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割箸の上手な割りかた ①

「わたし、割箸を割るときにいっつも上手に割れないんですよ。コツを教えてください~!」

時々、取材を受ける機会があるのですが、イチローの打率程度の割合で必ずリクエストがあるお悩み相談です。

「そうですかあ・・」

答え自体があまりエキサイティングじゃないので遠慮がちにアンサーをするのですが、正解はシンプルです。

「上手な割り方というよりも、上手に割れない原因は箸そのもの」なんです。

さて。ここで「うまく割れない」とされている割箸のパターンを解説してみましょうか。

①割った際の上部が極端に片方に寄っている

②割った際にささくれが生じる

③上部まで割れずに途中で折れた

実は数年前③の事例が数多く出てしまいました。今でも同じ声が多くあります。これは完全にお客様側から見ればクレームに当たります。とても箸として使えないからです。

最後まで割れずに3~5cm手前からポきっと折れるように割れてしまうために実質使用できる部分ではとても箸の機能を果たせないのです。

これには私もびっくりしたのですが、こちらの症状の条件が当てはまりました。

①材質が「アスペン」という材である
②形状が「元禄」のものである

これ、原因を掘り起こすと深いものがあって、工場の製品自体に瑕疵はなかったのです。きちんと「わりすじ」もついていて、検品ではじくことも出来ません。そもそもの素材「アスペン」の特徴によるものでした。

この材の割箸。工場自体は中国で製造されているものですが、材料になるアスペンは主にロシア産です。

本来であれば良く乾燥して使うことが原則なのですが、足りなかった、もしくは水を吸い上げる時期に切り出された材を活用したために材自体が暴れてしまっていたのです。

想像してみてください。

もともと折筋が付いていた折り紙を戻して再び折った際に以前の折筋のところで曲がってしまうことってありませんか?

少し例え方が的外れかもしれませんが、それに近い状態だったのではないかと想像できます。

順番が逆になってしまいましたが、次回は①についてお話していきたいと思います。




埋もれてしまっている宝石がたくさんあるように思います。文化だったり、製品の場合もあるけれど一番は人間の可能性です。見つけて、発信してよりよい世界を共に生きましょう。