”結婚”とは何か

2023年7月30日、結婚式を挙げました。
学生時代から9年間付き合っていた人と。
そのうち、1年半は遠距離で、でも3年間の同居生活もあった。
”結婚”することに向き合い続けた20代後半だったので、その葛藤と決意を残しておきます。

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学生時代から付き合っている人がいた。
就職して関東と九州の遠距離になった。
毎日のように会っていたのが、月に一度、3か月に一度になって寂しかった。

じゃあ、転職して引っ越すか。
結婚を前提にということで、両親を含めた顔合わせも済ませた。

いや、でも。
引っ越したけど!同居も始めたけど!
いざ結婚が目の前に見えてきて、結婚に絡まっている制度や慣習、社会の空気感に無理無理無理!ってなった。

「女性は家事があるだろうから早く帰っていいよ」という上司。
「結婚するなら子どもはいつにするの?」
「名字は何になるの?(女性であるあなたが当たり前に変えるのよね?)」
だーーーーーーー。うるさい!
私は私、相手は相手。二人でいることは何も変わらないはずなのに、結婚すると「妻」や「夫」の肩書きに押し込められて、しがらみが増えるだけじゃない?

結婚は幸せの絶頂と語られるけど、本当にそうなの?
なら、結婚していない人は不幸せっていうの?私は今どこにいるの?
その人らしい生き方をしてるのカッコよくない??
結婚したって日々は続いていくわけで、そっちの方が大切なのでは?

小学生の頃「結婚は何歳までにしたいか」って
まるで結婚するのが当たり前かのように話していたけど
”結婚”って何?それって当たり前のこと?

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一緒に住むようになってから、社会学の入門書を読むようになった。徐々に家族社会学やジェンダー研究の文献や論文、新書を読み漁った。時には資料館や有識者の講義を聞きに行った。ドラマを見て、マンガを読んで世間での結婚の描かれ方に触れた。結婚した人・していない人、まだ結婚が現実味を帯びていない大学生と「結婚とは?」という話をしたり、法律婚・事実婚の経験者に話を聞き、記事を読んだ。川崎市のジェンダーに関する市民プロジェクト(ジェンクロス・カワサキ)にも参加するようになったし、同居人と仕事終わりや休みの日を問わず、朝4時まで話し合ったこともあった(本当にごめんね)。

そして、3年が経った。”結婚”の歴史や制度を外側から調べても調べても、納得のいく答えは見つからなかった。やっぱり私は名字を変えることに疑問を抱いてしまうし(なぜ私は私のままでいられない?)、でも相手に変えてほしいわけではない。結婚して名字を変えるのに憧れる人がいることも、名字を変えることに抵抗がない人がいることも知っている。でもそれと私の気持ちは関係ない。あくまで、私がどうありたいかって話だから。(「え?結婚したら名字は絶対どっちかが変えなきゃいけないの?別々の名字にするのってできないんだ」って驚かれることもあったし、前回の選挙もまだまだ無理そうな結果だったし、同性婚も夫婦別姓も認められていないこの日本―別姓に関しては世界でこの国だけ—で、法律婚という選択肢を迷いなく選べるのは強者だっていう葛藤もあった)

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今度は次のステップが見え始めた(ステップって言い方も好きじゃないけど・・・)。
身近な友だちが子どもを授かるような年齢になった。
私が足踏みをしている間に、先に進んでいる人たちがいる。
そう思ってしまうけど、ほんとはそれも嫌だ。だって足踏みしているわけじゃない。先も後もない。それぞれがそれぞれの人生を歩んでいるだけで、私は自分が納得できる生き方や二人のあり方を探しているだけだ。
でも、あっという間に時間が過ぎていく。
子どものことを思うと、いつまでも悩んでいるわけにはいかない。
私だけじゃなく、両親や祖父母も年齢を重ねていく。

そうして不安になって、でも素直に言えなくて、またケンカして、このまま別れるか結婚するか、どうしようって一人暗闇に残された気持ちだった。だけど、このまま別れを選択するかもって思ったときに、ようやく心の底に灯る想いを、つっかえつっかえだったけど口にできた。

「どんなに葛藤を抱えていても日々を一緒に暮らしたい。
二人で生きていくってことを、今まで出会った大切な人たちに応援してほしい。
”今”を記念に残したい。」

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それからもいろいろ話していろんな葛藤があったけど、二人で結婚することを決意。
2023年7月30日に多くの人に見守られながら、結婚式を挙げることができました。
これまでも人生の岐路に立ったとき、あたたかい言葉やパワーをもらってきた大切な人たちが見守ってくれて、いろんな事情で参列できなかった人も含め、たくさんの励ましやお祝いの言葉をもらいました。
皆様、本当にありがとうございました。

最後に、挙式で読み上げた、結婚相手への誓いの言葉を置いておきます。

『結婚とは何か。今の私にとっての結婚は「いろんな思いや葛藤を抱えつつもそれでも一緒にいること、日々をともに暮らすこと」です。お互いにとっても社会にとっても目まぐるしく変化してきたこの9年間、一緒にいろんなことを感じ、話し、過ごせたことは私にとって大切な宝物です。私と同じペースで歩いてくれてありがとう。

さて、先ほど皆さまと○〇さんにいただいた12本のバラの意味から3つを選び、誓いの言葉といたします。
◎愛情
自分らしく、のびのびいられる居場所を作ってくれてありがとう。おかげで、好きなものにたくさん出会えました。私も愛情を持って受け止められる人であることを誓います
◎努力
年明けからボディメイクを始めた私ですが、はじめからうまくいったわけではありませんでした。そんな中、○○さんは高タンパク・低脂質な食材を調べ、朝起きられない私のためにサバを焼き、卵焼きや味噌汁を作ってくれました。
同じように何かに挑戦したいと思ったときに背中を押し、背中合わせに頑張れる人であることを誓います
◎感謝
仕事の都合で生活時間が合わないことも多いけど、一緒にいられることに感謝し、「おはよう」「ありがとう」と毎日の挨拶を大切にすることを誓います
2023年7月30日 ともみ』

今の私にとってはこう、というだけで、きっとこれからも変わっていく。
それぞれにとっての「”結婚”とは何か」、もしくはそれ以外のことも。
機会があったらぜひ教えてください。

いつもご一読、ありがとうございます。 だいすきなプリンが食べられるよう、応援よろしくお願いします。