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詩、小説(シュルレアリスム的ナンセンス文学)、映画評、書評などを執筆。芸術至上主義者かつ反アート派。アウトサイダー政治派。金沢市在住。好きな映画:「M」「テオレマ」「エル・トポ」「奇跡の海」等。目次: https://note.com/vwn0nf/n/na3317bb63dd9

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このnoteの作者について  詩、小説(シュルレアリスム的ナンセンス文学)、映画評、書評などを執筆。  「芸術至上主義としての反アート」そして「(アウトサイダー・アートならぬ)アウトサイダー政治」を標榜。  かつて、ダダ・シュルレアリスムを批判的に継承する新しい芸術運動の創始を試みるも、当然のごとく賛同者を得られず挫折。  以後、(いろいろな意味で)ドロップアウト。映画を観、読書し、眠り、誰に見せるあてもなく文章を書き綴る日々を送る。  2022年、noteにアカウントを開設

    • 【書評】『連続革命と毛沢東思想 文化大革命と九全大会以後』菅沼正久[1969] 非実在(永久)革命論

      菅沼正久[1969]『連続革命と毛沢東思想』三一書房.評価:☆★★★★  いきなり冒頭から、 という文章で始まる、1969年7月15日発行の文化大革命礼賛本である。新左翼系の理論書を取り揃えていた三一新書(三一書房)の一冊だ。  著者の菅沼正久の当時の肩書は、奥付によれば、本州大学助教授、協同組合経営研究所研究員、中国研究所所員。親中派の御用学者によるプロパガンダ本と言ってしまえばそれまでだし、実際、それ以上の広がりがあるような内容の本でもない。「当時の日本で、文化大革命

      • 【雑記】被災記 2024年1月2日〜31日

         2024年1月1日、能登半島地震が発生。翌2日以降、私は1ヶ月ほど、むちゃくちゃに引っ掻き回された自宅の片付け作業にあたった。  どこにも需要はないと思うが、その間に書いた作業日誌風の手書きメモを起こし、ここに載せる。  地震に関係ない記述も多い。細々した個人的な記述は省略。最低限、文章として「読める」部分だけ残したつもりだ。  なお、これらのメモはいずれも、各日付の翌日に書いたものである。起床し、前日の作業日誌を書くことが、この間の私の日課だった。 1月2日  重い腰

        • 【詩】詩篇2022

           2022年に書いた詩群。  「子らしき音」  「出発」  「月」  「口裏」  「残響炎」  「田舎」  「時間短縮」  「洞穴」  「人魚」  「俺の分身が隣でむごく殺されるのを見せつけられるだけの人生を面白がって生きているだけの分身であるところの俺の隣でむごく殺されていくのを見せつけてくる分身の退屈そうな人生」  「農舎」  「事故詩」  「恋」   子らしき音 音 子の声を聞きつける どすの効かせ方を聞き分け 音 この声こそ子の声と 聞き分けることが上手な方々の

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        • 【書評】『連続革命と毛沢東思想 文化大革命と九全大会以後』菅沼正久[1969] 非実在(永久)革命論

        • 【雑記】被災記 2024年1月2日〜31日

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          【雑記】能登半島地震で被災/津波から逃げる/地震に部屋を破壊される 2024年1月1日

           2024年1月1日16時10分、能登半島地震が発生。私は高速道路で、石川県能美市のあたりを走る車の中にいた。  同日中、なんとか金沢市の自宅に帰還。家の中は、むちゃくちゃに引っ掻き回されていた。  翌日、私は、起こったことと感じたことを簡単な手書きのメモにまとめた。  1ヶ月以上が経過し、ようやくほとんど生活環境は復旧したので、メモを起こし、ここに載せる。  2024年1月1日――16時過ぎ、私は、両親とともに、高速道路で福井方面から金沢へと向かっていた。運転は父、助手席

          【雑記】能登半島地震で被災/津波から逃げる/地震に部屋を破壊される 2024年1月1日

          【書評】『闇の精神史』木澤佐登志[2023] ジャンクな疎外論

           本題とは関係のない近況報告――  下に載せるのは、1月1日の朝に書き上げた書評である。その日の夜、校正してnoteに投稿するつもりでいた。  知ってのとおり、その日の16時10分、能登半島地震が発生。金沢市の私の自室では、2メートルを超える本棚が倒れ、床中に本が散乱し、とてもパソコンからnoteを更新するどころではなくなってしまった。  地震発生時、私は外出中だったが、部屋にいたら高確率で死んでいただろう。  1ヶ月ほど片付け作業に忙殺され、ようやく、パソコンで作業できる程

          【書評】『闇の精神史』木澤佐登志[2023] ジャンクな疎外論

          【映画評】ゴジラvs生権力 「ゴジラ-1.0」(2023)

          「ゴジラ-1.0」(山崎貴、2023)評価:☆☆★★★  原作レイプの常習犯、山崎貴監督が、ドラえもんに続いて今度はゴジラをレイプした。  国産の実写映画としては「シン・ゴジラ」以来7年ぶりとなる、ゴジラシリーズの最新作「ゴジラ-1.0」。敗戦直後の日本にゴジラが上陸し、焼け野原と化した東京を「ゼロ」から「マイナス」へと叩き落とす――というあらすじだけ読んだ時、私は一瞬、面白そうな映画だと思った。  そしてその直後、監督が山崎貴であることに気づいて、たとえ一瞬だとしてもこ

          【映画評】ゴジラvs生権力 「ゴジラ-1.0」(2023)

          安倍晋三が射殺された日に書いた文章を発掘したので、リンクを貼っておく。代議制民主主義が「政治」的であるがゆえに非政治的になり、逆に「非政治」的な動機からなされる犯罪が政治性を帯びる現象を読み解く文章。https://tzvair7.hatenablog.com/entry/2022/08/15/080457

          安倍晋三が射殺された日に書いた文章を発掘したので、リンクを貼っておく。代議制民主主義が「政治」的であるがゆえに非政治的になり、逆に「非政治」的な動機からなされる犯罪が政治性を帯びる現象を読み解く文章。https://tzvair7.hatenablog.com/entry/2022/08/15/080457

          【映画評】「社会的テーマ」という釣り餌 「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」(2019)

           テレビで観た映画についての雑感でも書こう。  物語の核心部分についての記述を含むのでご注意ください。 「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」(ジョン・ワッツ、2019)評価:☆☆☆☆★  2023年11月某日、テレビで録画してあった「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」を鑑賞。観るのは初めてだ。マーベル映画を熱心に観ているわけではないが、この作品の前作に当たる「スパイダーマン:ホームカミング」と「アベンジャーズ/エンドゲーム」は観たことがあった。  同列の作品

          【映画評】「社会的テーマ」という釣り餌 「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」(2019)

          みんな違ってみんないい――悪い奴らは、みな同じ。

          みんな違ってみんないい――悪い奴らは、みな同じ。

          多様性の名のもとにすべてが画一化される社会では、画一性を掲げることで多様性を死守しなければならない。

          多様性の名のもとにすべてが画一化される社会では、画一性を掲げることで多様性を死守しなければならない。

          私が好きな映画、音楽、本のリスト

           私が好きなもののリスト。随時更新。  注・以下の映画や本の思想的背景や主張に対して、必ずしも全面的に賛同するものではありません。 好きな映画 ざっと思いつく範囲で、好きな順に―― 「M」 「2001年宇宙の旅」 「奇跡の丘」 「時計じかけのオレンジ」 「映画はもう始まったか?」 「アンダルシアの犬」 「ソドムの市」 「奇跡の海」 「メランコリア」 「エル・トポ」 「ファイト・クラブ」 「オールナイトロング3 最終章」 「アリス」 「ソーシャル

          私が好きな映画、音楽、本のリスト

          【詩】鉢

            鉢 金魚を監禁していることが 人生の楽しみのすべてのような 顔を晒して路上を歩く 通りすがりの小人たちが 車椅子の上を飛び跳ねながら 面白おかしく蹂躙している、 老体を 小綺麗な広告産業からつまみ出されて食うに困って やむを得ず金魚を貪っている 好きな数字が「1888」であるような顔を 晒して路上を歩いている シワにまみれた小人たちが 三輪車を捨てて車椅子に 乗り換えながら蹂躙している、 老体を 水を得た魚のように 入れ歯の隙間の唾液を泳ぐ 老いた金魚が、小人たちに

          【詩】鉢

          【詩】塩夏

            塩を揉み込んだ夏の日差しが   勃起しながら遍在するのを   黙って見過ごそう 干からびている湯船の底へと 次亜塩素酸ナトリウム したたらせているチューブの先で 夏の気配が淀んでいる  裸の背中をマッチで炙って  太陽の下 さらし者にして  火傷が日焼けに覆われ陵辱  されるがままにまかせよう 見知らぬ誰かとサウナでおしゃべり している気分を味わうつもりで 火事場で拾ったカセットテープを 風呂場で聴いている

          【詩】塩夏

          【詩】廃屋

            廃屋 盛大に発表されていく廃屋の数を水増しするための年月が まるで歴史的な日々のように 生存圏を通過する まるで 情緒であるかのような 廃れ具合の多数性 年月が 真新しい廃屋の奥の ゴキブリ捕りを腐らせようと ささやかな善意を振りまいている 新しい自由 新しい害虫 個性豊かな国民たちに あてがうための廃屋以外 歴史の重みを語るものなど何一つない 新しい国

          【詩】廃屋

          【詩】日向

            日向 灰色のカーテンの向こう側には窓などないと誰もが薄々気づいている密室で 通気口が 夕方の外気を 陽光がわりに差し入れる 風通しの良すぎる密室 自分のことを広大な空だと思い込んでいる天井 「歩行者」たちは 誰にも見せたことのない美しい靴底を まるで大地であるかのような 床にへばりつけている 饒舌な外気 せめてもの夕方らしさ まがい物の陽光は 灰色に染まることを 何もかもに強いている 壁の隅まで塗りたくられているはずの 無意味な 不可視の塗料 「歩行者」

          【詩】日向