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和して唱えず~荘子から学ぶコミュニケーション~

『衛の国の哀駘它という男がいた。
その男は、ひどく醜いらしいが、不思議なことに一緒に住むと男でも離れられなくなるらしいし、女などは彼を見ただけで「誰かの妻になるよりあの人の妾になりたい」なんて両親にねだる始末。そんな妾候補は十人単位じゃきかず、今も増えているらしいじゃないか。
人の死を救ってあげられる権力があるわけじゃなし、人の飢えを満たす財力があるわけでもない。ほんとに見た目も醜くて、知識だって国内のことに限られるらしい。
こんなありさまなのに、多くの男女がその前に集まってくるのは、これはきっと常人と違ったところが彼にあるのだろう。
どうも彼は、自分の考えなど主張することもなく
ただ相手の話に同調するだけらしい(和して唱えず)。どんな話も共感して包み込む。そんな彼にみんな魅せられているのだろう。

『荘子』徳充符篇


この寓話から感じた哀駘它のモテる理由。
どんな話もうんうんと聞く。
興味を持って思慮深く。
愛情を持って、相手の話を決して否定しない。
自分から無駄に話を広げず傾聴する。
この男、できる…。
昔からモテる男性というのは聞き上手なのか。



最近、失敗したことがある。
彼から「最近仕事どう?」と聞かれて、
ペアを組んでいる男性(一個上、独身)の面白話をしてしまった。
ふと彼の顔を見ると明らかにテンションが下がっている。
や、やってしまった…!
逆の立場だったら、例えば、彼に一個下の女の子の後輩がいて、一緒に仕事したときのことを楽しそうに話されたら…絶対にいやだ。私っていつもそう。
聞かれたことだけに答えりゃいいのに。
自分から風呂敷を広げてあれこれ喋って、空気を白けさせる。

◎荘子の逸話から学ぶ反省点
・聞かれたことだけ端的に答える。
・相手の話をひたすら聞く。
・相手に質問をすることで話題を展開する。
(相手を主軸にした話をする)
・自分から余計なことを話さない。
・面白い話をしよう上手く話そうと思わなくていい。
・相手にもっと知りたい、聞きたいと思わせるぐらいで丁度いい。全部を一度に話そうとしない。

和して唱えず」を肝に銘じる。
もう彼を不安にさせないようにしよう。
私と彼、あまりにも歩んできた人生が違いすぎる。
だからこそ、全てを知ってもらう必要はない。
過去の恋愛話なんて口が裂けても言えない。
駆け引きは二人の間に必要ない。
嫉妬させても自己肯定感を下げて苦しめるだけ。
その末に手放されたくは無いから。
私は彼さえいればいいの。


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