ブロックチェーン入門_#14:ブロックチェーンの課題解決になるか - レイヤー2編
スループット が飛躍的に向上し、手数料の削減の効果も期待されている「レイヤー2」とはどういったものでしょうか。概要やメリット、課題を解説します。
レイヤー1とレイヤー2
■レイヤー1とは
ブロックチェーンそのものをレイヤー1と呼ぶことがあります。トランザクションをブロックに組み込んで記録し、その存在や内容を後から検証可能にする仕組みです。いかなる方法でも記録の否定できないように工夫して設計されています。
■レイヤー2とは
レイヤー2は、ブロックチェーンの外でトランザクションを処理し、その検証のためにレイヤー1の機能を利用する技術であり、「セカンドレイヤー」とも呼ばれます。多数のトランザクションを集約してレイヤー1に記録することも可能なため、レイヤー1のブロックの混雑が解消されることが期待されています。
■オンチェーンとオフチェーン
ブロックチェーンそのものでの処理、すなわちレイヤー1での処理を「オンチェーン」と呼ぶことがあります。この場合、ブロックチェーンに全ての情報が記録されます。
一方、「オフチェーン」は、ブロックチェーンには記録しない部分全ての総称です。例えば取引所におけるKYC(Know Your Customer:顧客本人確認)に関わる情報はブロックチェーン自体には記録されず、オフチェーンで保たれている情報です。
レイヤー2はオフチェーンでトランザクションの処理を行い、その検証をオンチェーンで可能にする技術だと言えます。
レイヤー2 の技術
Bitcoin(ビットコイン)では、送金を高速・効率的に行うための「ライトニング・ネットワーク」が稼働しています。 Ethereum (イーサリアム)ではレイヤー2でトランザクションを処理する技術を「ロールアップ」と呼びます。ロールアップには「オプティミスティック・ロールアップ」と「ZKロールアップ」があります。
■ライトニング・ネットワーク
Bitcoinのライトニング・ネットワークは、デポジットに基づいて2者間の送金を効率的に行う「ペイメント・チャンネル」を応用し、チャンネルのオープン(デポジット)とクローズ(精算)の時だけBitcoinのレイヤー1に書き込むことで、レイヤー1で検証可能な送金を高速かつレイヤー1への手数料を払わずに実行できます。
ライトニング・ネットワークはペイメント・チャンネルをネットワーク化し、直接チャンネルがつながっていない相手同士でも送金ができるようにしたものだと言えます。
■オプティミスティック・ロールアップ
Ethereumのオプティミスティック(楽観的)なロールアップでは、レイヤー1に書き込まれた情報は全て正しいという仮定で進みます。検証者は、不正なトランザクションがないか監視し、異議を申し立てることができます。
■ZKロールアップ
EthereumのZK(Zero Knowledge:ゼロ知識)ロールアップは、「ゼロ知識証明」を用いたレイヤー2技術です。ゼロ知識証明では、秘密にしたい情報を開示せずに、その情報が正しいことを確かめることができます。例えばデジタル署名は、秘密鍵を開示せずに署名者が秘密鍵を持っていることを証明するものであり、ゼロ知識証明の一種であると言えます。
ZKロールアップでは、オフチェーンで実行される多数のトランザクションの証拠を集約してレイヤー1に書き込むことができるため、情報が正しいという仮定に頼らず、全体を常に検証しながら進行できます。
レイヤー2のメリットと課題
■スループットの向上
レイヤー2を用いると、オフチェーンで多数のトランザクションができます。そのため、ブロックチェーンが持つ計算資源が同じでも、単位時間当たり、より多くのトランザクションができることになり、スループットが向上します。
■手数料の削減
同じ資源のコストに対し、より多くのトランザクションを取り扱えるため、レイヤー2のサービスがユーザから徴収する手数料は、レイヤー1を直接使う場合に比較して大きく引き下げることができます。
また、レイヤー2の流行により、レイヤー1を直接使う場合が少なくなれば、ブロックは混み合わなくなります。そのため、特にEthereumではブロックの混み合いを制御する(輻輳制御の)意味合いを持つ スマートコントラクト の実行手数料は、レイヤー1でも安くできる期待があります。
■連携上の課題
ただし、レイヤー2では、互いのサービスを組み合わせてより高度なサービスを提供するといった連携がまだ困難です。
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