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ものを買うときの思考のメカニズム

今週もウェブ解析士のnoteをご覧いただきありがとうございます。
購買意思の決定プロセスを理解することは、ウェブサイトを最適化するために役に立ちますよね。消費者行動モデルにはAIDMAやULSSASなど、購買意思決定プロセスを読み解くためのフレームはたくさんあります。過去の記事でも紹介しましたね。(参照:https://note.com/waca_associates/n/n7744cd1874ea
今回はシンプルな、S-O-Rモデルに注目してみようと思います。その中でも代表的なハワード=シェス・モデルを紹介します。


S-O-Rモデル

S-O-Rモデルは、刺激(Stimulus)、生活体内の条件(Organism)、反応(Response)の3つの要素で構成されています。刺激は外部からの情報などの刺激であり、生活体内の条件は個々の消費者の特性や状態を指します。これらが組み合わさり、最終的な反応が生じる仕組みです。

  1. 刺激 (Stimulus):

    • 外部からの情報や刺激がこの要素に該当。

    • 広告、商品デザイン、価格、口コミなどが消費者に影響を与える。

  2. 生活体内の条件 (Organism):

    • 個々の消費者の特性や状態を指す。

    • 価値観、経済的状況、感情などがこの要素に影響を与える。

  3. 反応 (Response):

    • 刺激と生活体内の条件が結びつき、最終的に特定の反応が生じる。

    • 購買、拒否、感情の変化などが考えられる。

例えば、スーパーマーケットで新製品の店頭POPを見たとき(刺激)、個々の消費者の好みや予算(生活体内の条件)によって、商品を購入するかどうかが決まります(反応)。

ハワード=シェス・モデル

ハワード=シェス・モデルは、S-O-Rモデルに基づいて、情報のインプット、知覚構成概念、学習構成概念、アウトプットの4つのステップで構成されています。これは、消費者が情報を得て、それを元に学習し、最終的に反応を起こすというプロセスを可視化したモデルです。

ハワード=シェス・モデルの4つのステップ

  1. 情報のインプット:S-O-Rモデルの「刺激」

    • 消費者は外部から情報を得る。広告、口コミ、商品説明など。

    • インプットの質や量が後の段階に影響を与える。

  2. 知覚構成概念:S-O-Rモデルの「生活体内の条件」

    • 情報を受け入れ、理解するプロセス。

    • 消費者が情報をどのように解釈し、商品やサービスに対する知覚を形成するか。

  3. 学習構成概念:S-O-Rモデルの「生活体内の条件」

    • 消費者が経験や情報を通じて学び、知識や概念を構築する。

    • 過去の経験やフィードバックが今後の意思決定に影響を与える。

  4. アウトプット:S-O-Rモデルの「反応」

    • 情報の処理と学習を経て、最終的なアウトプットが生まれる。

    • 購買意思決定、ブランド忠誠、口コミの発信などが含まれる。

例えば、新しいスマートフォンの広告を見て(情報のインプット)、性能が良く、価格が手頃だと思った(知覚構成概念)。今も同じブランドを使って良い経験があるし、そろそろ買い換えどきかな(学習構成概念)。よし、買ってみよう(アウトプット)。と言った具合になりますね。

企業側の視点で見ると、以下のような感じでしょうか。

情報のインプット: 新製品のプロモーション立ち上げ
製品に関する情報を広告、ソーシャルメディア、ウェブサイトなどを通じて顧客に提供します。

知覚構成概念: 製品の差別化
競合他社の類似製品も存在しているため、単に刺激を与えるだけでなく、製品の独自の特長や利点を強調し、ブランドの独自性を伝えるキャンペーンを展開します。

学習構成概念: 詳細な製品情報の提供
ウェブサイト、ブログ記事、デモンストレーション動画などを通じて、製品の詳細な情報を提供し、製品についての学習を促していきます。

アウトプット: 製品の購入行動
製品の購入を後押しするために、特典やキャンペーンを提供し、購入を容易にする取り組みを行います。

購買に至る意思決定パターン

購買意思決定には、拡大問題解決、限定問題解決、日常反応行動の3つのパターンが存在します。

  • 拡大問題解決: 消費者が使ったことも買ったこともない商品やサービスに直面した際、綿密な情報収集と比較を行い、慎重な意思決定をするパターンです。
    例)初めてデジタルカメラを購入する際、価格や品質を比較し、検討した末に選択する。

  • 限定問題解決: 消費者が既知の商品やブランドに頼り、迅速に意思決定を行うパターンです。
    例)今使っているスマートフォンの新機種が登場。買い換える必要があるか検討するために情報を収集し、購入する。

  • 日常反応行動: 消費者が何気なく行う習慣的な行動で、意思決定がほとんど自動的に行われるパターンです。
    例)朝のコーヒーは特定のブランドを選んで飲む習慣があり、特段の検討なしに購入する。

まとめ

購買意思の決定プロセスは複雑で多岐にわたりますが、S-O-Rモデルを元にしたハワード=シェス・モデルを知ると、シンプルに理解を深めることができますね。拡大問題解決、限定問題解決、日常反応行動といったパターンが、消費者の意思決定に影響を与えていることも重要ですね。自社のターゲットはどのパターンなのかを吟味して、マーケティング戦略を構築すると良いかもしれません。

あとがき

今週も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
マーケティングって「消費者視点!顧客視点!!」とよく言われますが、マーケティング始めたばかりの頃って、どうやって消費者視点を取り入れるのかわからないものですよね。
なので、「中の人」は今回紹介したような消費者行動に関する分野の研究を利用していました。消費者はこういうふうに考えるから、ここでこういう刺激があるといいな。と言った具合に。実際にそれだけでは頭でっかちな感じで上手くはいかないんですけどね。(笑)
それでは、また来週お会いしましょう。

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