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NFT_#3:NFTの保証と限界 - 唯一性や真正性、著作権は誰にあるのか

NFTの基本的な特性は「「NFT」の基礎知識」の単元で解説した通りです。ここでは、ERC-721に基づくNFTに関して保証されること・保証されないことを説明します。


NFTで保証されること

まず、何が保証されているかを説明します。

■<コントラクトアドレス、トークンID>の組の唯一性

<コントラクトアドレス、トークンID>の組は、ブロックチェーン内に同じ組み合わせとなるものは他になく、ユニーク(唯一)であることが保証されています。これは、NFTの所有権を特定する上で重要な基礎となります。もしあなたがNFTを所有しているなら、それは特定の<コントラクトアドレス、トークンID>の組の所有者であることを意味しています。

■トークンIDの不変性

一度作成されたNFTのトークンIDは変更されないことが保証されています。これにより、所有者が変更されてもそのNFT自体の識別性が維持されます。

■トークンの所有権の独占性

NFTの所有者だけがそのトークンの所有権を移転したり、NFTを廃棄(バーン)したりすることができます。これにより、所有者以外の者が不正にNFTを操作することを防ぎます。

NFTの限界と注意点

次に、NFTに関して保証されない、または特定の手段を用いて対策がとられている事柄について説明します。

■トークンURIとメタデータの関係

一般的に、トークンURIはメタデータへのURLとなっています。ただし、トークンURIはメタデータの置き場所を示しているだけです。その場所にあるファイルが置き換えられている可能性はあり、トークンURIはメタデータの一意性を保証するものではありません。

しかし、IPFS等の技術を使用することで、この問題は大部分解決されます。IPFSではURLにファイルの暗号学的ダイジェストが含まれているため、別のファイルに置き換えられるとその差異を検出できます。ただし、IPFSはメタデータの損失を防ぐものではありません。

同様に、メタデータに含まれるURLがNFTに紐づく画像等を一意に指すことも保証されていませんが、IPFS等を用いて一意性を検証することは可能です。

■トークンIDの一意性

トークンIDが異なるスマートコントラクトを超えて、NFTがユニーク(唯一)であることは保証されていません。実際、別々のスマートコントラクトが同じトークンIDのNFTを発行していることはよくあります。このため、NFTを一つのブロックチェーン全体で一意に識別するには<コントラクトアドレス、トークンID>の組を用いる必要があります。世界の中での唯一性について話す場合には、更にブロックチェーンの識別子(EthereumにおけるチェーンID等)も必要となります。

■メタデータの一意性

メタデータが一意にNFTを指すことは保証されていません。これは、同じメタデータを持つ複数のNFTが存在可能であることを意味します。そのため、メタデータだけでそのNFTが唯一無二であると判断することはできません。

■メタデータ、画像、その他のリンクされたデータの信頼性

NFTに紐づいたメタデータ、画像等、その他のデータは、NFTによって信頼性や真正性が保証されるわけではありません。これはNFTが参照するデータが偽造されたものである可能性や、データ自体は正しくても、正当な権利者でない誰かが勝手にNFTを作っている可能性などを示しています。

■トークンの所有以外の権利

NFTの所有者は、トークン自体の所有以外の権利が保証されるわけではありません。例えば、NFTが特定の画像等や物理的なアイテムを表している場合でも、その画像等や物理的なアイテムの著作権や使用権などを所有しているわけではないということです。これらの権利を持ちたい場合には、別途、権限を持つ誰かとの契約が必要となります。

NFTの特性から生じる問題と注意点

上記のNFTの保証と限界により、いくつかの問題や注意点が生じます。

例えば、NFTに関連付けられたメタデータの真正性が保証されないということは、不正な情報を含むNFTが市場に流通する可能性を示しています。これは、購入者が誤った情報に基づいてNFTを購入するリスクを高めます。

また、NFTの所有者がそのトークン自体の所有以外の権利を保証されないということは、人々がNFTの価値を過大評価している可能性を示しています。例えば、特定の画像等を表すNFTを所有している場合でも、その画像等の商用利用権を得るわけではないということを理解することが重要です。

次の第4回では、世界最大規模の取引量を誇るOpenSea(オープンシー)を踏まえて、NFTマーケットプレイスの構造と課題を解説します。


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