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rough to rough

ラフに書く練習のつもりがいつのまにか作品にしてやろうなど欲まみれになってしまうから人間は困る。ラフに書くこと自体がなかなかに訓練のいることだとは、絵の方で知っていたことではないか。

テーマ無しに自動筆記のように書き連ねようとも言葉はイメージに引き摺られなかなか自由には飛べない。音韻や意味に頼って並べ立てられる言葉の群れは文脈を成してしまう。

意味や文脈の下層で蠢く唸りや吃りを少しでも表層にぽこぽこと湧き出させたい。そうした欲望のもといくつかの断片的な文章-のようなものが生成される。

未満であることは困難であると同時に喜びに満ちている。それは静的な完成形という仮固定の一形態からの逃走であり満たされざる欲望の蠢きをそのままに走らせる動的な出来事だ。

動的なものとして、およそ吐き気を催すような受け入れ難い言葉の連立を成すこと、次々に意味が入れ替わり、さらには千切られた隙間から意味下へ潜ってしまう潜水的出来事を繰り返して、息継ぎの練習、不随意な運動、尿意とともに浮かび上がる詩を、あるいは皺を、僕は書きたい。



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