嵜本晋輔

2003年、ガンバ大阪を戦力外に。JFLを経て23歳でサッカー界から”前向きな撤退”を…

嵜本晋輔

2003年、ガンバ大阪を戦力外に。JFLを経て23歳でサッカー界から”前向きな撤退”を果たし、ビジネスの世界へ。ブランド買取店『なんぼや』、アスリートの持続可能な未来を創るスポーツ関連事業などを行うバリュエンスホールディングス代表取締役社長をしている”元Jリーガー社長”です。

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  • 戦力外Jリーガー社長の道のり

    フランスの哲学者、アランは『幸福論』のなかでこんなことを言っています。 「幸福はあのショー・ウィンドウに飾られている品物のように、人がそれを選んで、お金を払って、持ち帰ることのできるようなものではない」 幸せはお金で得られる物ではなく、振り返ってみたときに初めて感じるものではないか。 私にとってそれは、無心にサッカーボールを追いかけていた“あの頃”でした。 これは21歳でガンバ大阪から戦力外通告を受けビジネスの世界に飛び込んだ私の物語。

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21歳で「手放せた」幸運。ガンバ大阪からの「戦力外通告」への感謝

「来年は契約はできません。自分でチーム探して下さい」 高校を卒業し、憧れだったJリーガーになり夢に溢れていた私が、21歳でガンバ大阪から「戦力外通告」を受けたこと。普通に考えたら悲劇でしかないですよね? テレビのドキュメンタリー番組で密着でもされていようものなら、さぞかしドラマチックなシーンが撮れるんだろうなと自分でも思います。 今日は、私がJリーグを離れることになった際の率直な気持ちをお話しようと思います。 嫌味でも何でもなく、戦力外通告してくれたガンバ大阪には感謝し

    • ビジネスモデル、仕組みが企業とあなたの仕事を変える〜戦力外Jリーガー社長の道のり29

      古い慣習にとらわれず既存のオークションではなく、自前で、しかも、一般のお客様から買い取ったブランド品をリユース業者に供給するBtoBのオークションを立ち上げたバリュエンンスでしたが、このオークション開業当時はビジネスモデルに懐疑的な目もありました。 前回はこちら せっかくのブランド品をお客さんに売らないの?当時のブランドリユースといえば、テレビなどに頻繁に露出する名物社長が広告塔になっている販売店などもあり、「ブランド品が安く買えるディスカウントショップ」のような扱いでし

      • 際限なく上昇する新規顧客獲得コストをどう考えるか? CPAに固執しない思考がむしろCACを抑える?

        みなさんの会社は、新規にお客さまを獲得するためにどれくらいの費用をかけているでしょう? リユース業界では、インターネット広告への移行がかなり遅かった業界ですが、今となってはリスティングも含めスマホファーストで見込み顧客に最適化されたマーケティングを行うのが当たり前になっています。 CAC(Customer Acquisition Cost)とCPA(Cost Per Action)同業他社に先駆けて広告費をインターネットに全振りし、結果的に送客率を上げてきたバリュエンスで

        • 数字で決まらない"いい社員"の基準とは? 変化する企業で経営者が示すべき方向性

          ここ数回のnoteでは、顧客のマインドが、旧来の価格や機能、損得で商品やサービス、企業を選ぶ"機能的価値"から、商品やサービスによって得られる体験や社会への貢献を含めた"情緒的価値"に代わりつつあり、情緒的価値を高めることこそが、これからの企業が"違い"をつくり出し、一歩抜け出せる方法ではないかということをお話してきました。 「お得」「便利」「有名」でだけでは新規顧客が獲得できない時代に価格や機能は大切でしょう? という人も、「たくさんつくってコストを下げ、必要以上に買い、

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        • 戦力外Jリーガー社長の道のり
          29本

        記事

          機能的価値の競争とデジタルマーケの狂騒から抜け出すための情緒的価値とは?

          前回は、インテリアショップでの私の個人的な体験をもとに情緒的価値についてお話しました。 前回はこちら 機能的価値と情緒的価値の違いをうっすらつかんだところで、両者がもたらす顧客への変化について考えてみたいと思います。 「思いもよらない提案」から生まれた情緒的価値私の個人的体験を端的に説明すると、 「セールを待った方が安く買える」という一般的にはベンダーやサプライヤーの利益につながらない、むしろ不利益になるような提案を受けたことで、店員やショップへのロイヤリティが高まった

          機能的価値の競争とデジタルマーケの狂騒から抜け出すための情緒的価値とは?

          インテリアショップであと数日でセールになる商品を買おうとして店員に止められた話

          顧客のリテラシーが高まり、市場が成熟してくると機能的価値での競争が激化します。行き着く先は、利益を削った消耗戦。しかし、リテラシーが高まったということは、顧客に新しい提案ができるということでもあります。 これまでにない機能的価値をリユース業界に持ち込むことで先行者利益を得て成長を続けてきたバリュエンスですが、私は経営者として特にここ数年、お客さまに新しい価値を提供し、機能的価値だけで判断される現状を変えるために何をすべきかずっと考えていました。 その答えの一つが、情緒的価

          インテリアショップであと数日でセールになる商品を買おうとして店員に止められた話

          餌を求めて最初に海に飛び込んだ“ファーストペンギン”が群れに呑み込まれないために何をすべきか?

          note内での連載『戦力外Jリーガー社長の道のり』で改めてバリュエンスの歩みを振り返っていると、ブランド買取専門店『なんぼや』や事業者専用のオークションプラットフォーム『STAR BUYERS AUCTION』、ヴィンテージブランドショップ『ALLU』など私たちの事業はいずれも、質屋然とした古い体質を引きずっていたリユース業界の変革期に、これまでになかった新しいことをいち早く実行してきたからこそ現在があると実感します。 ファーストペンギンが餌を独占できる時間は思いのほか短い

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          常識はつくるもので、壊すもの。古物商オークションを変えたらそれが常識になった話~戦力外Jリーガー社長の道のり28

          バリュエンスの強みの一つであるtoBオークションであるSTAR BUYERS AUCTIONにつながる主催オークションを始めた私たち ですが、前回お話ししたように当初は『なんぼや』で買い取った商品を第三者が開催するオークションに出品して売っていました。 非効率な古物商オークションそこは質屋以来脈々と続く古い体質のリユース業界のことです。参加してすぐに、“オークションの非効率”が目に付くようになりました。 「今の時代にこれはない」 そう思うことがたくさんあり、商習慣や伝統

          常識はつくるもので、壊すもの。古物商オークションを変えたらそれが常識になった話~戦力外Jリーガー社長の道のり28

          ブランド品を同業者に売る「CtoBtoB」というコロンブスの卵~戦力外Jリーガー社長の道のり27

          前回はこちら 2018年3月、バリュエンス(当時の名称は株式会社SOU)が東京証券取引所 マザーズ市場へ株式上場を果たしたとき、ビジネス的な“違い”として市場から評価されたのが、“コロンブスの卵”的発想のBtoBオークションの存在でした。 「買い取って、売る」のが当たり前だったリユース業界質屋を見てもわかるとおり、当時のリユース事業者は顧客から買い取った商品を消費者に直接販売するBtoCのビジネスモデルを採用していました。今でもそのやり方が主流であることに変わりはありませ

          ブランド品を同業者に売る「CtoBtoB」というコロンブスの卵~戦力外Jリーガー社長の道のり27

          「創業7年で上場」の真実。企業が上場する理由のリアル~戦力外Jリーガー社長の道のり26

          21歳でガンバ大阪から戦力外通告を受けビジネスの世界に飛び込んだ私の物語も、私のキャリアと同じくサッカーよりビジネスに携わる時間が長くなってきました。 もちろん、Jリーガーとしての自分があったから、無心にボールを追いかけ、夢中になったサッカーがあったからこそという原点は変わりません。 今日は、企業にとって転換点となる大きな出来事、「上場」についてお話ししたいと思います。 前回はこちら なぜ上場を目指したのか?二人の兄にリユース部門を任されて以来、「業界の常識にとらわれな

          「創業7年で上場」の真実。企業が上場する理由のリアル~戦力外Jリーガー社長の道のり26

          自分たちの信念を貫いた先にある勝利についてD.LEAGUE・バリュエンス インフィニティーズが教えてくれたこと

          先日来、“価値感“についてのnoteを連続で書いています。 結果と大切なものの関係人生においていちばん大切なこととは何か? 「お金や物ではないよね」 「肩書や地位、名誉でもないよね」 こう話すと、必ずと言っていいほど、「では努力しなくていいのか?」「お金を稼ぐことは悪いことじゃない」「成長も成功もしなくていいのか?」という反論が飛んできます。 私は自分がバリュエンスの経営者として、サッカーの南葛SCの経営にも参画する取締役として、プロダンスリーグ、D.LEAGUEに所属す

          自分たちの信念を貫いた先にある勝利についてD.LEAGUE・バリュエンス インフィニティーズが教えてくれたこと

          壁を乗り越えるための思考法。一定の成果を生む“比較思考”と、限界突破について

          ここ数回、大切なもの、幸せや価値観について話しています。前回のnoteでこんなお話をしました。 誰かや何かとの比較が人々を苦しめている体型や身長、年収や車、時計、身につける物、持ち物・・・・・・ 自分なりの軸を持って選んでいれば問題ないものでも、“比較”をし始めると、主体が自分ではなくなってしまいます。 世の中で生じている価値観の歪みのほとんどは、誰かや何かと比べることから起きていると私は思っています。 そしてこの“比較”が、多くの人を悩ませ、苦しめています。 比較

          壁を乗り越えるための思考法。一定の成果を生む“比較思考”と、限界突破について

          「自分が本当に大切にしていること」は案外見えづらく、第三者につくられたものかもしれないという話

          前回は「人生で一番大切なこと」について、私なりに感じていること、会社を経営するうえで「大切なことやもの」がどう影響しているかをお話ししました。 「大切」の棚卸しをする‟もの”にしても‟こと”にしても「人生でいちばん」と言われると、それなりに重大に受け止めて考えるので、即答できない人がほとんどです。 普段から大切なもの・ことの「棚卸し」をしておくと、自分の人生の軸がしっかりしてきます。 スマホを見ても、テレビを見ても、誰かと話しても、電車に乗っていても、道を歩いても、世の

          「自分が本当に大切にしていること」は案外見えづらく、第三者につくられたものかもしれないという話

          「人生でいちばん大切なこと」が“お金”な人は実はほとんどいない理由

          あなたにとっていちばん大切なものはなんでしょう? あなたの人生でいちばん大切なことはなんですか? いきなり聞かれると戸惑う人も多いのではないでしょうか? 自分がいちばん大切にしているもの、ことのはずなのに、具体的に聞かれると即答はできない。 今回は、“大切なこと”について考えてみたいと思います。 自分にとって「いちばん大切なこと」は何か?バリュエンスグループでは、 「大切なことにフォーカスして生きる人を増やす。」 をミッションとして掲げています。 なので私は、私自身の“

          「人生でいちばん大切なこと」が“お金”な人は実はほとんどいない理由

          企業の成長は社長の器で決まる? 自走式の組織を育てるための試行錯誤

          昨年の私は「自分の影響力をいかに弱め、自走式の組織をつくっていくか」をテーマにしていました。このnoteでも何度かお話ししていますが、経営にしても自分の人生にしても、同じ局面は一つもありません。時代も状況も環境も違う中で、過去の成功体験をなぞることがどれほど危険かは、みなさんもよくご存じのことではないでしょうか。 過去の経験、自分の「正しさ」に頼る経営者人間とは弱いもので、事に当たってついつい過去の成功体験を引っ張り出したり、知識や常識、前例に頼って意志決定をしてしまいがち

          企業の成長は社長の器で決まる? 自走式の組織を育てるための試行錯誤

          価格競争を手放し、新たな価値を見出すためにしたこと~戦力外Jリーガー社長の道のり25

          鑑定士として店頭に立っていた頃、お客さまのお話に耳を傾け、手放す商品にまつわるエピソード、手放さなければいけなくなった理由をお聞きしているうちに、お客さまの信頼を得るという経験が何度もありました。 前回はこちら 査定価格勝負の買取業界には初めから違和感があったその頃の買取店では、買取価格の競争が当たり前で、ブランド品を持った人が複数の買取店を回って一番高値をつけた店で売るという光景も珍しくありませんでした。 ブランド買取というビジネスモデルを考えれば、在庫確保のために無

          価格競争を手放し、新たな価値を見出すためにしたこと~戦力外Jリーガー社長の道のり25