今、振り返る19世紀からの思想の歩み(7)  今の今、まっすぐに!

 前回、追記として横田めぐみさんのことに触れたのだが、是非読んでいただきたいと思う。これら今に続く問題の根が、どこにあるのか知るうえでも、逃すわけにいかない話だからである。

 さて、100年をⅠ世紀とするが、100年もすれば否応なく世の中も変わると考えれば、100年は社会変化と思想の問題に入り込む一つの区切りと言えるだろう。(徳川時代だって最初から最後までほとんど変わらなかったわけじゃない。)
 実は、昨今、ペトロダラー(石油ダラー)やBRICS(ブリックス)、一帯一路などに関し、さらにウクライナ問題(戦争)やイスラエル、ハマス問題(戦争)など、世界中の大きな抜本的問題や、アメリカのドル絶対力の終焉、アメリカ依存に徹する日本の将来のことなど、思わず筆が走りそうになる。しかし、いずれそこにつながるのだから、今は今に至る「事情」をしかと見届ける必要を考え、微力を自覚しつつも話を展開することにしたい。

 そこで気になるところから始めさせていただきたい。何と言ってもヨーロッパである。分けても、1990年に今日のドイツを統一したビスマルク(1815年~1898年、鉄血宰相と呼ばれた)の失脚が問題の岐路かも知れないと、ぼくは思っている。
 ビスマルクと言えば、ドイツ統一とか、普仏戦争とか、日本人にはそういうことで済んでいるだろう。しかし、スピノザ、ヘーゲル、ランケ、マキャベリ、ゲーテなどから影響を受けたことが知られる人物だ。ある人物を理解し、知る上では、文学(詩も入る)、音楽、舞踊、絵画、彫刻、芝居他の環境との親しみ具合も大切(問題)だし、趣味だってある。彼ら彼女らの成長、思索の後など、その人の思想の血肉の理解につながる。だが、思わずどの学科で学べるだろうかと首をかしげる。ただ、学科で設定するなんてヤボな話をすることはない。授業であり、授業の知的刺激なのである。 この授業が、試験対策の上手、下手で判断されているからダメなんだと思う。試験対策に丸め込むなど愚の骨頂なんだと思う。
 特に高等学校では、先生用マニュアルにそうしたことが参考になるように書かれていて、先生がそれを確認できることが肝心である。授業中の先生の話が知的に興味深いものであるためには、先生のそれまでの知識なども必要だ。講義にはこうした条件があって、資質がなければならないということだろう。(もっとも、そうした講義にもはや関心を向けなくなったり、話を聞く力がなかったりすることがある。これは別の教育問題になる。)

 そのビスマルクなんだけれども、彼はユンカー(エルベ川以東の領主たちで農地経営に勤しみ、産業にも首を突っ込んだ。)出身者で、封建主義をバックに強兵主義や産業を大いに奨励推進した。だが、時代は変わるのである。もはや封建主義を基盤にはできない。資本主義の本格的な、そしてその帝国主義的発展が目される時代に入ったということである。ビスマルクのやり方、考え方は産業の発展、進化にともなう社会変化に合わせられなくなったということである。
 ビスマルクは、社会主義者への弾圧法(1878年社会主義者鎮圧法)でも名を成したけれども、それも彼の失脚と共に、1890年に廃止された。
 資本主義と民主主義が抜き差しならぬ社会と歴史の大きな課題となり、テーマとなったのである。特に議会、選挙、そして、重要なのが社会主義だ。
   (社会主義をうたう国々が、「民主」とか「民主主義」あるいは「人
    民」を国名のどこかにつける。朝鮮民主主義人民共和国、ドイツ民 
    主共和国、ポーランド人民共和国、ハンガリー人民共和国、ルーマ 
    ニア人民共和国、ブルガリア人民共和国、アルバニア人民共和国、 
    中華人民共和国、チェコスロヴァキア社会主義共和国、ユーゴスラ 
    ヴィア連邦人民共和国〈ユーゴスラヴィア社会主義連邦共和国〉の 
    国名、ざっと上げて見るだけで共通するのは、この国家は人々(人 
    民)のもので、民主的なんだといった思わせであろう。ちなみに、 
    ナチスの政党名は「国民社会主義ドイツ労働者党」だった!)

 もちろん、ビスマルク失脚の前から、民衆全体のことをとらえ、部分的、地域的な政治闘争や、暴力的な抗議行動では社会の発展方向が見えないと、新しい時代にふさわしい政党政治を求める機運がふくらんでいた。英独仏の経済、政治、軍事を見ればいい。(ただし、今となっては病理と言うべきなのだが、ロシアはそうとう事情が違う。)
 帝国主義のことはさておいて、民主政体といえば担うのは「国民」であり、民衆や市民と言ってよいわけだ。もはや封建時代や王制を捨てて、資本主義を選んだ以上、政党、選挙や議会のあり方は最重要の問題となる。例えば1890年のドイツだが、「ドイツ社会民主党」が登場し、1912年には425万票を獲得、議席110でドイツの第一党になったくらいである。イギリスのことも、フランスのことも、同時につかんでおくことになるが、それぞれ研究者たちが教えてくれるので、これだけは思っておきたい。
 ある程度は当たり前のことなのだが、社会主義や議会主義を論じるとき、欠かせないのは、民主主義あるいは自由であるし、法の支配ということであるとぼくは思っている。従って、ディスカッションというか、議論の交換を通じてより高い意識、より広く政治への参加を集めていくことが、意欲的に考えられていなければならないと思うのである。
 もちろん簡単なことではない。しかし、20世紀前半に、世界大戦を2度も経るのである。そして、自由や民主主義が人々をとらえ、大きな政治的力として、万国に去来したとはお世辞にも言えない。何故なんだろう?
 ぼくはこうした疑問をずっと持って生きてきた。人生のもう残り少ない時間、ぼくなりに到達したことを語らなければなるまい・・・。


  和久内明(長野芳明=グランパ・アキ)に連絡してみようと思われたら、電話は、090-9342-7562(担当:ながの)、メールhias@tokyo-hias.com です。ご連絡ください。

【大事な附記】
今年(2023年、令和5年)は、病気(肺炎と気管支炎)で、ほとんど、生きるか死ぬかの体験をしました。まだまだ、前のようには行かないのですが、病中ベッドに張り付きながら思ったものです。23年間行ってきた9月11日の会〈9.11メモリアル〉を実行する力が無くなったのではないかと。新たな展開をするしかないと覚悟を決め、幸い準備してきたのですから、本年を舞台形式の最後にするということです。当日は、車の送迎で、何とか会場に着いたものの、座って動かないのが精一杯。しかし、です。最後にふさわしく、同時多発テロの犠牲者、戦争と平和という、今日につながる問題に、一流の腕と思考力、想像力を駆使する方々の熱演で、素晴らしい舞台空間となりました。ご来場の皆さまは無論のこと、感謝しきりです。ぜひ、下に掲げるユーチューブをご覧になって欲しいと思います!!

 1) 黙とう  22回を数えて、「戦争と平和」を改めて問う
  和久内明   https://www.youtube.com/watch?v=esDn8Rn3I3I 

2) 「無伴奏バイオリンソナタ」(第3番 1,3,4楽章 バッハ)  
  田澤明子   https://www.youtube.com/watch?v=iNxt05HqAIQ

3) 琵琶演奏 「風の宴~琵琶独奏の為の」(2002年) 
  塩高和之   https://www.youtube.com/watch?v=Jfe-9ZKQrWI 

4) 「二つの月」(作曲・塩高和之)
  塩高和之、田澤明子、津村禮次郎 
         https://www.youtube.com/watch?v=SJwonmmiqSE

5) 「良寛」第2部  
  津村禮次郎、塩高和之、中村明日香 
         https://www.youtube.com/watch?v=_e_3nHxrw8k

6) ギター、イラン打楽器、能舞のコラボレーション 
  「鎮魂、紛争犠牲者に捧げる」 山口亮志、蔡怜雄、津村禮次郎 
         https://www.youtube.com/watch?v=hrShTsizMHc 

                        以上、和久内明


 
 




 
 

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