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フォネティックコード

君は、何でもビールの名前で例える。
「アルファのA」
みたいに、
「スッキリして飲みやすいから、ケルシェ!」
とバナナジュースを飲んだ後に言う。
そこはバナナの味で例えればいいのではないかと突っ込みたくなる。
「ブラボーのB」
みたいに、
「あの子は腹黒いから、シュヴァルツ。」
と唇を尖らせていた時もあった。
決まってドイツのクラフトビールの名前を口にする。好きらしい。

ねえ、それってつまりどういうこと?
なんて僕が聞き返すと、いつも少しの間黙る。そして、いい加減な鼻歌で誤魔化す。

君は今日も、
「このアイドルのダンスはピルスナー。」
なんてテレビの前でビールを飲みながらつぶやく。
その例え、フォネティックコードみたいに使ってるけど誰も分かんないから。
小賢しい女の子は煙たがられちゃうよ。

だから、僕以外の前では言わないでね。

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