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カミーノ・デ・サンティアゴ巡礼日記

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スペイン北部約800キロの巡礼「カミーノ・デ・サンティアゴ」フランスの国境の村からキリスト教の聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラまで、1ヶ月半におよぶ女(フォトグラファー)一人… もっと読む
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イタリアンファミリー|カミーノ・デ・サンティアゴ巡礼日記#8

2015/8/7 ログローニョ〜ナヘラ 31キロ 昨日の夜は外が騒がしくて眠れなかった。いやに蒸し暑く、持ってきたモンベルの寝袋から這い出して、ダウンの上で無理やり寝ようとするけれど、背中が蒸れて汗でベタつく。 そんなこんなで、うまく眠れずに4時には目が覚めてしまいました。いくら何でも早すぎると、ゆっくり準備に取り掛かり5時半に出発です。 外は真っ暗。夜明け前のログローニョの街は昨夜の喧騒が嘘のように静まり返っています。所々にあるオレンジの街灯がスペインの旧市街の街並み

うつくしい夜明け|カミーノ・デ・サンティアゴ巡礼日記#7

2015/8/6 ロス・アルコス〜ログローニョ 28キロ いつも通り5時起床。同室の人たちはすでに出発して誰もいません。一体何時に起きているのだろう? 外に干してあった靴下を取りに行くと、今から出発しようとしているトクチンとばったり出会しました。トクチンはバックパックを背負い「Star Camino」といって空を指差します。8月の5時の空はまだ真っ暗で、夜明け前のまばらな星が広がっていました。 6時に準備完了、出発です。いまだに準備に時間がかかるのはなぜだろう。A型だか

牛追い祭と9キロの修行|カミーノ・デ・サンティアゴ巡礼日記#6

2015/8/5 ロルカ〜エステーラ〜ロス・アルコス 31キロ 5時起床。6時前に出発。あたりはまだ真っ暗で、ヘッドライトでホタテ貝を探しながら歩く。 昨日聞いた、牛追い祭りのあるエステーラまでは9キロ程。お祭り開始は9時からとのことなので、8時半到着を目指します。 カミーノを歩き出してから、9キロぐらいなら余裕で歩けるようになってきました。 のんびり歩いてもお祭りには間に合いそうだし、今朝は急がず、ゆっくり進みます。後から来た足の速い欧米人にガンガン抜かされていきます

RPG|カミーノ・デ・サンティアゴ巡礼日記#5

ザリキエグイ〜プエンテ・ラ・レイナ〜ロルカ 26.2キロ 昨日の夜は雷と雨の音で何度か目を覚ました。大地を切り裂く様に響き渡る雷の音を聞きながら、丘の中腹の小さな宿の2段ベッドの上でうずくまっていました。 朝5時半。薄暗い中まわりはすでに支度をはじめていました。ペリグリーノはみんな早起きです。雷雨のせいで寝不足かと思っていたけれど、疲れのが勝ったのかしっかり眠ることができ、6時には完全に覚醒し10分で支度完了です。 横のベッドで寝ているアレクサンドラは爆睡の様子。一言声を

小さな町で|カミーノ・デ・サンティアゴ巡礼日記#4

パンプローナ〜ザリキエグイ/Pamplona〜Zariquiegui 11.8km 6時起床、7時まで二度寝。 スタートしてから歩きっぱなしの3日間、思った以上に身体に疲れが溜まっていたのか、うっかり二度寝してしまいました。朝から身体が重く、足の豆も痛い。 幸い歩けない程ではないけれど、まだカミーノは始まったばかり。今日は休息日にすると決め、4.8km先にあるパンプローナの隣町シスール・メノールに向けて出発です。 美しいパンプローナの旧市街と旅立つペリグリーノ達 9時を

祈りの言葉とパンプローナ|カミーノ・デ・サンティアゴ巡礼日記#3

ララソーニャ〜パンプローナ 16.5km 昨日と同じ5時に起床。隣のベッドの人はもういない。 昨夜は巡礼名物大いびきの洗礼を受け、スピーカーから流れてるのか?と思うほどの凄まじいいびきの中でも、ぐっすり眠れる体質でほんとうによかった! アルベルゲの猫たちと庭で朝ごはんを食べて、6時に出発。 しばらく道標のホタテ貝も矢印も見つからず、町の出口付近でようやく発見しました。 あたりはまだ暗く、うっすらと牧場や馬の輪郭が見えます。ペリグリーノ達(巡礼者)もまばらで、ひとり自分の

巡礼仲間/緑のトンネル|カミーノ・デ・サンティアゴ巡礼日記#2

ロンセスバージェス〜ララソーニャ 27km 朝5時起床。 昨日の疲れはそれほどないけれど、脚は重たい感じ。 6時半ごろ、まだ薄暗い中出発です。 教会の門を出てすぐのところで、中年の女性に写真をお願いされました。 イタリア人の巻き舌で「アクレサンドゥゥゥルァ」がどうしても聞き取れず、何度も何度も名前を聞き返す・・・。 歩くのはスローだけど元気いっぱいなアレクサンドラ  アルベルゲを出てすぐのバルで、アレクサンドラにクロワッサンとカフェコンレチェ(カフェラテ)を奢ってもら

ピレネーを越えて|カミーノ・デ・サンティアゴ巡礼日記#1

2015年7月31日 サン・ジャン・ピエ・ド・ポー〜ロンセスバージェス 27.5km 窓の外からの光で目を覚ます。時計は4時半、起きるにはまだ早い。外から土砂降りの雨の音が聞こえる。その瞬間、窓全体がピカッと光った。 今日はカミーノ・デ・サンティアゴ、フランス人の道の最初にして最大の難関と言われる、ピレネー山脈越え。山を越えて25キロ以上先まで宿がないらしく、土砂降りの中ピレネーが越えられるのかな?寝ぼけた頭でぼんやりと今日のことを考えるも、うとうとと再び眠りに・・・。

出発地点|カミーノ・デ・サンティアゴ巡礼日記#0

2015年7月28日〜29日 パリ〜バイヨンヌ 巡礼の旅はのじまりはフランス・パリから。 初日はパリ郊外のゲストハウスに泊まり、翌日巡礼のスタート地点フランスとスペインの国境の町サン・ジャン・ピエ・ド・ポーに向かうため、夜行列車でバイヨンヌに向かいます。 オステルリッツ駅21時40分発、明朝バイヨンヌ駅到着の列車はほぼ満席状態。日本で予約しておいたチケットで無事乗車し、生まれて初めての夜行列車に興奮しながらも、眠りにつきました。 2015年7月30日 バイヨンヌ〜

聖ステファノ教会 祈りの言葉|カミーノ・デ・サンティアゴ

巡礼 El Camino ”この旅路はあなたを巡礼者にします。なぜならサンチアゴへの道はただたどり着くためだけの道でもなければ、何かご褒美をもらうためにやってみることでもないからです。 サンチアゴへの巡礼の旅はひとつの「たとえ話」であり、ひとつの現実なのです。この巡礼があなたに何かを語りかけることを許すならば、またあなたがこの巡礼によって変えられようとすならば、そしてあなたが真の巡礼者となるならば、それは特定の時間の内と外とで階段ごとに、また一生をかけて歩く道だからです。

はじめに|カミーノ・デ・サンティアゴ巡礼日記

2015年7月のおわりから9月にかけて1ヶ月半、キリスト教の巡礼路を歩いた時のはなしを順番にまとめていこうと思います。 フランス国境沿の町サン・ジャン・ピエ・ド・ポーからスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラまでの約800キロに及ぶ道「カミーノ・デ・サンティアゴ」。(通称“カミーノ”) cakesで連載中の 中島悠里さんの「29歳、ひとりスペイン巡礼800キロの旅」が面白くて(ぜひ書籍化してほしい!)、自分の経験と重ね合わせながら読んでいたら、無償にカミーノが恋しくて