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恩送り@NY,UESで酷い人種差別に遭ったハラルフード屋台の青年

恩送りという言葉を知っていますか?
恩返しなら知っているという人は多いでしょう。
助けてもらったこと、優しくされたことを助けてもらった相手にお返しする。
恩送りは、その自分が受け取った思いやりある行為を全く関係のない第三者に受け渡していくことを言います。

私は、病気になって仕事も出来なくひとり困っている時に多くの人に助けてもらいました。彼らにそんな義理はなかったのに。まだ崖の上を歩いている状態の私には、まだ恩を返すことが出来ません。それは自分にとって不甲斐なく、悶々とするしかなく。。。そんな時に「恩送り」を知りました。

受けた恩を、優しさ、感謝を渡す人数に上限はなく、受け取った人が更に恩を送る。優しさの「バトンリレー」
そんな時に事件を耳にしました。

「ハラルフード」とは、主にムスリムの方々が食べている食事で、ここニューヨークの至る所にハラルフードの屋台が営業している。
ファラフェルやチキンオーバーライスがポピュラーで、ニューヨーカーならなじみの店を1件は持っているんじゃないかと思う。

アッパーイーストの1件のハラル屋台に60代に見える男性が来て、差別用語の限りを尽くしたような暴言を店の人に吐いている動画をTwitterで見た。それも1回じゃない。何度も来る。
暫くすると、その男性は、オバマ元大統領時代の政府高官だと判明した。
私は、この薄笑いを浮かべながら差別用語を吐き出し続ける男性に吐気を催すと同時に、これだけ酷いことを言われても冷静に対応している店の人に対して何か出来ないかと思い始めました。

といっても、私に出来ることなんかたかが知れてる。たまたま同じNYにいるのだから。。。と考えていた時「恩送り」を思い出しました。
で、思いついたのが、現地に行ってその人に会い「私は貴方の味方ですよ」
と伝えること。そして料理を買ってこようと。

彼らの屋台

ということで、今日仕事帰りに行ってきた。
屋台では若い男性が1人働いていた。ヘイトクライムに遭ったその人だった。先ず注文、料理ができたところで話しかけた。話しかける時、彼は一瞬緊張した感じになったけど、

「私は貴方の事をツイッターで知って、私は貴方の味方ですと伝えたくてここに来ました」

と伝えたら、はにかんだような笑顔を見せてくれた。そしてTwitterのフォロワーさん達に託された想いも伝えてきた。彼はとても喜んでいた。
なんだかとてもシャイそうな人。

そして、「この店は18時間ぐらい営業しているから他にもスタッフはいる。でもあの人は、僕が1人でいる時にしか来なかった。」と言っていた。人を見て暴言吐いていたんだと思う。
「最初は仕返しが怖かった。でも近所の人や遠くからでもあなたのように来てくれる人たちがいて守られてるから大丈夫」とも言っていた。
写真を撮ることを快諾してくれたのに、何度撮りなおしてもうつむいちゃうんですw

ヘイトクライムに遭った彼

確かに私が話している間だけでも3人の人が「Hey, everything ok?」と声をかけながら通り過ぎていた。

ニューヨークにはレイシストもいるけれど、声を上げ、助けてくれる人たちもたくさんいる。見て見ぬふりはしない。
既に彼を支援するファンドレイズも始まっている。

彼はきっと、見知らぬ人たちから受け取った「優しさ、恩のバトン」をまた違う人に届けるのだろうと思う。
私はまたあの店に買いに行こう。

チキン・オーバーライス

因みに件のレイシストはNYPDに逮捕された。


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