見出し画像

際限なく上昇する新規顧客獲得コストをどう考えるか? CPAに固執しない思考がむしろCACを抑える?

みなさんの会社は、新規にお客さまを獲得するためにどれくらいの費用をかけているでしょう?

リユース業界では、インターネット広告への移行がかなり遅かった業界ですが、今となってはリスティングも含めスマホファーストで見込み顧客に最適化されたマーケティングを行うのが当たり前になっています。

CAC(Customer Acquisition Cost)とCPA(Cost Per Action)

同業他社に先駆けて広告費をインターネットに全振りし、結果的に送客率を上げてきたバリュエンスですが、他社との競争が激化している現状を考えると、顧客を獲得するためのコストであるCAC(Customer Acquisition Cost)はこれからも上昇し続けると考えるのが普通でしょう。

この傾向はどの業界でも同じだと思います。

顧客獲得に要したすべてのコストを指すCACに対し、施策ごとを対象とするCPA(Cost Per Action)は、マーケティングを考える上で重要な指標です。

CPAは単価によって変わる

Google広告などの検索連動型の広告の最適化ツールで有名なwordstream社によると、業種を問わないCPAの平均は、リスティング広告で7175円、ディスプレイ広告で11065円となっています。

同社の公開しているデータを見ると、もちろん業界ごとにコストは異なり、やはり単価の高い商品やサービスを提供している業界ではCPAが低く抑えられる傾向にあります。

ネット広告主体に切り替わり競争が激化

いずれにしても、比較的安価で大量にそして同時に、ターゲットを絞った広告が打てるようになったインターネット広告の登場で一度”グレートリセット”が起きたCPAも、いち早くネット移行を果たした起業の先行者利益が消え、顧客獲得の競争は激化する一方です。

CACを下げるためには、各チャネルごとのCPAを比較検討し、潜在的な顧客候補を狙い撃ちし、送客の確率を上げることがセオリーとされています。

もちろん売り上げの増減を把握した上で、CPAの効果を検証していくことはマストですが、最近考えるのは、CPA、CAC自体に拘るよりも、「結果としてCACが下がっていくよね」という全体最適化ができないか? ということです。

マック、スタバ、Appleの顧客獲得コスト

たとえばマクドナルド。

幅広い年齢層に顧客を持ち、自分が「顧客である」と意識しているかいないかにかかわらず、少なくとも「年に数回は食べる」というリピーターが世界中にいる、ハンバーガーチェーンというくくりでは収まりきらない外食産業のモンスターです。

「サードプレイス」を標榜し、居場所を作ることで成功したスターバックスのリピーター率は言わずもがな。

製品でいえば、初めてのスマホにiPhone、その次にiPad、MacBook、さらに腕にはApple Watchと、生活、趣味、仕事と全方位で顧客をがっちりつかんで離さないAppleも、リピーターに支えられています。

どの企業も十分な知名度がありながら大量の、しかも高質な広告を打つことで知られますが、質のいい顧客をキャッチできることを考えればCACは低いとも考えられます。

新規顧客と良好なリレーションシップを築く

新規顧客の獲得は重要課題ですが、今日新しく顧客になってくれたお客さまに、必要なサービス、満足度の高い製品を提供できれば、その顧客を獲得した費用は将来的に「安かった」といえます。

結局のところ、世界的なブランドとなり、長い間愛され続けているブランドは一回グリップした顧客といいリレーションシップを築くことでビジネスをスケールさせてきたのです。

もちろんこうした顧客には、製品やサービスのファンとして、周囲に口コミを広げてくれる効果も期待できます。

新規に顧客を獲得するコストは右肩上がりであることを考えると、やはり「今日」新規に獲得できた顧客に対するコストが一番低く抑えられ、そのお客さまにリピーター、さらにロイヤルカスタマーになっていただくことができれば、将来的なCACが大幅に節約できることになるのです。

新規顧客獲得タイミングの“チャンス”を最大化する

広告の差別化、マーケットや顧客分析によるターゲティング、そもそも「ブランド品を売ろうと思っていなかった人」を顧客として開拓していく努力は継続する必要があります。

しかし、もはやレッドオーシャン化した顧客獲得競争に巻き込まれているだけではコストを増やすor節約の二択しか浮かんできません。

特にリユース業界では、同じ「LOUIS VUITTON」というワードで集客したセグメントであっても、利益率にかなりのバラつきがあります。

CPAだけにとらわれ、広告費用を上げ下げするのは本質的な経営にならない可能性が高いのです。

数字も大事、データはすべてインプットして徹底的に分析する。その上で、その数字やデータの生かしどころを、ビジネス全体、将来的な効果も見据えた広い視野で探ることが、経営者の手腕といえるのではないでしょうか。

まずは過去のCAC投下の結果来店してくれたお客さまの心をつかむこと。来店のチャンスを最大限に生かし、長いお付き合いをしていただくことこそが、顧客獲得コストのもっとも有効な使い方になるはずです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?