浅草橋から蔵前――ものづくりと物流の街を歩く(「東京5キロメートル――知ってる街の知らない魅力」第4回)【毎月配信】

「普段は歩かないような地域をつなげて散歩することで、東京を再発見する」こちらの企画。今回は、秋葉原から浅草まで歩きました。途中で通過する浅草橋から蔵前といった古い問屋街で見つけた、新しい街の変化とは?

◎監修:白土晴一
◎取材・文:松田理沙+PLANETS編集部
◎写真:PLANETS編集部

1月初めの晴れた日。私たちは秋葉原駅の電気街口に集合しました。街は、すでにお仕事を始めている人と、まだ冬休みの人たちが入り混じった、なんともいえない不思議な活気に包まれていました。

今回私たちは、秋葉原から浅草までを歩くことにしました。距離にしてざっと3キロメートル。この二つの街が歩いて移動できること、ご存じでしたでしょうか。今日の街歩きでも、いろいろな発見をすることができそうです。

(1)CHABARA

出発はJRの秋葉原駅電気街口前。「オタクの街」秋葉原ですが、アドバイザーの白土さんに案内されて向かったのは高架下のちょっとオシャレな建物。中に入ってみると、全国の珍しい食べ物が勢揃いしています!

この「CHABARA」という施設には、「日本百貨店しょくひんかん」、「やなか珈琲店」、「こまきしょくどう -鎌倉不識庵-」のほか、期間限定のお店なども入っていました。秋葉原駅から御徒町駅にかけての高架下を再開発するJRのプロジェクト「2k540 AKI-OKA ARTISAN」の第2段としてオープンしたのがこの「CHABARA」だそうです。

そのなかで、全国の食の作り手と、それを食べる生活者が直接出会う場所というコンセプトでつくられたのが「日本百貨店しょくひんかん」です。一風変わった味付けのご飯のおともやおつまみ、調味料から、都内ではなかなか入手できないけれど現地では知られたお菓子まで。バイヤーさんの厳選したちょっと気の利いた逸品が各地から集められています。

▲静岡県発の塩辛。「海老ガーリック」なんて、とても珍しい味です。 

▲徳島県からきた、「お餅バー」。国産水稲もち米100%の生地に、いろいろな味がついています。食べてみたかった!

「やなか珈琲店」は注文ごとに、こだわりの珈琲豆を焙煎してくれるお店。早速テイクアウトしていただきましたが、香りの高い珈琲に包まれて、幸せな気分でした。

さらに「こまきしょくどう -鎌倉不識庵-」では、店内で、本格的な精進料理を食べることができるようでした。次回訪れた際は、ぜひチャレンジしてみたいです!

(2)柳森神社

「CHABARA」を出て、まっすぐ浅草橋に向かって歩こうとしたところ、「タヌキを祀っている神社があるんですよ。行ってみませんか?」と白土さんから提案が。神田川を渡って少し歩いたところに、小さな神社がありました。「柳森神社」です。

▲本当にタヌキの像が!

こちらの神社は、太田道灌によって江戸城の鬼門の守りとして祭られた神社です。そのなかに、タヌキが鎮座しているではありませんか! このタヌキは、五代将軍・徳川綱吉の生母桂昌院が江戸城に創建したもので、大奥の女性に信仰されたものだそうです。いわく、大奥につかえる女性たちは、他(た)を抜(ぬ)いて将軍に寵愛されたい、玉の輿に乗りたい…と願ったそうです。と、いうことで「タヌキ」。現代においては、仕事や恋愛で「他を抜いて勝ち抜く」という願いをこめてお参りにくる人たちが多いのかもしれないですね。訪問時には、ランチタイムだからか、会社員と思われる女性の人たちがたくさんお参りに来ていました。

▲コンクリート製のこちらの鳥居は、関東大震災で倒れたものを再建したものだそう。

さらに神社の壁面には、鯉(?)の鏝絵が。

▲白土さんいわく、左官屋さんが、漆喰を使いコテで描いたものだそうです。力強い!

柳森神社から、秋葉原駅の昭和通り口の周辺に戻ってきました。

小さな駅前の広場のようになっているこのエリア。「佐久間橋」という石碑があり、かつての川を埋め立てた場所であることが伺えます。かつてこの場所は、神田川からの河岸、つまり船着き場だったそう。たしかに、駅の入り口に向かって、まっすぐ開けた空間になっています。秋葉原は、昔は船から運ばれてくる荷物を卸す街だったんですね。

(3)高架下の倉庫群

続いて、中央総武線の高架下に沿って、まっすぐ浅草橋駅を目指して歩いていきます。この一帯は、かつて秋葉原に卸された貨物たちを保管する、倉庫群だったそう。倉庫だった名残が、今でも少し残っています。

▲倉庫が取り除かれたであろう高架下の風景も、なんだか味があります。

途中に、佐久間公園という小さな公園がありました。この公園は、ラジオ体操発祥の地なんだとか!

▲小さな神社もあります。かつてこの地域は木材の倉庫が多かったため、火事が頻発したことから、火除けを願ってたくさんの神社が建てられたのだそうです。

▲国民の健康促進のために考えられたのがラジオ体操だったそうです。国家の予防医学的なプログラムだったんですね。

(4)浅草橋駅前

高架下を線路に沿って15分ほど歩くと、浅草橋駅に到着しました!

▲浅草橋駅前。電車の線路のあとから駅のホームが作られたため、外側に出っ張っている構造になっているそうです。

このあたりは昔、問屋が多かった名残で、アクセサリーや人形、ビーズや革製品を扱っているお店が多いとのこと。実際に歩いてみると、たしかにそういった個性的なお店が並んでいることがわかります。

▲手芸品に特化した、細かいパーツが売られています。

▲革を取り扱うお店の店頭には、なんと鹿の剥製がありました!

このエリアはこうして昔ながらのお店が多く残る一方、再開発とともに新しいオフィスやお店が目立ち始めているそうです。古い問屋街のなかに、ぽつんとお洒落な飲食店があったり、突然今風のオフィスビルが建っていたりと、新旧入り混じっている町並みが他では見たことのない不思議な光景でした。

▲婦人服とダンス用品を扱うお店の名前はなぜか「ビッグバン」。

(5)BASE2500

駅前の手芸店たちを一通り眺めたあと、私たちが訪れたのは「BASE2500」。こちらは宇野さんが集めている拡張型都市開発トレーディングフィギュア「ジオクレイパー」の公式ショップ兼ジオラマギャラリーです。なんと先月(2016年12月)にオープンしたばかりとか。

過去にPLANETSメルマガでもインタビューさせていただいたことがある「ジオクレイパー」は、一つ一つが6cm角の正方形をしています。正方形のユニットにはいくつかのパターンがあり、高層ビルが建っていたり、コンビナートがあったり、高速道路があったり。まるで近代都市としての東京が圧縮されたようなシリーズなのです。「BASE2500」には、大迫力のスケールでこのジオクレイパーたちが敷き詰められていました!

▲1216個のユニットで作られたジオラマ。湾岸部と都市部など様々なユニットが組み合わさっており、圧巻です。手前には羽田空港も!

▲こだわりを感じられる高速道路のジャンクションユニット。

▲湾岸地区を表現したコンテナターミナル。赤いキリンがかわいい!

▲まるで、都心の高層ビル群を上空から眺めているような気分です。

▲飛行場の1ユニット。壁の裏側まで細かく作り込まれていることがわかります。

▲ジオクレイパーを企画する、日本卓上開発株式会社・代表取締役の内山田昇平(うちやまだ・しょうへい)さんと、スタッフの金子さん。

「実際にお客様にいじってもらって、初めて細かい作り込みがわかってもらえるんですよね。」と内山田さん。たしかに、写真では伝わりきらない魅力があります。小さな正方形のユニットを組み合わせて都市を作り出すという世界に私は触れるのが初めてで、感動してしまいました。特に湾岸部のコンビナートの精巧な作りに魅せられてしまい、私も初めてのジオクレイパーを1つ購入しました!

▲配管のひとつひとつまで細かく作り込まれていて素晴らしいです。

単純にユニットを組み合わせて街を作るだけではなく、自分でアレンジした作品を作っている方たちもいらっしゃり、店内ではアレンジした作品群を見ることもできます。

ジオラマについて全く知識を持っていなかった私もかなり楽しめたので、ふだんはフィギュアやジオラマに触れたことがないという皆さんもぜひ足を運んでみてください。ここまで大きなジオラマも、滅多に見ることができません。

☆★ジオクレイパー情報★☆
ジオクレイパーHP
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2017年6月には、人気アニメ『エヴァンゲリオン』の舞台:第三新東京市を【TOKYO-Ⅲシーナリー】として発売が決定。ジオクレイパーならではの細かい作り込みで、劇中に登場する兵装関連施設を精巧に再現します。

また、2月19日(日)に幕張メッセで開催される『ワンダーフェスティバル2017冬』に出展予定。当日は開発中のTOKYO-Ⅲシーナリーをいち早くご覧頂けます。

(6)友安製作所

「BASE2500」から歩いて数分のところに、DIYがコンセプトのカフェ、「友安製作所」があります。飲み物だけでなく食事メニューも充実しており、午後のひとときをゆっくりと過ごすのにぴったりなお店でした。

▲店内ではタイルやカーテンが売られています。

▲壁にはカーテンをかける器具がずらりと並んでいます。

▲シールでDIYできるタイルグッズも、一つから購入することができます。いろんなパターンがあって、目移りしてしまいます!

インテリアやDIYに関するフリーペーパーも置かれています。カフェを楽しんだり、DIYグッズを買うだけではなく、情報を集めることもできる場所でした。

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