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3C分析のHow To

今週もウェブ解析士のnoteをご覧いただきありがとうございます。
先週末、関東支部主催のフォローアップセミナーに登壇させていただきました。その際に触れた3C分析の仕方への反応が思ったよりも良かったので、今週はその内容を抜粋・改変して概論としてお伝えしようかなと思います。


3C分析の手順

3C分析は、皆様もよくご存知のフレームワークだと思いますが、改めて公式テキストの記述を確認しておきましょう。

3C分析は、「顧客(Customer)」「競合(Competitor)」「自社(Corporation)」の3つに注目し、事業領域を分析するフレームワークです。
分析の順番は、顧客、競合、自社で行います。マーケティングで成功するには、買い手である「顧客目線」になれるかが重要で、顧客のニーズやウォンツを分析し、マーケットにひしめく競合の活動を分析し、そのうえで自社のマーケティング活動を分析する順序が適切です。

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ということで、手順としては下図のようになります。

同じ商品であっても、対応する顧客ニーズが変われば競合が変わり、競合が変われば訴求すべき強みも変わってきます。なので基本的に「市場にはどんな顧客がいるのか(どんなニーズがあるのか)」から分析をスタートします。
どういうことかというと、例えば「ビール」を見てみましょう。
顧客ニーズが「居酒屋で仲間とワイワイしたい」というものであれば、想定される競合は「ハイボール」や「レモンサワー」になりそうですよね。となれば、「乾杯の定番」という強みが活かせるかもしれません。
顧客ニーズが「サウナの後に爽快感が欲しい」であれば、競合は「コーヒー牛乳」や「スポーツドリンク」になるかもしれません。そうなると「微量のアルコール度数」や「微炭酸」という特性が強みになるかもしれません。
こんな具合に、顧客が何を求めているかによって競合も自社も見るべき視点が変わります。なので、顧客を一番に考える必要があるのです。

顧客分析

ということで、まずは顧客分析です。ここでは市場にどんな顧客がいるのかを分析します。主に、どんなニーズがあるのかという視点で考えるのが理想です。
既存商材のニーズを考えるときは、現在の製品や状況に対して、顧客はどんな不便・不満・不足・不安を抱えているかを考えるのが有用です。
チョコレート菓子で例えると、「一回で食べ切るには多いのだけど、とっておくには忍びない量が残る」(不便)とかですね。
それと同時に、買いたいけど買わない理由=心理的なハードルも検討します。例えば、商材がチョコレート菓子であれば「ダイエット中だから」「嗜好品に回すお小遣いがないから」と言ったような感じですね。

そして何より、机上であれこれ考えるよりも、直接ユーザーに聞いてしまった方が早いです。顧客分析を行う際はインタビューを実施してみましょう・。2〜3人程度でも共通するニーズが見えてきます。
加えて、インタビューでは「用意された答え」という本音とは少し違うところが返ってくることもあるので、それを補うためにソーシャルリスニングも並行して実施することをお勧めします。

ソーシャルリスニングとは、TwitterやInstagramといったSNSをはじめ、ブログなどのソーシャルメディア上でユーザーの書き込みを収集し分析することです。具体的に自社の「商品名」や「#サービス名」のようなキーワードを元に検索(エゴサーチ)します。アンケートで得られる回答よりも正直な感想やニーズがわかり、商品開発やサービスの改善に役立てられます。

『初級SNSマネージャー認定試験公式テキスト[第3版]』

競合分析

顧客ニーズが見えてきたら、競合を設定していきます。競合は同業種や同種製品だけではありません。同じニーズを満たす=代替品も含まれます。ですので、競合を考える際はニーズやユーザーのリソースをベースに考えるといいと思います。
競合の考え方は、大きく分けて「直接競合」と「間接競合」があります。
直接競合とは同業他社を指し、間接競合は代替品などを指します。間接競合はさらに2つに分けることができます。それが、ユーザーニーズを起点にした競合と、ユーザーリソースを起点にした競合です。

幾つか例を下記します。

・ニーズを起点に考えた場合
ハーゲンダッツの競合●
ハーゲンダッツの競合を考えてみましょう。同種商品で考えると、バスキン・ロビンス(31アイスクリーム)や、レディー・ボーデンなどが挙げられます。しかし、ハーゲンダッツはこれらを競合とはしていません。彼らが想定する競合は「プレミアムモルツ」なのだそうです。「自宅できるプチ贅沢」というニーズを満たすという点で競合しているからなのだそうです。

●ファストフード店の競合●
例として、マクドナルドの競合を考えてみましょう。モス・バーガー、バーガーキング、ロッテリア、ケンタッキーなど同じようなファストフード店を想像する人が多いと思います。しかし、彼らの競合はそれだけではありません。顧客が「手軽に空腹を満たすこと」を求めているならば、コンビニのおにぎりや吉野家の牛丼が競合するかもしれません。「友達と会話するスペース」を求めているのであれば、スターバックスなどのカフェや、商業施設のフードコートなどが競合に類いするかもしれませんね。

・ユーザーのリソースを起点に考えた場合
●Netflixの競合●
動画配信サービスのNetflixの競合を考えてみましょう。直接競合するのは、HuluやPrimeVideo、YouTubeあたりでしょうか。これを、ユーザーの可処分時間を奪い合うという視点で競合を定めたのが、Netflixの共同創設者であるリード・ヘイスティングス氏です。彼は、「我々の最大のライバルは睡眠だ」と語っています。

●旅行代理店の競合●
では、旅行代理店の場合はどうでしょう。直接競合として考えられるのは、同業他社以外にも、じゃらんやトリバゴなどのネットサービスも考えられますね。ただ、旅行代理店の繁忙期はいつでしょう?まとまった休みが取れる夏季休暇前が想定されますね。ではユーザーは何を旅行代金の原資にするでしょう。そう、賞与(ボーナス)です。それで、そのボーナスを奪い合うという視点で考えると、大型家電やリフォームなどが考えられます。

自社分析

自社分析では自社の強み・弱みを洗い出しながら、自社だからこそ満たせるユーザーニーズはないか、競合に勝てる部分はないかなどを検討していきます。
同時に、自社の強みを活かせるような外部環境の変化はないか、自社にとってリスクのある外部環境の変化は起きていないかと言ったことも同時に考察していきます。

強み・弱みを考えると、バイアスがかかってしまうので、自社の「特徴」を考えると良いです。
一見弱みに見えることでも、ユーザーニーズによってはプラスに転じることもあります。これまで分析した顧客や競合との相対性の中で判断していくのが良いでしょう。
そして、外部環境についてはPEST分析で洗い出してから、SWOT分析にかけて機会になるのか脅威になるのかを検討すると、考えがまとまりやすいです。

PEST分析
PEST分析は、法規制や税制などの「政治的要因(Politics)」、景気や為替などの「経済的要因(Economy)」、人口動態や生活者のライフスタイルの変化などの「社会的要因(Society)」、特許や新技術開発などの「技術的要因(Technology)」の4つの項目から整理します。注意点は、網羅的に行おうとすると膨大な情報量となるため、対象事業に深く関係した事象だけにフォーカスすることです。

SWOT分析
「強み(Strengths)」「弱み(Weaknesses)」「機(Opportunities)」「脅威(Threats)」の頭文字を取った名称で、内部要因と外部要因を整理します。

『ウェブ解析士認定試験公式テキスト2023』

まとめ

ということで、3C分析は「顧客→競合→自社」の順で分析を進めていきましょう。
顧客分析では、どんなニーズがあるのか、なぜ買うことを躊躇うのかなど定性的なデータをよく検討してみましょう。競合分析では直接競合する同業他社だけでなく、ニーズの競合やリソースの競合にも目を配ります。自社分析では、強み弱みといったバイアスを捨てて「特徴」を洗い出していきます。強み弱みを振り分ける段階ではPEST分析やSWOT分析など他のフレームワークと絡めて検討していくとわかりやすいかもしれません。

あとがき

今週も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
フレームワークって「知ってはいるけど、使い方あっているのかわからない」とか「有意義な答えが見えているのかわからない」ってこと多いですよね。これだけ記事にしておきながら、「中の人」も正直自信はないです。笑
それでも「私はこうやってるよー」とか言って、意見をもらえるのもウェブ解析士コミュニティのいいところなんですよね。コミュニティ内の人同士で研鑽できる場があるのがいいなぁと。
今年も残すところあとわずか。年内開催の認定講座も少なくなっています。
年が明ければカリキュラムやテキストも更新されますので、資格を取ろうと思って勉強してきた方は、年内に取得チャレンジしてみてくださいね!
会員の皆様は、資格更新のためにフォローアップテストと会費のお支払いをお忘れなく。
それでは、また来週お会いしましょう。

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