見出し画像

DAO_#2:「DAO」の基礎知識 - 分散型自律組織とはどういう組織?

DAO(分散型自律組織)にはその名が示す通り、「組織」という意味があります。組織とは、何か特定の目的のために集まった一群の人々を指します。つまり、DAOであるかどうかに関わらず、まずは何の目的のためにその組織を作ったかが一番大事な問題と言えるでしょう。その上で、DAOが組織として目新しいのは、その構造が独特だからです。この単元ではDAOの概念や構造について解説します。


DAOとは何か?

■DAOの基本的な概念

DAOと言うと「組織の所有権は自分たち一人ひとりにある」という話になりがちです。しかしDAOという名称の中に「分散」や「自律」は登場しても、「所有」は登場しません。まずは、組織が自律的に存在・維持されるとは例えばどんなことなのか、過去に行われたDAOの定義に沿って見ていきましょう。

■ヴィタリック・ブテリンによるDAOの定義

Ethereum(イーサリアム)の共同創設者であるヴィタリック・ブテリンは、2014年のブログ投稿でDAOを明確に定義しました。その定義によれば、DAOは次の三つの特徴を持ち合わせた構造になっています。

1) DAOは(インターネット上に)自律的に存在しますが、自動システムだけでは実行できないタスクを人間に行わせることに大きく依存します
2) DAOは人間を雇用するために内部的な資本を有しています
3) DAOは意思決定を自律的に行います

ここでの「自律的」とは、他者によって制御されないことを意味します。「自己決定的」と言い換えてもいいでしょう。

■BitcoinとEthereumの例

上の定義に沿って考えれば、Bitcoin(ビットコイン)はDAOの典型的な例と言えるでしょう。BitcoinのブロックチェーンはBitcoinの取引を記録し、正確に維持するための自律システムであり、そのことを行うために、Bitcoinを自ら生み出すことでマイナーを雇用します。そして、その発展の仕方については他者から制御を受けません。ただ、このことは中心となる人物がいない(サトシ・ナカモトは2010年に退出)ことを意味し、明確な意思決定のメカニズムを持たないため、進化が遅いと言えるかもしれません。

一方、EthereumもDAOと見なすことができますが、Ethereumはイーサリアム財団とその人々による意思決定に大きく依存しているように見えます。このことは開発・維持組織を含めたシステムの分散性とコントロールからの自由に疑問を投げかけますが、その一方で環境の変化に迅速に対応できるというメリットがあります。実際、マイニングによる電力の過剰な消費の問題が叫ばれる中、2022年にマイニングを廃止することに成功しました。

DAOへの反応と潜在的な懸念

■DAOへの反応

DAOは新しい形の組織として注目を浴びています。しかし、その自律性と分散性は、既存の中央集権的な組織構造に慣れている多くの人々にとっては理解しきれない部分もあるかもしれません。DAOとそうでない組織に属する人々の間で、何かしら軋轢(あつれき)が生まれる可能性もあります。

■DAOの潜在的な懸念

また、現在DAOと呼ばれるものの多くはスマートコントラクトによって制御されていますが、スマートコントラクトは単なるブロックチェーン上のプログラムであり、法的な拘束力はありません。従って、そうしたDAOの参加者は、その機能や意思決定プロセスが法的には拘束力を持たない可能性があることを理解しなければなりません。(関連単元:スマートコントラクトによるDAOは何ができるのか、重要な課題とは

更に、DAOの運営は完全に自動化されているわけではなく、人間の介入による意思決定に依存している部分もあります。上記のEthereumの例がまさに当てはまります。スマートコントラクトによるDAOでは構造上、この問題は特に顕著です。これらは、DAOを適用する際に考慮すべき潜在的な懸念点です。


Web3ポケットキャンパスはスマホアプリでも学習ができます。
アプリではnote版にはない「クイズ」と「学習履歴」の機能もあり、
よりWeb3学習を楽しく続けられます。

ぜひご利用ください。
▼スマホアプリインストールはこちら

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?