わきさか

わきさか

最近の記事

好きな言葉

 昨年の夏にインドに行った。友人に誘われ、単に観光目的で行っただけであったが、その国に行く他の多くの人と同じように、そこに訪れることで何か自分の中で価値観が変わるかもしれない、という淡い期待を抱かないわけではなかった。  ありきたりな表現だが、インドはとにかく混沌とした国だった。一歩空港の外を出るとすぐに十余人の許教師に囲まれ、タクシーは手配したか、SiMはあるか、金を恵んでくれととにかくうるさい。街では牛が当たり前のように車の横を開歩しているし、車線や号を守っている車など

    • 客体化される死者について(大森静佳「琵琶子」にたいする歌評)

      ※大学の講義で書いた歌評です。けっこう良い評価をもらったのでここにも載せます。大学向けに書いたものなので、無理に字数が引き伸ばされています。そこも楽しんでいただければ。  この歌をどのように読むか、ということを考えた時に、この歌の解釈でもっとも意見がわかれるところはどこか、というと、それはおそらく、「新聞の匂い」がいったい誰の手に残っているのか、というところであろう。これは言い換えると、この歌の作中主体がどこにいるのか、ということにもなる。すなわち、水難事故で死んだ子供の手

      • 怖いこと

        1000字くらいのエッセイを書け、と言われて10月に書いたエッセイ。念のため言っておくけど、ぼくは東京出身です。  怖いことは世にさまざまある。いつも財布に入っているはずの定期をなくしてしまうことが怖いし、好きな人からLINEが返ってこなくなるのも怖い。寝坊して単位を落とすことが怖いし、バイトでミスをしてしまうことも怖い。生きていれば、たいていは何かのことをつねに恐れているような気さえする。しかしそれでも、もっと怖いもの、もっとなにか、自分を根源から不気味な気分にさせるよう

        • さいきん思うことの雑記

          高円寺のアール座読書館、かなりいいところなのでぜひ行ってみてください。全部の席にこういうメモがあって、みんな色々なことを書いていてかなりおもしろいです。

        好きな言葉

          メアリージェーンという曲

          『メアリージェーン』という曲。andymori解散後にその初期メンバーが中心となって結成されたバンド・ALのファーストアルバム『心の中の色紙』の収録曲。とにかく良すぎるので、とりあえず聞いてほしい。  僕はandymoriが大好きで、音楽を聴くときは、いつでもどこかでその幻影を追い続けている。メアリージェーンはALの曲の中でもかなりandymoriがもつ雰囲気と共通のものを持っていて、だからそこに”光”をみたのかもしれない。 曲を再生する  どこからともなく ”slow

          メアリージェーンという曲

          たたかうための宣言

           青松輝という歌人が、こういうnoteを書いていた。  これについて、夜中にいろいろと考えたので、その一つの結論として、考えたことをここに書いていきたいと思う。”創作”という概念について、この青松の記事にあるそれを完全に引用するわけではないが、少なくともそこからの影響を多分に受けていることは先に述べておきたい。 さておそらく、青松のような人間は、人生における創作の、その自己表現のアウトプット方法を人よりも上手く備えている。それは、単に彼が彼の創作において最も相性がい

          たたかうための宣言