
「一企業としての規模拡大よりも、お客様の幸福を考えることはサッカークラブの経営でも同じだと思うんです。ファンや選手にとって最善の環境をスピーディに作るためには、100%の子会社である必要があった」

ジャパネットたかたをを見ると、他のテレビショッピングと一線を画しているなと思ったのですが、要因は
・独自路線であり、
・自分の良いと思ったことを、推進し、株主の声を反映させたくない
・スピード感を持って施策に取り組める

ということのようですね。

さて、ここからは記事のエッセンスになりますが、現場への投資を惜しみませんでした。

抜粋すると、
・練習面での環境の改善
・J1昇格できたらボーナスとして全員にハワイ旅行をプレゼントする人参作戦
・スタジアムへのシャトルバスの本数を増やすなどの観客を呼び込む動き

などです。

さらにそれに加えて、被爆県だからこそという願いや、育ててくれた長崎への恩返したいこと、願いなども発信して、みんなから共感を得ています。
記事を引用します。

昨年末のファン感謝祭において高田は、選手以上にサポーターに囲まれ、イベントの合間にはスタッフと打ち合わせを行い、スタジアムの清掃員にも労いの言葉をかけていた。
そして昇格を喜ぶサポーターを前に、テレビショッピングでお馴染みの甲高い声でこう訴えた。
「新しいユニフォームにも期待してください。そして、ぜひ購入してください。もちろん、金利手数料は……」
会場にはドッと笑いが起きた。平和の象徴であるハトをあしらった今季のユニフォームの背中には「ユニセフ」のロゴが入る。
通常、背番号の上にスポンサー名を入れることは、クラブにとって大きな収入源となる。しかし、「ユニセフ」からは一銭も入らず、むしろ3年で1億円を寄付する契約だ。ここに長崎のサッカークラブとしての理念が込められている。

このように、創業者である高田さんはパワフルであり、現場を巻き込む、そしてスピード感を持って改革を推進する、その輪は県内に止まらない、メッセージ性がとても強いんだろうなと思いました。

さて、消滅の危機から、ジャパネットグループがオーナーになったわずか7ヶ月後に、J1昇格を決めました。
しかし、J1のレベルは甘くなく、昇格した2018年では、18位に沈み、J2に降格しましてしまいました。

ただ、翌シーズン、V長崎は降格したにも関わらず、むしろ、売上でいうと増加しました。
一般的な話ですが、降格をするとメディアでの露出も下がってしまうし、それにともない売上も減少し、予算も縮小されてしまいます。

しかし、V長崎は売上は増加しています。

次のチャプターでは、なぜ、売上は増加しているのかや社長の考え方、大事にしていること、組織運営について、そして経営を引き継いだ女性社長高田春菜さんの記事を中心に更に掘り下げていきたいと思います。

女性社長 髙田春菜さんの現場主義と思想

まず、高田春菜さんがV長崎をどのように捉えているのか、今後のクラブチームの展望やビジョンなどに触れる前に、簡単に高田春菜さんの経歴についてざっくり説明します。

77年生まれの43歳で、長崎県佐世保市で育ち、大学卒業後はソニーで5年間働き人事畑を歩きました。27歳の時にジャパネットたかたの人材開発を担う会社を設立。

このようにサッカーとは関わりのない人生を送ります。
ただ、2012年、ジャパネットたかたがV長崎のユニホームの胸スポンサーになってから少しずつ、サッカーに興味を持つようになり、接点も増えていきます。

また、仕事では2010年からは広告代理店業務を行う会社を設立。
広告代理店での広告営業で人とのコミュニケーションの重要性を学び、その経験が今にも繋がっていると振り返っています。

「サッカーの専門的なことは分からないですけど、人と人の関わりや意思疎通は全てのベースですよね。お互いに高め合い、ウイン・ウインの関係になれば、広告営業も、クラブ運営、チーム自体も成功すると思います。今はコロナ禍の大変な時ですけど、地域全体がウイン・ウインになる取り組みができるように、自分なりに頑張っていこうと思っています」

そして、2019年シーズンはJ1からJ2に降格した初年度。
観客動員数や露出面ではどうしても不利な条件、逆境ではありますが、売り上げを伸びていきました。

主な要因として、
・J2に降格してもチケット代やスポンサーとの契約料の値下げを行わなかったことが考えられます。
ついつい不利な条件になると弱気になりますが、それまでコツコツと培ってきたスポンサーとの関係値があるからといえます。
このように分析しています。こちらはNewsPicksの抜粋です。

スポンサー様にも2パターンあると思っています。
一つは、長崎の活性化や従業員満足度の向上を図るといった観点で、V・ファーレン長崎を支援することを社会貢献の位置付けとして認めてくださっている企業様です。
もう一つは、純粋にクラブチームとしての価値で支援してくださる企業様です。

この地域密着ですが、データも裏付けていました。

アンケート調査で「Jクラブはホームタウンで大きな貢献をしている」という質問で、大いに当てはまると答えたのはJリーグ平均50%弱に対して、V長崎は64.5パーセント。このように地域に根付いているといえます。


そして、2019年末にクラブの社長に就任します。
さて、この基盤がありながらも始まったコロナ禍でのシーズン、試練のシーズンですね。ここからは、コロナ禍においてどういったことを行なったか と その考え方などについて触れていきます。

調べてみると高田春奈社長は、足元を固める、徹底的な現場目線、絵に描いた餅をやらない、まず自分たちでやれることをやっていこうというスタンスでした。

ジャパネットグループとして長崎を盛り上げるという目標はありますが
・徹底的な現場の分析
・未来のビジョンを語り、そのメッセージに共感をする人、ファンとして仲間として受け入れていこう
という思いが伝わりました。

こちらは、ハーフタイムメディアの
【J再開、「最高のシーズン」へ。V・ファーレン長崎のこれからのクラブ経営】という記事の「経営をする上で大事にしていること」という節の抜粋になります。

目標値を決める際には、昨年対比やベンチマークする企業の規模よりも、理論上の可能性を想像するようにしています。
例えば入場者数の平均が昨年は7,000人だったけど、今年は10%増を目指しますという時、10%という数字にはどんな裏付けがあるのでしょうか。

それよりは、来ているお客様のペルソナを想定し、理論上来てもいいはずの若者が来ていない、だから長崎の20代にアプローチすればあと700人は増やせます、といったほうがよほど納得できます。

数字の中身は人であり、人には気持ちや生活がある。それらをどこまで想像できるかが重要だと思っています。
営業においても同様です。スポンサー企業と向き合う際は、自身がスポンサーであった場合に、どこまでのお金をこのクラブに投資できるかをイメージします。長崎にはどんな企業があって、それぞれの収益規模に対してどれだけのお金を幣クラブに投資してくださるかをイメージし、自分たちの目指す目標値との乖離があれば、組むべき相手は県外にあるのかもしれないと考えます。

そのためにも地元経済への関心は欠かせません。クラブ規模が大きくなっていくと、主要スポンサーを県内企業で固めることは難しくなる。しかしそれは長崎から離れるということとは違います。関わる価値は金額の多寡では測れないし、他者と結びつく理由は土地や血だけではないからです。

目標設定とかは、ついつい楽なので、昨対比ベースで考えがちですが、非常に論理的で現場をみているかただなーと思いました。

ただ、未来へのビジョン、目標、これからどうありたいかもきちんと定義しています。

私は長崎というクラブを、単に長崎県民に愛されるクラブではなく、長崎が大事にしている平和という理念を共有できる人たちと繋がることのできるクラブにしたいと考えています。それはすなわち、理屈で言えば全世界の人が対象になりうるということです。そして長崎にいる人たちは、その使命を一緒に全うする仲間であると思っています。

このように、徹底的な現場主義でありながらも、それとセットでビジョンも語る、共感を呼ぶような動きが、多くの人を巻き込むんだろうなと調べてみてわかってきました。

さて、このチャプターでは、高田春菜社長の考え方や思想、メッセージについて触れていきました。
次のチャプターでは、具体的な統計データやコロナ禍に見舞われた2020年シーズンに実践したことについて触れていきます。

V長崎のコロナ禍での施策

さて、このチャプターでは具体的な統計データやコロナ禍でのシーズンで実践したことについて触れていきます。

V長崎のJリーグの観客の統計データでも面白いなと思ったのは、他のチームと比べて女性の比率が大きいということでした。
Jリーグ全体では、女性の観客は37.6%なのですが、V長崎の場合は51.3%。

これは女性目線での組織づくりが身を結んでいるようです。
・スタジアムのお手洗いをはじめとする衛生保全
・お子さんを預かるサービス
・女性ファンに向けたグッズ販売など
にも
取り組んでいます。

また、従業員にも多様な働き方を推奨していて、ノー残業デーの取り組み、RPA(すなわち、ロボットにより自動化できるところの推進)など積極的に導入しています。
そうすることで、多様な働き方を確保できる、多様な視点が取り入れられた結果であるとNewsPicksでは分析されていました。

また、私の主観も入りますが、
・V長崎の、従業員満足が結果として色々な広がりを見せている
・前のチャプターでも触れました徹底的な現場主義や、ビジョンを持って発信しているということ

が普段はサッカーに興味を持っていなかった層にもアプローチできている、そして裾野が広がる、結果として女性が若干多いが、男女比率も半々と満遍ないのかなと思いました。

次のチャプターでは仕事に使えるTipsについて考えていきたいと思います。

チーム運営に必要な"想像力"と”創造力”

さて、Tipsについてですが、今回色々調べてみると、V長崎のオーナーである高田明さん、春菜さんともに、二つのそうぞうりょくに優れているんだろうなと思いました。

それは、「イメージする、空想することを意味する想像力」 と「 クリエイト、創り上げるという創造力」です。

・一つ目のイメージすることの想像は、徹底的なマーケティング的観点です。これは、春菜さんの目標設定のしかた、コロナ禍での対策や施策の導入などです。

・二つ目の創り上げるという創造は、ユニセフとのスポンサー契約のあり方、平和を願うなどの理念ビジョンに共感してくれる、ファンになってくれる人を巻き込むということです。

どうしても J2という不利な逆境があると、この共感をしてもらうということが欠如してしまいがちですが、やはり多くの人を巻き込むには、ストーリーを作って共感をしてもらうということが必要なんだろうなと思いました。

そして、今回色々調べてみて、ちょっと脱線しますが思ったことです。当チャンネル、スポ深でも手を変え、品を変えて、いろんなテーマを取り扱っています。

それは、なるべく単調にならない、かつ多様な切り口を変えると、いろんな学びもありますし、みなさんに共感をしてもらいたいということがベースにあるんだろうなとおもいます。

ですので、これからも、いろんなものに触れ、リサーチをする中で、共感していただくメッセージをこれからも発信していきますので、これからもよろしくお願いします。


さて、Tipsがこのままだと、かなり壮大な話で実践のしやすさでは欠けてしまうので、若干抽象度を上げて、個人レベルでも考えてみました。

・イメージするという想像では、地に足を固めて現状分析をして、まずやれることはなにかを考える。・クリエイトの創造では、将来どうありたいのかを積極的に発信する、
そうすることで応援したいという人が出てくるかもしれない、手伝うよとか一緒にやろうって言ってくる人が出てくるかもしれない
この両輪が大事なんだろうなと思います。

当チャンネルもスタートして約半年立ちましたが、ここ最近は、おかげさまで、他のパーソナリティとのコラボ配信やゲストを招いての配信など、色々な広がりが増えてきました。
これからも色々模索していきますので、宜しくお願いします。

このnoteはVoicyの過去の放送を文字に起こしたものです。
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