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大阪マラソン完走記

 大阪マラソン走ったんやけど、めっちゃおもろかったし、書き留めとくわ。

 結果から言うと、ネットタイムで3時間27分41秒(グロスタイム3時間30分29秒)。初フルマラソンだった昨年の福知山マラソンよりも約15分縮めてパーソナルベストを更新。

※ネットタイム:スタートライン通過からゴールまでの実際走った時間グロスタイム:号砲からゴールまでのトータル時間

 目標であるサブ3.5(フルマラソン3時間半以内に完走)をネットタイムではあるけど、なんとか達成。一応、フルマラソン出場者の上位10%ぐらいしか達成できないと言われているので十分頑張ったと思う。
 次はサブスリーか?…となると、仕事か家庭、もしくは他の趣味をなんらかの形で犠牲にしてトレーニングしないと厳しそう。よって適度なランニングは続けるとしても、レースに出るようなマラソン趣味はひとまずお休みにするつもり。

 東京マラソンだけは毎年応募して、当たったらその年だけはちゃんとトレーニングして出ようかな?あ、横田米軍基地内でやってるハーフ…マラソンは社会科見学を兼ねて一回出てみたいかも。未練はそれぐらいだね。

 さて、 人生2回目のフルマラソンであり、初の大都市マラソン出場となった、大阪マラソンの挑戦記です。

◆事前トレーニング
 春先に体調を崩して寝込んでたら体重が増えてしまったこともあり、慎重にトレーニングスタート。

 昨年は8〜11月にかけコンスタントに月間100〜130kmぐらい走っていたけど、今年は毎月100km以下。せいぜい80~90km程度。おめえよくそれでサブ3.5いけると思ったな!?

 ネット情報によるとサブ3.5ランナーの大半は月間150km~200km超走っているらしいので、カミナリ的セルフ突込みを入れるまでもなく、正直達成は厳しいだろうなと考えていた。

 9月ぐらいから週1程度のペースでゆっくり10km~15km走り、11月に入ってやっと20km以上のロング走&レースペースで5〜15kmのポイント練習を導入。ギリギリになってやっと体重も昨年並に落とせたという…。今思えば30km走を一回でもやっておけば本番ラスト5kmでもう少し粘れたんじゃないかな?

◆レース前日〜スタート
 前々日に単身赴任先の東京から、大阪の妻宅に帰省。前日は妻との散歩デートがてら事前登録のためにインテックス大阪へ。晩酌は早めに切り上げ、たっぷり睡眠。

 5時半起床。体調は最高。曇天。気温も高くなくマラソン日和。どら焼きとバウムクーヘンを食べて出発。

 スタート地点の大阪城公園は、大阪勤務時代に週末よく走っていたし、勝手知ったる庭という感じ。さっさと手荷物を預けて、バナナ食べて、アミノバイタル飲んで、寒さ対策に穴を開けたゴミ袋を着て(間抜けだけどみんなやってる寒さ対策)、スタートブロックへ。

 昨年の福知山マラソンでは途中トイレ×3回による痛恨のタイムロスがあったので、今回はとにかく待っている間はひたすらトイレに並んで何度も用を足した。それでも結局10km付近で一回トイレ行ったけど。サブスリーレベルのエリートランナーだと我慢できなかったら途中で排尿してしまうのが当たり前らしい…。(エイドの水とかで誤魔化すそうな。)さすがにそこまでは本気になれんわ。

 A〜Pブロックまである中のCブロックで待機。前年サブ4を達成してると前の方のブロックでスタートできて気分がいいね。(申込時の持ちタイムでブロック分けされる)周りは明らかにレース慣れしてるガチ勢という感じ。これだけ痩せている人が集まってることになんか笑ってしまう。シュッとしてる族の集まりかよ。仮装してる人もほぼゼロで、陸上連盟登録者専用のゼッケンを着けている人が多い。腰に巻くタイプのポシェットをしてる人が少ない。エイドでの補給慣れしてるから、自分で持ち歩かないんだろうね。

レースプランについて
フルマラソンというのは、何も考えずただ一生懸命走ればいいというものではない。ランナーとしての自分の特性や、コースの特徴を考慮したレースプランを考え、いかに実行していくかが目標タイム達成を大きく左右する。意外と頭脳スポーツでもあるのだ。
僕の目標であるサブ3.5というのは単純計算で42.195kmを1kmあたり4'58のイーブンペースで走りきれば達成できる。しかし、実際にはスタート後の混雑や路面状況の変化、何より己のコンディションの変化により同じペースでずっと走り切ることは不可能に近い。
一般的には最初に飛ばして、後半粘る"ポジティブスプリット"よりも、前半は抑えて後半に余力を残して徐々にペースを上げていく"ネガティブスプリット"の方が初心者はタイムを出しやすいと言われている。
前回の福知山マラソンに引き続き、僕はネガティヴスプリットでレースプランを立てた。さてどうなったのか?

◆スタート〜5km(事前想定ペース5'10)
号砲が鳴る。周りがガチ勢すぎて「イエー!」と叫んだのは僕含め数名か?結構恥ずかしい。お祭りなんだから楽しめばいいのに。たぶんFunRun層が多い後ろのブロックだともっと盛り上がってたんだろう。スタートラインを通過した際のタイムラグ、約3分。(このたったの3分間がネットタイムとグロスタイムの違いになるわけだ。)人波にもまれ直後1kmは思ったように進めず、ラップ5’20。これは想定通り。しかしその後は抑えに抑えたつもりでもいつの間にか5’00にペースアップしていた。コース中唯一アップダウンが多い区間なのに…。周りのペースにつられてしまった。オーバーペースに対して精神的にやや焦る。

◆5~10km(事前想定ペース5’00)
 難波を通過し、大阪を代表するメインストリート、御堂筋へ。本来キタからミナミへの一方通行の道路なのに逆走するのおもろすぎやろ。後期高齢者の方は逆走してしまう前にできれば積極的に免許返納してくださいね。
 以前、会社のオフィスが御堂筋沿いにあったので、もちろん見知った景色。かつ沿道の応援はお祭り騒ぎ。テンション爆上がりでいつのまにか4'45~4'50程度にペースアップ。レースプランとしてはかなり飛ばし気味だけど心拍も150台で調子よく、楽しいからまあいいや~。(心拍はランニング用ウォッチでリアルタイムで計測できるんです)途中、東京のバーで知り合った近所のおじさまが、たまたま大阪に帰省していて応援にかけつけてくれた。(この頃妻はまだ家で寝ていたと思分われる)

◆10~20km(事前想定ペース4:50)
 10km地点で計画通りエナジージェル補給。ランナーズハイ、最高潮。想定通り4’50ペースで大阪の街を駆け抜ける。後から確かめると300人ぐらい抜いている。全く苦しさを感じない。アドレナリン、ドッバドバだったんだろうな~。京セラドーム大阪って難波からこんなに近かったんやな~。

 沿道の女子大生の応援を凝視したり、カメラマンにピースする余裕も残っていて、大阪めっちゃすっきゃねーんと歌いだしたい気持ち。途中トイレに行ったものの、コースから近くて空いている場所を探す精神的余裕があったので、ロスは30秒程度で済んだ。

 (一方その頃、想定ゴールタイムギリギリにフィニッシュゾーンに来るつもりだった妻は、私の途中経過タイムを表示してくれるサービスを見て、自己ベスト以上のペースで走っていることを知ってめちゃくちゃ焦ったらしい。ざまあみろ。)

◆20~35km(事前想定ペース4’50)
 ハーフ地点を通過したところでエナジージェル2つ目補給。心拍的には問題ないものの、やや脚が重くなってくる。練習でのロング走不足はわかっていたので疲労は想定内なんだけど、見知らぬ単調な国道沿いで景色がつまらない。応援も少なくなりテンションが下がる。それでも35kmまでペースを落とさなければ、どれだけ最後にバテてもサブ3.5が見えてくる。踏ん張る。沿道で応援してくれる”女性”に積極的にハイタッチしてもらい、己を鼓舞。おっちゃんでも嬉しいけどね。人間、限界に近づくと本能に忠実になるものなのです。それにしても南下するにつれてだんだん言葉が「おにいさんがんばって」→「おにいちゃんがんばってや」→「にいちゃんきばりや」にガラ悪く変化していったような…。

 自分でも驚くことにさらにペースアップ。30kmまで4’40ペース。30km越えてかなりキツくなってきてもなんとか4’55ペースで耐えた。後から確認するとこの区間で1,000人ぐらい抜いている。まじでサブ3.5いけんのちゃいます??……これが慢心であった。

◆35km~ゴール(事前想定ペース4’50)
  はい。もう無理です。すみませんでした。ここまできたら多少ペースダウンしてもいい、と思っていたら案の定気が抜けて”潰れて”しまった。メンタルスポーツ!!一気に5’10ペースにダウン。マラソンって基本的にめちゃめちゃ楽しいけど、バテてからは地獄以外の何物でもない。アドレナリンが切れ、筋肉も悲鳴をあげてるし、グリコーゲンも枯渇寸前。ペースを落としても心拍はずっと180超えてるし…。自分の意志とは関係なく、脳が生命の危機だと感じて「まらそん きけん はしったら しぬで」と囁いてくる。グリコ森永事件かよ。棄権と危険かかってるし。防御本能ありがとうございます。でも今はいらんねん~。

 追い打ちをかけるように37km付近の南港大橋の傾斜に差し掛かりさらにキツイ!耳鳴りがして沿道の応援も聞こえなくなる。この臨死体験があるからゴール後の達成感があるんだよな…とわかっていてもキツい。

 フィニッシュラインが見えた時にサブ3.5のカウントダウンアナウンスがかすかに聞こえてきた。そんなことより地獄の苦しみが終わる安堵感の方が大きい。精神的に限界すぎて妻の姿を探す余裕はなし。ごめん!!

ところが妻的にはサブ3.5カウントダウン終了直後に夫の走る姿が見え、目標達成ができない夫が、「可哀そう。うちの夫らしい。ウケる~。」とめちゃくちゃ笑っていたらしい。ひどくない?

 ラスト2.195kmでなんと12分近くかかり、35kmまでのサブ3.5貯金を全て使い果たし100人ぐらいに抜かれてゴール!!グロスタイムで29秒オーバー!!ああああでも自己ベスト!ネットではサブ3.5達成!俺SUGEEEEEEE!!でもKUYASHIIIIIII!!

◆レース総括
 練習量の割に、昨年の福知山マラソンの3時間44分から大幅にパーソナルベストを更新できた理由はおそらく以下3点。

①コースコンディションがよかった⇒天気も気温も丁度よく、高低差もあまりない広い道で走りやすかった。(福知山は小雨でクソ寒かったし田舎道)
②十分な睡眠⇒福知山は弾丸ビジネスホテル遠征で4時間強しか寝ていなかった
③妻の存在⇒心の底から夫のマラソンに興味がなさそうだったので「前回と同じぐらいのタイムでした~。」という結果になった場合、しぶしぶ応援に来てくれるのにしょーもなすぎて可哀そうだと思ったんだよね。前述の『サブ3.5カウントダウン間に合わず劇』で楽しませることができてよかった、よかった。よくねえよ!

 月間150km以上走って、コンディション良ければ次回は確実にグロスでもサブ3.5切れると思うけど、29秒のために再挑戦するのはちょっとめんどくさい。

◆終わりに
 2年連続でレースに出てみて、マラソンの楽しさは十分堪能した。やっぱり完走後の自己肯定感たるや、日常生活ではなかなか味わえない。

 よくランニングを「しんどいもの」と考えて敬遠している人がいるけど、趣味なんだから楽しい、気持ちいいと思うペースで走るべきであって、少なくとも僕の場合、普段のトレーニングの時間で苦痛だと思う瞬間はほとんどない。本当にキツい時は無理せず歩くし、走りたい気分の時しか走らない。あえて追い込むこともあるけど、体育教師や学校に命令されてイヤイヤ走るのとは精神的な辛さは全く別物だ。

 もちろんフルマラソンにおいて最後の10kmぐらいは上に書いた通りキツイんだけど、ちゃんとトレーニングしていればほんの数十分。それ以外の時間はひたすら楽しい。走り出してから20kmぐらいまでは、例えるならフジロック行ってステージ前で踊り叫ぶ20倍ぐらい楽しいかな?僕にとっては。大げさでなく。死ぬほど辛いラストも限界まで追い詰められて本性剥き出しのただの魂のような存在になれるので、ポジティブに考えればレア体験で面白いしね。

 マラソン談義するの好きなので、もっとたくさんの人がチャレンジするようになればいいな。道楽としては金のかからない部類だと思うし、オススメ。完走あるいはサブ4レベルなら学生時代の運動経験有る無しもそんなに関係ないと思うし。持久走はホモサピエンスという動物の基礎潜在能力の一つなので、誰でも練習すれば長距離走れるようになるらしいよ?事前のトレーニングから当日のレースマネジメントも含め、自分の身体使って育成ゲームしてるような感覚で楽しいよ。

 そりゃ東京マラソンの応募倍率が11倍になるぐらいだから。僕が薦めるまでもなく、面白くないわけがないんだよね。

 次は何をしようかな?


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