【詩】塩夏


  塩を揉み込んだ夏の日差しが
  勃起しながら遍在するのを
  黙って見過ごそう

干からびている湯船の底へと
次亜塩素酸ナトリウム
したたらせているチューブの先で
夏の気配が淀んでいる

 裸の背中をマッチで炙って
 太陽の下 さらし者にして
 火傷が日焼けに覆われ陵辱
 されるがままにまかせよう

見知らぬ誰かとサウナでおしゃべり
している気分を味わうつもりで
火事場で拾ったカセットテープを
風呂場で聴いている

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