コント〈時計屋〉

「いらっしゃいませ。『腕』にしますか?それとも『壁』?」

「他には?」

「『置き』なんてのは?」

「つまらんね」

「お求めなら『日』もありますが」

「それはちょっと扱いが難しい。すまん、出過ぎたことを言った」

「いえ、構いませんよ。では『砂』あたりでどうです?」

「うーん砂時計ねぇ、持ってんのよね、1本」

「では、こちら。『塩』です」

「塩?なんだそれ」

「砂時計の中身が塩になってます」

「砂と何か違うの?」

「気分ですかね、『海を想え』」

「うーん」

「ピンときませんか。ではこちら。『胡椒』」

「どうせ砂の代わり、さらに言えば砂の代わりの塩の代わりだろ」

「はい。しかしそれだけではありません。穴もついており調味料としてもちゃんとご利用いただけます」

「、、、、それじゃあ時間狂っちゃうんじゃないか」

「それが狙いです。モットーは『時には人生にスパイスを』」

「『人生』にスパイスは欲しいが『時』にはスパイスを求めとらんよ」

「いえ、『時々』欲しくなるものですよ。またどうぞ!」



#コント #脚本 #寸劇 #超短編小説 #ショートショート

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