【詩】鉢

  鉢

金魚を監禁していることが
人生の楽しみのすべてのような
顔を晒して路上を歩く
通りすがりの小人たちが
車椅子の上を飛び跳ねながら
面白おかしく蹂躙している、
老体を

小綺麗な広告産業からつまみ出されて食うに困って
やむを得ず金魚を貪っている
好きな数字が「1888」であるような顔を
晒して路上を歩いている
シワにまみれた小人たちが
三輪車を捨てて車椅子に
乗り換えながら蹂躙している、
老体を

水を得た魚のように
入れ歯の隙間の唾液を泳ぐ
老いた金魚が、小人たちに
噛みちぎられている

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