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シェイプ・オブ・ウォーターの魅力

僕の一番好きな映画であるところの『シェイプ・オブ・ウォーター』という作品がもっと評価されてもいいと思っているので、ここではストーリー考察とか難しいことじゃなく、ネットでよく見る不平不満について僕の反対意見を書いていこうと思います。なのでこの記事は既に見た人用かもしれないですね。

アカデミー賞とかいろんな賞獲っているので評価はされてるんですけど僕のよく使っているフィルマークスで3.8点/5点満点なのが少し納得いってないというのがこの記事の動機です。

そもそも『シェイプ・オブ・ウォーター』とは

2018年3月1日上映、監督ギレルモ・デル・トロ

内容
舞台は冷戦下のアメリカ、人間と半魚人の出会いと恋愛を描いたやつです。
ストーリーについてもっと詳しく知りたい人はウィキを見て下さい。

見どころはやっぱり音楽と美術ですね。アカデミー賞を取っているので多く語ることはありません。マスク以来のチキチキブンが聞けますね。イライザの家の窓の水垢が素晴らしいです。

あと作品を流れる独特な雰囲気も魅力的です。笑えるコメディシーンがあったり、急にダンスを始めたり、反面グロテスクなシーンがあったりと、何でもありな感じが素敵ですね。

本題

イライザから半魚人への恋愛感情は「孤独な私のありのままを受け入れてくれる」みたいな説明がされているのに対して、半魚人からイライザへの愛が安直で、その説明がまったく表現されていない。

→そもそも恋愛というもの自体が人間側の作り出した概念であって、人の概念の外にある半魚人にとっての恋愛とは大系が違っているのは当然で、犬が懐くのはよくかまってくれるから見たいな単純な理由であってもおかしくないんじゃないかという考えです。

安部公房の『人魚』という作品がこの映画と結構似ているような気がします。主人公が沈没船で見つけた人魚を家に連れて帰り、浴槽で飼うようになって、主人公は人魚と相思相愛だと思ってる。だけど実際のところ、人魚のほうは主人公を都合の良い餌にしか思ってなかったという小説で、人以外の生物は似ているようでやっぱり人とは別の概念で生きているなーって思いました。言語批判とか認識批判になるんですかね。

②マイノリティが押しつけがましい

→主人公が唖で、隣人がゲイ、同僚が黒人女性、半魚人と孤独を感じているキャラクターが多く登場し、差別や偏見に関する色が濃いのは確かですが、それだけじゃないと思います。他に出てくるキャラクターを見てみると、科学第一のロシアスパイ、傲慢なアメリカ男など個性的な人物ばかりで、主人公周りの人々が持つマイノリティもキャラ付けとしての強烈な個性の一つになっていると思います。

『ピンク・フラミンゴ』や『ヘア・スプレー』など、カルト的人気の作品を多く生み出したジョン・ウォーターズ監督もキャラクターの持つ強烈なマイノリティを個性として昇華していました。

マイノリティという個性は凡人よりはるかに優れたステータスです。

セックスのシーンと自慰のシーンが謎、グロい

→これらのシーンのせいで海外ではR18、日本ではぼかし込でR15とこの作品の入口を狭めてしまっている。確かに僕自身、公にできない部分を小説などで何でもかんでもあからさまに書けば文学として優れてるみたいな短絡的な自然文学の思想はあまり好きではない。ただ、全くないのもリアリティに欠けるというのも事実で、アメリカ男のセックスシーンは男性優位の社会を示しているとか、イライザの規則的な自慰のシーンは性的欲求不満とか、多少なりとも作品の状況を説明する意味を含んでいるわけで。まあそもそもR指定ついてるのは観る前から分かってることなんでそこをとやかく言うのもおかしな話なんですよね。
話変わりますけど『神さまの言うとおり』って漫画原作の結構グロい映画が血の表現を赤いビー玉にしたり頑張っててR15なんですが、あれ中学生が好きそうな漫画なのに年齢的に見れないっていうのは面白いですよね。

半魚人が気持ち悪い

→この意見に関してはその通りでいいと思います。気持ち悪いから見れない。その人の感性なので、反論のしようがないです。みないからと言って人生損するわけでもなし。コードギアスとか超面白くて僕は大好きですけどキャラクターの頭身がおかしいから見れないって人いますよね。可愛い系のアニメとかも嫌悪感持つ人いますね。しょうがないです。

他にもいろいろ意見あるかもしれないですが、こんなところだと思います。僕の意見に納得しないよって人もそんなこと考えなくてもいい作品なんで(鋼の意志)

僕は「いい映画」っていうのは「上映中ずっと集中できる映画」だと考えていて、映画に関しては、ストーリーの内容だけじゃなくて飽きさせない映像も大事。そういった意味ではシェイプ・オブ・ウォーターの持つ60年代の音楽とか水のイメージは単にこの作品の映像としての質を高めているように思います。


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