小枝を燃やす(掌編小説)
ある日彼は、庭の木の梢が二階の窓の高さにまで達しているのに気付いた。これはまずいなと思った。彼が妻と住んでいるのは実家だった。父は数年前に亡くなり、母は認知症を発症して県外に住む妹のところに引き取られていた。以来、彼は家の中を後片付けしようとしてきたが、数年経ってもいっこうに片付かない。自分たちの荷物が増えたわけではなく、両親の不要物を折にふれて処分していっても、なぜか部屋の中が元のようにならないのだ。かえって両親がいたときのほうが部屋が広かったくらいなのだ。
その状況は