【月刊ものときろく】 夏は「花火」
夏は、「花火」
歴史・背景
日本における玩具花火のルーツ
1659年、大和の国(現・奈良県)から江戸へでてきた弥兵衛(初代鍵屋)が葦の管の中に火薬を入れた初歩的な花火を考案し売り出し、江戸庶民に爆発的な人気を得たと言われおり、玩具(おもちゃ)花火のルーツのようです
日本における花火大会のルーツ
1700年代に全国で凶作となった他、江戸で伝染病が大流行になり、大勢の人が亡くなくなりました。
そこで当時の八代将軍・徳川吉宗が、悪疫退散祈願と犠牲者の供養のために行ったのが「水神祭」です。
水神祭は、隅田川の川開きに合わせて両国橋周辺で実施され、このときに上がった花火「両国川開き花火」が現在の「隅田川花火大会」のルーツとなったとされています。
「花火」の種類
日本の花火は大きく2系統に分けられます。
玩具(おもちゃ)花火
煙火花火
打ち上げ花火
仕掛け花火
1. 玩具(おもちゃ)花火
身近で手軽な玩具(おもちゃ)花火ですが、日本は法律で火薬の量などが決まっており、安全な花火が作られることで幼い子供でも遊べるため、花火という文化が身近になっています。
社団法人日本煙火協会検査所において合格したものに限られますので、とても安全な花火です。
手持ち花火では、線香花火・すすき花火・スパーク花火・手筒花火・絵型花火などが一般的にあります。手持ち花火以外にも、ねずみ花火、ロケット花火、打ち上げ花火、噴水花火など様々な種類あります。
2. 煙火花火
煙火花火とは、花火大会などでよく見かける、花火師の方がつくった花火を指します。これは、使用する際、届出等が必要であり、一定の資格をもった方のみが使用できる花火となっています。
2-1. 打ち上げ花火
打ち上げ花火は火薬によって、球体の「花火玉(はなびだま)」を上空に打ち上げます。
花火玉は、「星」(花火の元となる物)と言われる火薬が陳列され入っている半球体の容器を、頑丈な紙を貼り合わせた「玉皮(たまかわ)」で囲っています。
花火玉は、上空で星を飛び散らせるための火薬「割り薬(わりやく)」が中心に仕込まれています。ここから導火線を伝って玉皮を破壊して打ち上げ花火が上がる仕掛けになっています。
種類も
「割物」と言われる一般的な物から「半割物」「小割物」、「ポカ玉」や「型物」、「スターマイン」など、細かく種類があります。
2-2. 仕掛け花火
通常の花火と異なり、趣向を凝らした様々な仕掛けによるタイプの花火のことです。綱仕掛けや枠仕掛け、車花火や水中物などがあり、代表例はクライマックスに登場する「ナイアガラ(綱仕掛け)」や「水中花火(水中物)」などです。
枠仕掛けは大きな文字や企業ロゴなどを花火で表現するものなどがよくみられます。
玩具(おもちゃ)花火の進化
おもちゃな花火は基本的な部分は変わっていないのですが、現代的な変化を遂げています。
全体的に言えることとして、現代の環境に配慮しつつ、煙が少なくなって遊びやすくなってるものが多いです。
その中でも特徴的なものをいくつかご紹介します。
■とにかく長く燃える!
昔はすぐに消えてしまうものも多かったですが、今では長く燃えるものも増え、個体差はあるものの180秒(3分!?)燃えるものも出てきました。
コンビニに売ってるような花火ってあっという間に終わって、実は点火してる時間と楽しんでいる時間が大して変わらないんじゃないか?って疑問に思いませんか?笑
この花火ならそんな心配も無用。長く楽しめて写真撮影もバッチリです。
■色が20色!?
打ち上げ花火同様に、様々な色が使えるようになり、中には1本で20色の変化が楽しめるものも出ています。
何回変化したかを数えながらお気に入りの色を見つけるのも良いかもしれません。
■水中でも火が燃える!?
水の中でも火がついた金魚が動きます。
わざわざ水がある場所で花火をしないといけないという条件付きですが、、子供がビックリする顔が目に浮かびますね。
老舗花火問屋 : 長谷川商店 おすすめ玩具(おもちゃ)花火
「ものときろく」では花火販売の老舗であり花火コーディネーターがいる長谷川商店さまへ取材に伺いました。
詳しい内容は、以下よりご覧ください。
ここでは長谷川商店様がおすすめする「玩具(おもちゃ)花火」をいくつかご紹介致します。
■たこおどり
長谷川さん曰く、
「40年選手、これに勝るものはない」
とのこと。最近発売された良質な国産花火もたくさんありますが、純粋な楽しさではこれにか敵う花火はないそうです。
火がつくと、タコが分離して回転!?まさにタコ踊り!
賑やかで楽しめること間違いなしの手持ち花火です!
■うんち花火
みんな大好き「うんち」をモチーフにした花火
火がつくと頭からリアルな「○○○」が。。。笑
小さいお子様(特に男の子)がいるご家庭はぜひお試しくださいw
■碧火(ひゃっか)
お店のオリジナル商品であり、象徴的な商品である打ち上げ花火。
花束状に打ち上がった後に、青い星が炸裂する華やかな打ち上げ花火です。
なぜ象徴かというと。。。こちらは「みせとものときろく」に記載していますので是非ご覧ください。
その他にも長谷川商店さんのオリジナル花火には、皇火(おうか)や天火(てんか)、神火(しんか)などシリーズ展開されています。
日本一、いや世界一花火を販売しているお店がおすすめする花火
是非、この夏ぜひ試してみてください!
打ち上げ花火」の進化
■3D花火
近年は色以外にもITを取り入れた進化を遂げています。
2017年「TOKYO ODAIBA STAR ISLAND」では200台以上のスピーカーを設置し、立体音響を作り空間を演出しました。
打ち上げ筒を数十本まとめたものに点火用の端末を接続することで予めプログラミングされたソフトを遠隔操作することで打ち上げる仕組みで、花火と音楽は100分の1秒の精度で調整でき、人が直接点火する方法ではなし得ない多数の花火をシンクロしているのとのこと。
また、最近では3Dサウンドに加え、最先端のプロジェクションマッピングやレーザーなどを組み合わせた大規模なものになっています。
以前からディズニーランドのようなテーマパークや、音楽イベントでは大小様々な花火で演出することがありますし、花火大会がそちら側に寄せていくのも自然な流れかなと思いますよね。
■オンライン花火→デジタルツインとVR
コロナ禍による規制が入り、20年以降は様々な花火大会が中止に。
そんな中、2021年8月28日、大阪府のりんくう花火大会の実行委員会が中心となり、オンライン花火大会が開催。同大会では、単に動画を見るだけではなく、「おうち花火でコラボを楽しむ」をコンセプトに、オンライン動画を見ながらカウントダウンして、自宅や手持ち花火ができる公園などから一緒に盛り上がる企画が実施され、花火大会の新たな形を切り開きました。
仮想空間であれば、どれだけ多くの観客が集まったとしても、密の心配をする必要はありません。
ある実証実験では、参加者の自宅に段ボール製のVRゴーグルを郵送し、自由にデジタル花火を楽しめるようにしたそうです。
シミュレーションを行うことで、観客席から花火が見えない、あるいは、搬入しようとしていた機材が入らない、というようなトラブルを防いだり、人の流れが集中しやすい場所や、リスクの高い導線を事前に把握することができ、非常事態の避難誘導のシミュレーションを行うこともでき、今後に活用が見込めるとのこと。
先日実施された花火大会でも川沿いの枯れ草に引火し中止になったり、意外とリスクはあるのかなと思いますし、都会の花火大会だとせっかく近くまで来たのにビルの谷間から少し見えて残念みたいな結果もあるあるですよね。
あくまでもシミュレーションなのでどこまで活用できるかはわからないですが、将来的に一人でも多くの人がストレスなく楽しめるようになると良いですね!
■カラーバリュエーション
明治時代までは原料が少なく橙色のみでしたが、その後アルミニウムやストロンチウムなどさまざまな原料が輸入されるようになり、色彩が豊かになりました。
江戸時代までの花火は明るさも限られていたため、主に近距離で鑑賞するものでしたが、新たな物質が使用されたことで、現在のように遠くから花火を鑑賞するスタイルが生まれたのそうです。
さらに大正、昭和と新たな原料が増えていき、花火の技術は格段に進歩していき、平成元年には、単色の7色(赤・青・緑・黄・紫・金・銀)が使える状況になりました。
令和になり、ピンクやエメラルドグリーンなどの色や、感触から暖色、1発の打ち上げで色相の変化なども表現が可能になりました。
これは平成元年は1つの星の中に1種類の化学薬品しか入れれなかったものが、令和になり複数の薬品を薄く層にすることで2つ以上の薬品を入れることが可能になったことによるものだそうです。
Topics. たーまーやー
当時の歌には「橋の上、玉や玉やの声ばかりなぜに鍵やといわぬ情(じょう)なし」や「玉屋だと またぬかすわと 鍵屋いい」というものがあり、浮世絵に玉屋の花火が多く書かれていることから、当時は玉屋の方が鍵屋より人気があったようです。
まとめ
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