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直ぐに忘れることが あたりまえ #97 記憶力

人の記憶について考えます。
学生時代を思い出せば、何かを覚えようとしたとき、それが容易ではないことは誰にも理解できるかと思います。

記憶には、それを司る脳を基準とした外部記憶と内部記憶があるとされます。
つまり、外部記憶とは、脳の中にない記憶であり、内部記憶とは脳の中に蓄積された記憶です。

そもそも、脳の中には元々は情報はありませんので、何らかの手段で外部記憶から情報を得ることになります。
本人からしたら知らない情報である外部記憶を得ようとするならば、インターネットや参考書などで調べたり、知っている方に尋ねる以外に手段はありません。

さらに、内部記憶には、短期記憶と長期記憶があるといわれています。

短期記憶は、ワーキングメモリーとも称されるように、活性化されている記憶ですので、何らかの問いに対して迅速に答えが出ます。
また、アメリカの心理学者 W.ジェームズが一次的記憶(primary memory)とも名づけている通り、比較的短い、秒単位の時間しか保持されない記憶で、何れ長期記憶や外部記憶に移動してしまいます。

対して、長期記憶とは、内部記憶に長期間、保持されている記憶です。
しかし、なかなか思い出すことができない記憶でもあります。

さらに内部記憶ですが、何らかの刺激を与えないまま放置していると、何れ外部記憶に戻ってしまいます。
つまり、完全に忘れてしまいます。

実験により、人の脳の記憶の忘却率を導き出したのが、ヘルマン・エビングの忘却曲線と言う理論です。

それによると、20分経過すると42%、1時間経過すると56%、1日経つと、74%も忘れてしまうといいます。
その後、1週間だと77%、1ヶ月だと79%であることから、常に短期記憶に留めておくには、日々のフォローアップが欠かせません。
その意味でも、復習であったり、メモを取るなどは、忘却してしまわないための基本的な予防策であることも分かります。

以上から一般的な記憶力とは、如何にワーキングメモリーである短期記憶に情報を留められるかとなります。
しかし、年齢を重ねることで、良性健忘と呼ばれ確実に記憶力は低下する老化現象とも戦わねばなりません。
少しでも、記憶力の低下を予防するための刺激策として、普段から集中力を高める訓練をすると良いそうです。

実際、仕事をしていた時には、記憶力が良かったのに、定年退職をして仕事から離れた途端に記憶力が低下したのいう事例が多いそうです。
最近では、スマホにも脳トレアプリがあります。
是非、お気に入りのアプリをダウンロードして、毎日、ゲーム感覚で継続的に活用されてはどうかと思います。
脳を活性化させ、記憶力だけではなく、認知機能の低下を防ぐ効果が期待できることから、多くの高齢者施設でも取り入れられているそうです。

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