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哀れなるものたちをみました

原題は「Poor Things」

まずはあらすじとして
近代イギリス、超天才外科医と称される科学者ゴドウィン氏は彼に付き従う医学生のマックスにとある研究の助手をしてほしいと自宅に招く。そこで待っていたベラは自己紹介をするマックスに平手打ちをしたりご機嫌に跳ね回りながらお漏らしをしたりとまるで幼児のような振る舞いをする女性だった。「彼女は脳を損傷したが手術により一命を取り留めた。だがご覧の通り退行してしまったが最近は言葉を覚え進歩していっている。この経過を観察しまとめてほしい(要約)」ゴドウィンがマックスに課した研究はこのようなものだった。
まるで幼児から反抗期や思春期を経て大人になるような回復過程を辿るベラだったが当然家の外に興味を持ちゴドウィンやマックスに外界を知りたいと要求するようになる。ゴドウィンそれに反対し家からは出そうとはせずついにはマックスとベラを結婚させてベラを法的にもマックスとゴドウィンの監視下に置く婚約をさせようとする。がその常軌を逸した婚約を代書させられたダンカンはベラに興味を持ち彼女に駆け落ちを持ちかけベラはそれを受け入れてしまう…
マックスはベラに関する資料を読んでるうちに彼女の身の上を知る。彼女は妊娠したまま橋から身を投げたところをゴドウィン氏に拾われ、ただ蘇生させただけでは芸がないと胎児の脳を母親の頭部に移植してから蘇生させる狂気の実験の産物だったのだ。

なんか時系列ごちゃっとしてるけど以上があらすじ

以下ネタバレありの感想


まず視覚情報として飛び込んでくるシュールレアリズム!狂気!そして音響効果の不協和音!!
視覚面では序盤の白黒から船旅の時の不気味な色彩と造形、パリに着いたあたりで色彩も街並みも歪みないものに落ち着いていくのはきっとベラの精神成長を示唆しているのでしょう。音響効果も同様で最初のピアノ鍵盤をグーで叩く音など彼女が子供のうちは高い音での不協和音が多いのですが彼女の精神が落ち着くにつれて外敵、彼女への好奇心や不安感を煽る低音の不協和音へと変化していきます。
このようにしてこの映画のテーマの一つにベラという人間が彼女の冒険を経てどうやって幼年期を脱するのか、言い換えるとどうやって彼女は大人になるのか、また言い換えると好奇心で行動する彼女はどうやって自らに向く好奇の目に気がつきそして対処していくのか、がテーマにあって、各効果の変化はこれらを表しているのだと思いました。

彼女が劇中のどのタイミングで幼年期から脱したか、私としてはこれがこの映画を観た人たちと語り合ってみたい命題であります。
ちなみに僕はハリーに貧民(Poor)を見せられた時だと思います。

R18指定でエログロドぎつい映画ではありますが最初の1時間くらいを乗り切ればわざとらしく嫌悪感を煽るシーンも減るので苦手な方でもそこまでは我慢です。
個人的にはマーサが出てきてから物語に引き込まれました。
100点満点中83点の映画でした。加点方式です。

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