POSを補う新コンセンサスアルゴリズム「プルーフ・オブ・リクイディティ(POL)」とは(コラム)
ブロックチェーンのコンセンサスアルゴリズムとして、プルーフ・オブ・ステーク(Proof of Stake、POS)やプルーフ・オブ・ワーク(Proof of Work、POW)などが存在しています。今回はPOSの欠点を補うべく設計されたコンセンサスアルゴリズムであるプルーフ・オブ・リクイディティ(Proof of Liquidity、POL)について解説します。
POSの欠点
POSには以下のような欠点があると考えられています。
1) POSのバリデーターの多くは暗号資産を長期にわたって保有する傾向があるため、短期売買などによって流動性が高まりづらく、ブロックチェーンの発展が妨げられてしまう
2) 新しく生成される暗号資産はバリデーターに付与され、中央集権化をもたらす
3) プロトコルにはブロックチェーンのセキュリティを向上させる手段がほぼない
4) バリデーターは究極的にはプロトコルのためにブロックチェーンを動かしているにもかかわらず、プロトコルからの収益を得ることができない
POLはこのようなPOSの欠点を補うコンセプトのもとで設計された、新しいコンセンサスアルゴリズムです。
POLの特徴
POLのユーザーは、特定のDEXに流動性を追加することでガバナンストークン($BGT)を得ることができます。これはガストークンである、$BERAとは異なり(前述した欠点1の対策)これをバリデーターにデリゲート(委任)することで、報酬を得ることができるようになります。
プロトコルの流動性に対してブロックチェーンのガバナンストークンを付与することで、既存の$BGTステーカーへの単なる比例配分を避けることができます(前述した欠点2、3の対策)。また、DApps手数料の一部をバリデーターの収入にできます(前述した欠点4の対策)。
POLを採用しているブロックチェーン
2024年3月現在、ベラチェーン(Berachain)というレイヤー1のブロックチェーンがPOLのコンセンサスアルゴリズムを採用し、開発を進めています。2023年4月には、時価評価額約4億ドルでPolychain Capital(ポリチェーンキャピタル)の主導のもと、約4,200万ドルの資金を調達しています。
ただし、ベラチェーンにおけるPOLの採用はパブリックテストネット上であり、メインネットでの採用はまだ先になると考えられます。まだ開発段階と言えますが、CoinDeskをはじめとした大手Web3メディアがテストネットローンチの段階から大々的に報じており、2024年注目の新規レイヤー1になるのではと期待されています。
また、リスク(LSK)など多くのブロックチェーンですでに採用されているコンセンサスアルゴリズムとして、デリゲート・プルーフ・オブ・ステーク(Delegated Proof of Stake、DPOS)と呼ばれるものもあります。DPOSはPOSに投票制度を組み合わせたもので、トークン保有者はバリデーターに投票を行い、投票数が高いバリデーターがその割合に応じてブロックを生成する方式です。これはPOSに比べるとより民主的で、ユーザーがよりネットワークの活動に興味を持つように設計されています。
この機会に、各コンセンサスアルゴリズムにはどんな特徴があるのかおさらいしてみましょう。
制作:株式会社Kudasai
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