見出し画像

雑感:選挙の秋がやってくる~衆議院議員選挙~(その6)

 どうも!おはようございますからこんばんわ!まで。

 第6弾の今回は雇用・労働政策周りについて書いてみたいと思います。

1.賃上げ

 皆さんもアルバイトや派遣,契約社員や正社員といったいろんな雇用形態において、賃金を頂く際の法令上の最低ラインとして最低賃金があります。今月1日その最低賃金が改定となりました。企業とりわけ中小企業にとっては痛手であるのは間違いないと思います。この賃上げを巡る部分において、各政党が掲げている政策は大きく3つの政策に分かれています。

 1つは賃上げを行う企業への支援,もう1つは最低賃金1500円or1000円,そしてもう1つは同一労働同一賃金です。私個人の意見としては最低賃金の引上げか賃上げ企業への支援が妥当な筋かなぁと思いますが、その際に気を付けなればいけないと思われる要素がいくつかあります

 例えば手助けをしても潰れる企業は潰れるという事実です。ビジネスの場面においては大切になる信用調査や倒産情報をリサーチする帝国データバンクという会社がありますが、帝国データバンクの調査員は全国で約1700名程で調査を進めていくと、経営が傾き気味な社長の口は難かったり表面上は経営状態を良さげにしているけど実は粉飾決算をしていたりといろんな場面に出くわすそうです。(詳しくは下記の本を参照してみてください)支援したけれども潰れてしまっては元も子もないですよねぇ~。

 また例えば固定残業代を用いた見せかけの賃上げです。固定残業代は、残業代をあらかじめ決められた固定額の賃金を支払うもので、基本給に組み込まれるタイプと独立した手当てという形で定額支給するタイプの2パターンがありますが、どちらにしても対応時間を超えた時間分については別途残業代の計算をしなければなりません。(参照:『ワタミの初任給はなぜ日銀より高いのか? ナベテル弁護士が教える残業代のカラクリ』渡辺 輝人 (著) pp73~74)例えば元々20時間分を固定残業代として設定しているけれども、これを例えば倍の40時間分にすればその分は上がりますが基本給をいじらなければこれは果たして賃上げをしたの?という疑問があります。

 また例えばいきなり最低賃金を1500円に上げたらヤバいよね?です。今年(2021年)のノーベル経済学賞を受賞した研究は賃金と雇用の関係です。読売新聞オンラインの記事によると概要は次の通りです。

「最低賃金を上げれば、雇用は減る」とする経済学の通説が、必ずしもそうではないことを実証した。

 一見すると最低賃金を上げることを賛成しているように見える一方で、この実証が成立するためには次の前提条件は必要です。「介入群と対照群において、広告を出す前の売上のトレンドが平行である」と「介入が行われているあいだに、売上に影響を与えるような「別の変化」が起きていない」です。そのためいきなり最低賃金を1500円に上げる事がリスキーなのがよくわかります。まずは1000円に上げて様子を見る事からスタートしてみると良いかもしれません。

2.ITと雇用

 新型コロナウイルスを契機としてテレワークをはじめとしたITを用いた働き方改革や業務フローにITを取り込むDX(デジタルトランスフォーメーション)を推奨しています。

スクリーンショット 2021-10-27 213605

 上記画像は今年2月に東京商工会議所が発表した「IT活用実態調査」の報告書で、その中の設問にあるIT導入の目的・きっかけの1位はIT活用のレベル関係なく「業務効率化」だそうです。新型コロナウイルスを契機に、今までのオフィスにおける当たり前や働き方の当たり前が通用しないと分かったからこそ際立つIT活用である一方で、こういう言説を聞いたことはありますか?。

AIで仕事がなくなる

 AI(IT)による作業効率化はその分の労働力を置き換える機能としての側面を言う人がいて、野村総合研究所(以下、野村総研)が2015年に発表したレポートがゆうめいです。しかし、野村総研が発表したレポートをはじめとした労働力の置き換え論は職種をざっくりとした分析で技術的な部分は代替できるかもしれませんが、例えば後輩の指導やクレーム対応といった部分は難しいだろうと海老原嗣生氏は著書で指摘しています。(参照:『「AIで仕事がなくなる」論のウソ この先15年の現実的な雇用シフト』pp52~53)

 国はデジタル庁を創設するほどの力の入れようですが、何がITを活用できて何がITに置き換えしずらいかをピックアップすることを本気で考えないといけないと思う反面、各党の政策を見るとう~んと悩んでしまう位記載が薄いのが残念だなぁと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?