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片田舎の部屋の窓から

部屋の窓が大きい。
わざわざカーテンを特注したぐらい。
光がさんさんと差し込むので、休日は夕方まで電気をつけずに過ごせる。

窓の外には桜の木が見える。
目の覚めるような薄桃色が眼前に広がり、春の訪れを突きつけられる。
もっと爛漫と咲き誇っている時に写真を撮れたら良かった。
桜が散って緑が豊かになる5月も好きだが、今回ばかりは悔やまれる。

ベランダから下を覗くと、虫がひっついたり離れたり。
啓蟄を過ぎると私の家にも遊びにくる。
洗濯物にしがみついて部屋の中に入って来るのだけは許されない。
小鳥が入れる木の箱があって、何羽か戯れている。
その中にいる小鳥のピチチという愛らしい鳴き声が部屋の中で聞ける。
朝は盛んに鳴いて起こしてくれるから助かる。

部屋の窓から見える、季節を切り取った風景を愛してやまない。
鄙びたこの地に住むのもあと1年かと思うと何となく淡い寂寥を覚える。

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