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実はずっとキリアン・マーフィー推し

今年のアカデミー賞で晴れて主演男優賞を受賞した『オッペンハイマー』のキリアン・マーフィー

美しいブルーの澄んだ瞳に、
低くて質のよい、色気のある声。
繊細さ。脆さ。危うさ。ちょっとの狂気。
そんな雰囲気が似合いそうな顔立ち。

でも、妻役で共演したエミリー・ブラントに言わせると、実際の彼はとにかく「sane(良識があって正気)」な人間なんだとか。

そう、わたしはキリアン・マーフィーという役者が大好きなのです。
どちらかというと脇役として作品の質を格上げしたり、悪役に徹したりということが多かった中で、約20年間一緒に作品を作ってきたクリストファー・ノーラン監督から主演のオファーがきて、その役にオスカーが微笑みを向けるなんて。。。
もう嬉しくて、たまらないのです。

GQのインタビュー記事を読んで(実際にはオーディオで聴いた部分も多いけど)、彼の魅力を再発見して、興奮して、大脱線して文章を書いてみました。

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わたしがファンである理由

これだけ映画を観るので「好きな俳優は?」と聞かれることもあって、その度に少し困って、たぶん毎回ちょっと違う回答をしてしまっているのだけれど、キリアン・マーフィーの名前を挙げたことは何度かある。ノーラン作品を観たことがある人には、という条件付きで。

ノーラン作品の中のキリアン・マーフィーは、脇役でもほどよく印象に残って、ほどよく主張しすぎないという点で、好きだ。わたしが最初に彼の存在を意識したのも、まさにこの"ノーラン・ファミリー"に名を連ねるきっかけとなった『バットマン ビギンズ』だった。

スケアクロウ。バットマンの敵で、もちろん悪役なのだが、ものすごく恐ろしいかというとそうではない。完全無欠な強敵とは言いがたく、彼の中にも弱さが見え隠れする。その全てを表現する彼の瞳に、、、いやいや、それにしても綺麗すぎじゃないか!?といった感じで吸い込まれ、わたしは沼っていった。その後のノーラン作品でも、"弱さ"や"恐れ"を目で語る演技がとにかく魅力的で、ずっと推している。

彼を有名にしたもうひとつの代表作といえば、ドラマ『ピーキー・ブラインダーズ』。こちらでは、スケアクロウからは打って変わって、冷酷で切れ者のギャング、トーマス・シェルビー役で主演を務めている。このThomas Fookin' Shelby様役は、とにかくクールでかっこいい!!本作では目よりも、声での演技が際立つ。その声の奥には"恐ろしい何か"の存在を感じさせ、相手に恐怖心を植え付ける。声自体が、ある意味、ひとつの武器のよう。かと思えば、意中の相手には「I'm a man who drinks tea.」なんてバーミンガム訛りの優しい声で言うもんだから、ずるい。

GQ様、ありがとう


さて、ここまで彼の演技について、とても主観的な魅力を語ったわけなのだけど、GQのインタビューの内容についてちゃんと言及しておきたい。オーディオでもフルで聴くと40分というぎっしり詰まったボリューム満点の記事で、ファンとしてはうれしい悲鳴。この記事を通して受けた印象は、彼が俳優という"仕事"に対して非常に職人気質で、名声に興味がなくて、地に足ついた人間だということ。

特に印象に残ったのは、普通の生活を送り、普通のことをして、一般人としての日常の流れに身を任せつつ、周りを観察できる状況にあることこそが、役者として最良の"リサーチ"になると考えていること。プロモーションや映画祭、そして次の撮影現場へ、と忙しなく動いていると、人間としての経験の範囲を狭めてしまうのでは、と。アートを愛しつつ、ビジネスとして俳優という職業に向き合う姿勢、そして常人らしさを保っている点で、さらに好感度が上がった。

ちなみに、(ご想像の通り)道端で遭遇したファンからの写真撮影のリクエストはいつもお断りするそうなのだけれど、その代わりにほんの少し会話する時間を取るようにしているらしい。いいなあ、わたしもツーショットはいらないから20秒間その美しい目をまっすぐに見て会話してみたい(笑)

なにはともあれ、『オッペンハイマー』が楽しみで仕方がないvoodoo girlなのでした。

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