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わかおの日記251

阿波おどり界には踊る阿呆に見る阿呆…という有名な一節があるが、自分は目立ちたがりのくせに踊るのも億劫なので、三味線を引っさげ徳島へ向かった。

愛しい彼女や、諸々のやらねばならぬことを全て東京に置いて飛行機に乗り込み、1時間ほどぼーっとしていると高松空港に到着した。息つく間もなくリムジンバスに飛び乗り、高松駅から特急うずしおで徳島駅へ。電車はかなりの混雑で、自由席には座れない。背負った三味線に視線を感じながら、ようやくぼくは二拍子の街、徳島へたどり着いた。

みんなと同じは嫌だという自意識が具現化して三味線となり、自分はそれを背負っているものの、徳島阿波おどりの熱狂の前では音の小さい三味線はクソの役にも立たず、しかも初日で三味線の弦を切ってしまったため、2日目からは踊ったり太鼓を叩いたりしていた。

おれの三味線は無力だった

正直踊るほうがよっぽど楽しかった。右手と右足を同時に出すこと以外禁じられていた中学時代の踊りと比べ、今の自分はなんて自由なのだろうと感動した。自由過ぎるあまり疲労の極地に達した終盤の踊りは完全に崩壊し、ただ出鱈目に手足を動かす奇怪な生物と化していたが、それはそれで楽しかったのでよしとしたい。

このときはまだ、踊りの疲労を知らない

そして今何をしているのかというと、台風の中なんの娯楽も与えられずに男くさいウィークリーマンションの中に閉じ込められているため、現実逃避のために自分はこうして日記を書いているわけである。もう昼間から飲むしかないのか?激しく踊り、激しく飲み食いするこの暮らしの中で、自分が太っているのか痩せているのかも分からない。

もう正直だいぶん疲れたので、今日はさっさと中止にして飲み会をしたい。自分は飲み会がしたくて阿波おどりをしているのだから、飲み会がないというのは本当にありえない。果たして打ち上げは開催されるのだろうか?吉報を待ちつつ万年床でタバコを吸いたいと思う。

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