びっちゃん|でんき、デザイン、まなびづくり

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びっちゃん|でんき、デザイン、まなびづくり

普段はInstagramにて漢字2文字の文字アート「漢字デザイン」を投稿しています。 日々の気づきや思い出エッセイ「n%フィクション」を書いています。

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"続けるということ"

「雑談大歓迎です。先生が見たものや聞いたことをこれからも沢山の子どもたちに伝えてあげてください😊」 大学時代、家庭教師先のお母さんに言われたこの言葉が「まなびづくり」のスタートラインだったかもしれない。 一番大事な人を送り出した初夏、土日も昼夜も問わず働くハメになった夏。 この先どうするかも、どうしたいかも決まらない大学4年の秋に抱えたものは抱えきれないほどの劣等感だった。デザインも「何かマンネリ」と飽くほどに自分は枯れていたと思う。ロクな解像度もない死を求め、樹海に逃げる

    • 夜逃げのサンタクロース

      初めて福岡に来た4年前、最初に感じた違いは匂いだった。 クレヨンしんちゃん屈指の感動作と名高い「オトナ帝国の逆襲」で登場した"懐かしい匂い"はあくまでフィクションの産物かもしれないが、街や時代にそれぞれ固有の匂いがあるのは確かだと思う。日の光や風の柔らかさ、等間隔に並んだ街路樹。住み始めて間もない頃は少しの違いが新鮮に感じた一方、どこか地に足がつかないようにも感じて、何かと小さなことで一喜一憂を繰り返した気がする。 送別会・徹夜明け、自宅までの帰路の中、鼻腔を抜ける穏やかな冬

      • 明日も息を吸うために、命を吐き出している。

        #2 悲しい時は、不思議と煙草が吸いたくなる。 「百害あって一利なし」そんな先人の言葉が後押ししているのかもしれない。 煙は嫌いなのに、夜を飲んでいるようで好きだった。 刻(きざみ)を蝕み、瞬く最中に灰へと変わる。 削れた分だけ、肺へと巡る。 たかだか数分ぽっちの時間を寿命に置き換えた時、刹那に光る煙草ほど自分の人生は劇的だろうか。 慣れない煙草片手に、そんなしがないことを考える。 明日も息を吸うために、今日も命を吐き出している。

        • 別れたついでにカナダに行こう。

          #1 7月上旬、夏が顔を見せ始めた頃、大事な人と別れを告げた。親友であり、弟子であり、最低で最愛のパートナーだった。自分がよく知る彼女は、我儘で、ダメダメで、よく泣いていた。でもいつしか、自分よりもずっと逞しくなっていた。そしてこれから、沢山の人を幸せにしていくと思う。 だから、残った時間も言いたかった言葉も言わずに遂げた。 細やかな門出祝いだけのために。 会話の切り出しはいつも「何か面白い話をしてよ」だったかな。今思えば、随分な無茶振りである。自分の200超の話リスト

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        • 別れたついでにカナダに行こう。
          2本
        • n%フィクション
          6本

        記事

          【n%フィクション#11】悪友 詐欺師編

          「ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”!!!!! かけてくんなゴキブリィィィィ」 この日から、拓郎のあだ名がゴキブリにジョブチェンジした。 〈はじまり〉 noteでもいくらか書いたが、自分は高専に通っていた。5年制のカリキュラムや全寮制など、普通校とは色々と異なる事情。そんな環境も相まってなのか、周りには強烈な個性を持った人間がいた。今回、思い出として綴る吉田拓郎(偽名)もまた、そんな強烈な個性を持つ悪友の一人だった。 出会いは確か1年時分に、友達が連れてきたことが始

          【n%フィクション#11】悪友 詐欺師編

          【n%フィクション#10】とかくこの世は。

          楽しいばかりではない、でもこの子たちは、全力で今を生きているのだ。 〈はじまり〉 自分は家庭教師で4人の生徒を担当している。 色々な理由で学校に行けない子や発達障碍を持つ子など、所謂サポートが必要な子を専門とした家庭教師だ。といっても、そういう子たちを専門としている派遣会社に所属している訳ではなく、成り行きと偶然の末、現在に至った。 通常の授業とどのように違うのか?自分の経験の範囲で話すとするなら、大きく違う点としては、授業のペースと脱線率である。特に後者の脱線率は、かな

          【n%フィクション#10】とかくこの世は。

          【n%フィクション#9】人生で1番長かったケンカの話(後編)

          そして高専5年の門出の今 ひとひらの意地が消える、長い、長い喧嘩だった。 〈前編・3行まとめ〉 ・高専1年、悪い意味で年齢を感じさせないケンカ発生⇨大敗 ・逆襲したくも思いつかず、結局緩やかなコミュニティ追い出しで違う道へ ・とはいえ部活が一緒なんで会うには会う 〈3年・夏〉 高専は3年、喧嘩からは2年、自分は、前編で2,000文字も書いた例のケンカをすっかり忘れていた。というのもそれどころじゃなかった。友達がマルチにハマったり、自分自身フラれたりで思えばこの頃からろくな

          【n%フィクション#9】人生で1番長かったケンカの話(後編)

          【n%フィクション#8】人生で1番長かったケンカの話(前編)

          そして、高専5年の門出の今 ひとひらの意地が消える、長い、長い喧嘩だった。 〈プロローグ〉 規模や深刻性に違いはあれど、誰だっていつかは喧嘩する。 ある時は親と、ある時は友人と、ある時はパートナーと。 喧嘩はある種の対人トレーニングだ、喧嘩後の気まずさをどう対処するか。いかに自分の落ち度を客観的に評価し修正を試みるか。など大げさと言われようとも書いてみれば重要なポイントが結構出てくる。個人的には、"衝突なくして親密な関係は成り立ちにくい"、"一度喧嘩で崩れるくらいならそもそ

          【n%フィクション#8】人生で1番長かったケンカの話(前編)

          【n%フィクション#7】誰だって一度は夢見るアレ

          確かに明晰夢は成功した。 だが、最初から夢は自分の手の内になかった。 〈はじまり〉 自分は都市伝説や怖い話、所謂オカルトそのなかでもホラージャンルが好きだ。それは幼少時分から始まり、有名どころで鬼太郎にぬ~べ~、ニッチなところで学校怪談に稲生物怪録など触りに障った。鳥山石燕もびっくりの英才教育である。それ故、人一倍それ系への好奇心は強いし、試したくなる。今回はそんな話、短文だけどトップクラスに怖かった話。 〈本編〉 高専は4年、夏のことだった。その日は明晰夢の検証を行お

          【n%フィクション#7】誰だって一度は夢見るアレ

          【n%フィクション#6】呪いアイテム(据置型)

          触らぬ神に祟りなし,入らぬ風呂に障りなし ただでさえトラブルを呼びやすいんだ、 これくらいの願掛けをしたってバチは当たらんだろう。 〈序〉 世の中には呪いの〇〇というものがある。 持つこと、見ること、知ることで障り呪われる恐ろしい一品達、 少し前だとアンビリーバボーで特集された呪い面や道頓堀に沈んでいたカーネルサンダース人形などが有名だろう。巷で囁かれるこれらの呪具の信憑性はさておき、多かれ少なかれ、誰だって奇妙や不幸が重なれば自ずと非科学的存在を疑いたくなるものだ。 か

          【n%フィクション#6】呪いアイテム(据置型)

          【n%フィクション#5】違う、そうじゃない。

          その執念がどこから来て、何がゴールか。 3日くらい食い続けてやるから教えてほしい。 〈序〉 我が母校兼京都の修羅兼動物園、舞鶴高専には、提携している学生食堂がある。閉寮を除いて、毎日3食休みなく提供している。値段は1日800円、1ヶ月はおよそ30日、すなわち合計は24,000円になる。これは自炊に比べればあまり安いとは言えないものの、準備0/おかわり自由/後片付けなし、この3点が揃うんだったら存外悪くない。とは言いつつ、我が学生食堂にはときどき地雷としか言えない飯がある。

          【n%フィクション#5】違う、そうじゃない。

          【n%フィクション#4】用法・用量を守って正しくお使いください

          「それは恐らく母乳ですね。」 「は.....はい?」 齢20年と少し、人体の神秘を最高に感じた瞬間だった。 〈序〉 2019年は3月、長くも濃い高専生活の終わりが見えた桜の日々。自分は九州大学に向けた編入勉強を進めていた。科目は英語と数学の2科目のみ。恐らく普通の受験生からすれば、これ程まで旧帝大のハードルが低くて良いのかと野次を飛ばすレベルである。しかしいかんせん、自分の脳みそはそんな数多の修羅場を超えたことの無い温室際に蔓延る雑草、10年分の過去問をこなすも英語が

          【n%フィクション#4】用法・用量を守って正しくお使いください

          【n%フィクション#3】頭隠して罪増やす

          評議員だった中1時分、同じクラスの女子評議員に虐げられた結果、武道を始めることにした。意味は今でも分からない。道場の規模としては、30人程度小学生が大半で、次に大人、最後に同世代が数人と比較的に小さめである。結局逃亡するまでの3年間、何やかんやと惰性の在籍はしたものの、目的/手段の不一致故なのか、運動音痴故なのか最後まで馴染めなかった。そんな灰色の思い出のなかで印象的な話がある。 「私がまだ高校そこらだから、今から30年以上前になるかなあ」 うちの道場は練習時間が3時間も

          【n%フィクション#3】頭隠して罪増やす

          【n%フィクション#2】だいたい淡い

          もうはっきりと覚えていない ただ、窓から吹くアスファルトと落ち葉が混ざったような冷たい風が鼻を掠めたことから中3の10月か11月のことだったと思う。ブレザーやベストを着込んだ胸部はやたらに暖かいのに顔や手の表面だけはほんのりと冷たい、そんな冬の訪れを肌身で感じるこの季節が好きだ。 受験への不安は感じるものの、何をするかといえば特に何もしない。ほぼ帰宅部みたいな部活動に所属していたのにも関わらず、いつも下校の未来予想図Ⅱが流れるまで、誰とも決めずくだらない話を続けて帰路につ

          【n%フィクション#2】だいたい淡い

          【n%フィクション#1】父曰く、曰く付き

          「ウチには幽霊がいる」 霊感があるらしい父は言う。 小学校時分にその話を聞いて、以来中学,高校と度々耳にした話だ。普通なら「どんな幽霊がいるの、男、女?」「お父さんはウチ以外の幽霊も見えるの?」など追求すれば数十分は話せる話題だし、ホラー好きならもっと食いつく話題だろう。自分もまた無類の怪談好きだ。1人だろうが夜だろうが、ほぼ毎日怪談や未解決事件を肴に作業をしている。なのに自分はこれ以上の情報をほぼ知らない。それ以外で知っていることは  ・3階にいる  ・害はない  ・数

          【n%フィクション#1】父曰く、曰く付き