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名前ってそれぞれに与えられた音だね

山の近くに住んでると、イノシシに鹿に猿、畑を狙うあらゆる獣害がひどい。
野菜を作っても作っても収穫時期に先に食べられる。
獣除けのためには、犬を飼うのが一番効果的で、友だちに生まれた仔犬をもらう事になった。

名前は、猫のむぎの時から本人に聞くことにしていて


子犬が私たちに慣れてきた頃に「なんて名前?」と尋ねてみたら、頭の中に、夜空を見せてくれた

「星?」と聞いたら、ピュンと三日月が現れた
 
月って名前なんだ!それも細い三日月。
なんだかこの子にピッタリだな。
子犬の名は「月」に決まった。
不思議なほど、しっくりな名で感心してしまう。

動物は人間より短命なので、いつ別れても悔いがないように愛情たっぷりに接した。本来なら人間にもそうすべきなんだけど。。

月は1歳になる前に出産し子育てして、
3年目のある日突然姿を消した。

いなくなった時に、もしかして、ウチの子どもになってかえってくるつもりじゃ!?と頭をよぎったけど、いやいや、そんな事ある訳ないじゃない!とすぐに撤回した。
第一、犬の月が大好きだったからまだ別れたくなんかなかった。

でも帰って来なかった。
泣きながら、何日も野山を探し回った。
山の道なき藪にも分け入り、
ふと見上げた空に美しい満月があった。

すがるような気持ちで、
「お月さま、月はどこに行ったんですか?」と尋ねたら
「また会えるよ」と返ってきた。
それがあまりに優しい響きで、犬の月はもうこの世にいないことを自然と受け入れるしかなかった。

その後、私は新しい生命を身籠り
ちょうど一年後、月がいなくなった日と同じ日に女の子が生まれた。
生後1週間の寝ている赤ちゃんに名前を尋ねてみたら、今度は頭の中に漢字で

と見せてくれた。

猫のむぎは音で、犬の月はヴィジョンで、
赤ちゃんはまさかの漢字!?

その文字は、新聞紙の文字をかなり拡大したみたいにモノクロで、ものすごくドットが荒くザラザラとしていた。
赤ちゃんが一体この文字のヴィジョンをどこから入手したのか?
新聞でも見たのか!?
不思議すぎるし、青だなんて、全く思いもよらぬ名前だ

女の子なのに、なんか男みたいな名前だけどいいのかな?と半信半疑だった。
でも月って漢字が入ってる。
調べてみたら、青の上の部分は「生」という意味らしい。

生きる?生まれる?月と書いて、青

え?ちょっと出来過ぎでしょ!?と、横で寝ている赤ちゃんの寝顔に突っ込む。
一体どうなってんだろう。おとぎ話みたいじゃない!?
不思議で仕方なかった。

名前って、それぞれにピッタリの音を神様?にもらってるんだと
毎回感心せずにいられない。

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名前の由来

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