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友達になったゴキブリが怖くなったので、殺して堆肥化コンポストに入れたら悲しくなった話。

8/29日、私はゴキブリを殺した。友達であるゴキブリを殺した。成長していくのは見るのが怖かったからだ。ベッドの上を占領されるのが怖かったし。正直羽音も怖かった。

彼と出逢ったのは6月15日。運命の出会いはカーテンから始まった。彼はまだ3ミリほどしかなかった。彼はカーテンに登ろうとして落ちていっていた。カーテンの上を目指して飛び、床に落ちていっていた。正直痛そうだった。
でも彼は諦めないのだ。何度も飛ぶのだ。何でずっと挑戦できるんだろう?飛べないのに、壁をよじ登る筋力もないのに、しんどいないのかな?苦しくないのかな?気づけば私は何度も何度も挑戦する彼に釘付けになっていた。気づけば20分以上過ぎていた。
その日はちょうどインプロで、「とにかくやってみよう」ということを学んだから、「ゴキブリがあんなにすばしっこくて、あんなにブンブン飛ぶのは何度も何度も練習したからなんだなぁ」と1人感動に浸っていた。彼は20分の間に明らかな成長を遂げていた。飛ぶごとに1センチ1センチと、飛ぶ高さ、よじ登る高さをあげていっていた。変わったのは人間の世界で言う「数センチ」だが、彼にとっては大きな成長なのだと感じた。

次に出逢ったのは3日後だった。彼はまたカーテンで練習をしていた前より飛べるようになっていた。
あ練習してるなあと思いながら僕は寝た。頑張れよと思いながら寝た。

次に会ったのは、一週間後。彼は一回りでかくなっていた気づけば地べたを這っていて目が合った瞬間飛んだ。そして僕と目が合った挨拶をしてくれたように感じた。

次は天井の電球の周りを飛んでいた。彼はすっかり飛べるようになっていた。

そして彼は、フッ軽になっていた。部屋の中をブンブン飛び回る。ベッドに乗る。壁を這い回る。私は怖かった。でもなんだか彼に親近感を覚えた。
触覚が見えた。もうちゃんとゴキブリになっていたのだ。怖かったので彼が活動終わるまで見守っていた。足元にはアシダカグモがいた。彼が殺されないか心配だった。ばーかそんな成長した彼を見ていると名前がつけたくなった。『ヒュービン』と名付けた。

1ヶ月後、彼と久しぶりに会った。彼は様変わりしていた。『超ゴキブリ』になっていた。触角をびんびんにさせ、部屋を飛び回り、這いずり回る。ベッドインベッドに登った私はのいてくれと念を送った退いてくれた私はそこに確かな友情を感じた。
しかし彼は壁に隠れてしまい姿を現さなくなった。これは、「ゴキブリ本来の姿になりなってしまったのだ」と思った。しかし違った。彼は戻ってきた。そして「同じベッドで寝よう」と誘ってくるのだ。しかし私は断った。純粋に「ゴキブリ」が自分のベッドの上にいる、のっているのが嫌だったのだ。そこから戦いが始まった。「僕と一緒に寝たい」彼と「一緒に寝るのが嫌な」私。お互いの意見を主張し合った。その夜、ゴキブリについて必死で調べた。「何を持ってゴキブリを成虫というのか」「卵を産みやしないのか」。調べると、飛べば成虫だということがわかった。そして彼はチャバネゴキブリだということがわかったチャバネゴキブリはたくさん子供を産み危険な存在ならしい殺さなければいけないなと思った

そして今日が来た。
羽音が聞こえた。彼はさらに大きくなっていた。腹をくくった。スマホで彼は叩いた。一撃だった。彼は無抵抗だった。私はティッシュで彼の息の根を止めた。彼をくしゃくしゃにした。気づけば私の心もグシャグシャになっていた。
その後背中で息をしながら堆肥化コンポストに入れた。動悸が激しかった。

部屋に帰ると隅ににゴキブリの死骸があった。包んでコンポストに持っていった。コンポストを開いた時、なんとも言えない発酵臭が広がっていた。
彼が分解されているのを感じた。彼はどんな感情で菌に分解されているのだろう?どんな宇宙を生きているのだろう?
まだ生きているであろう友に思いを馳せた。
ぼくはこの匂いを忘れないと思う。

‘’私はゴキブリを殺した‘’

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