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【追記:合格しました】 ビアテイスターセミナー&試験を受けてきた

2022年9月上旬、出会ってしまった至高のビール。
そこから、ビールを真面目に飲み始めて約10ヶ月。初めてビールの資格取得を目指すことにした。

私は関東在住だが、一番近い日程が大阪会場だったため大阪にやってきた。東京会場よりも人数が少ないらしく、割と質問しやすい環境だった(休憩時間や授業中に講師の方に質問できるのが一番助かった)。

10名のうち7名がビール関係者(ブルワリーやビール開発担当者など)であったが、私は"飲み手のプライド"を磨くために参加しているタイプである。


ビアテイスター認定講習会とは

今回受けたビアテイスター認定講習会は、日本地ビール協会が実施している。

「ビアテイスター」とは、「官能評価(テイスティング)によってビールの出来の良し悪しを客観的に鑑定し、その理由を理論的に説明できる人」に対して与えられる資格です。

ビアテイスターセミナー

奥深いビールを知るための入り口としてとてもよい資格だと思った。

客観的にビールの良し悪しを判定できるための入門試験的立ち位置に思う。広く浅く、醸造方法やテイスティング方法、オフフレーバー(異臭)、海外のビアスタイルの勉強を一日でできる。

午前の部
ビアテイスターの役割
ビールの基礎知識
官能評価の方法と手順オフフレーバー

午後の部
ドイツ・チェコ・オーストリア発祥のビアスタイル
イギリス・アイルランド発祥のビアスタイル
ベルギー発祥のビアスタイル
アメリカ発祥のビアスタイル

ビアテイスターセミナー

授業自体は10時から17時半頃まであり最初はそんな長時間やってられるかいと思ったのだが、ビールの雑学や知識はあまりにも面白く、気づいたら終了していた。

試験は筆記55分問+官能試験6問を50分で解答する。他のブログを予習していたところ、時間がないといった記述が見られたが30分くらいで解けた(全問自信があるとはいってない)。予め予習をしておく+普段からビールの知識を入れておくという前提と、授業をしっかり聞くことを合わせればそこまで難しくないのだろう。

試験と解く際、最も難しいのは酔わないように調整することだった。授業中に40種程度のビールをテイスティングするため、もらったものを全部飲んでいるベロベロになる。全部飲んで合格した猛者もいるとのことだったが、とても真似できない。自分のキャパと相談して、貴重なビールであっても飲まない意識を持っておいた。

テイスティングした全ビールの空き瓶・缶(30~50ml程度ずつくれるが全部飲む必要はない)

講習中に気づいた面白かったこと

基本的なビールの醸造方法を知り、そこからテイスティングの基本を学ぶ内容である。醸造方法は基礎としても、テイスティングに関することは初めて知った。

香りを言語化する習慣

「ホップの香り」や「モルトの香り」と言われてどんな香りか言葉にできるだろうか。
実際にどんな匂いなのかをサンプル交えて身体で知ることができる。

私はこの「どんな香りか」「どんな味か」というのを言葉にするボキャブラリーがなかったのだが、授業中に聞いた良い習慣方法になるほどなと思った。

「街中でも家でも、香った匂いをとにかく言語化する習慣をつけましょう」

海でも山でも、かいだ匂いを言葉にする。「オレンジの匂い」「海の匂い」でもよい。感じたことを何かに例えていると鋭くなるらしい。
普段から飲んでいるビール――クラフトビールであればなおさら習慣をつけておくと知識に幅が出ると思った。

授業中に飲んだサンプルたち(一部)

オフフレーバーの種類

オフフレーバーは、ビールの風味を損なう化学成分である。劣化したビールから特有の香りや味を出してしまい、品質を下げる。

これを薬品を使って再現し、テイスティングで勉強できる。

実際にやってみると、どうやら自分が嫌いな味や香りには強く反応できるらしい。
DMS(クリームコーン)、ダイアセチル(バター感)、イソヴァレリアン酸(チーズ臭)、酸化臭(ダンボール、紙)、日光臭(スカンク)など代表格があるが、DMSと日光臭以外は飲んでいられないほど不味い。
特に酸化臭はひどく、ビールどころか飲み物として認めたくないほど不味かった。

オフフレーバーを学ぶと、本来出てはいけない風味を見抜けるようになるため「このビールはスタイルからはずれている」とか「ああ、適当に作られてるかも」ということが理解できるようになってしまう。
ある種、知らなくていいことに気づいてしまうので怖い知識である。

ただ、日光臭だけは多くの人が再現かつ経験しているかもしれない。いわゆる日光による劣化なので、外においておくだけで再現する。夏場は30分、カップでも瓶でもおいておくと再現可能だ。
BBQやプールサイドにおいてあるハイネケンは日光臭満載。

オフフレーバーは微量であればアクセントとして許容できるビアスタイルも存在するようだが、個人的には酸化臭だけはダメだと思った。とても人が飲める臭い・味ではない印象。「これダンボールに漬けてました?」と聞きたくなるくらい不味く、忘れられない味になってしまった。

さまざまなビアスタイルの発祥

現代ビールの大原則を作り上げてきた海外のビアスタイルについて学ぶ午後。知っていて飲み慣れたスタイルもあれば、初めて知るものもあった。

ビールは歴史や人間文化に密接に紐づいているため、どの国でどんなスタイルが生まれたかを知るためには必然的に世界史に触れることになる。
試される教養(もちろんこの講習会時点で初耳学でも良いし、実際初耳学ばっかりだった)。

インディアペールエール(IPA)をインディアン・・・・・・ペールエールと間違って呼んだりすることはなくなる。
IPAは、イギリスの植民地だったインドに滞在していたイギリス人のために、イギリスから輸出していたものだからだ。

草創期のアサヒビールの技術ひとつとっても、ドイツに派遣された生田秀が持ち帰ったからこそ実現したものだ。歴史に触れれば日本史ともつながってくる。
ひとつのビアスタイルを学ぶだけでも、芋づる式に他のビアスタイルや歴史に触れることができるので、かなり面白いと思った。

おわりに

今回、基礎的な部分を広く浅く学べたのでよい講習会だなあと思った。深淵を覗くと、きっと帰ってこられなさそうだが、興味の熱があるうちは行けるところまで行ってやろうではないか。

試験の結果は2週間程度かかるので、これを書いている時点では合否はわからない。発表されたらどちらにしろ追記する予定。

2023/07/05追記: 合格した

郵便受けに届いていた封筒を開けると認定証が入ってた!
認定バッジの申請も可能(有料)なので、これはぜひ買っておこうと思う。


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