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プラスチックフリーは世界標準になっていく。レジ袋の向こうに見るべきもの #PlasticFreeJuly

日本でも2020年7月1日から、レジ袋有料化が始まりました。とてもいい流れだと感動したのですが、反対や疑問の声も出ているようで。

「石油消費やエネルギーの問題から先に取り組むべき」
「他のプラごみの量と比べたら、レジ袋をなくしても誤差レベル」
「ごみ袋としても活用しているから有料になると困る」
「マイバッグが一般化すると万引きしやすくなる」
「政治家が“やってる感”出すために手を付けやすかっただけ」

いろいろな意見があっていいとは思うけど、レジ袋有料化は世界的な流れなのは間違いなくて、先進国でレジ袋規制が何もない国のほうがもう少ない。

日本ではあまり話題になっていませんが、7月は #PlasticFreeJuly (プラスチックフリーJuly)といって、世界で1.2億人が参加するプラスチック削減ムーブメントが起こっている月でもあるんです(実はこの団体の創設者はオーストラリアの人)。

これからプラスチックフリーが世界標準になっていくなかで、日本だけどこに向かうんだろう……。よい機会なので、東京とオーストラリアでのエピソードを交えつつ、プラスチックの話をしたいと思います。

“地下のセブン”がオアシスだった東京会社員時代

個人的な話をします。もともと環境意識が高い方ではありましたが(大学では環境社会学やサステナビリティを学び卒論まで書いた)、最初からプラスチックフリーな生活ができていたわけではありません。

特に社会人になってからの数年間は、そんなことも気にしていられず……。

朝から夜まで仕事漬けの忙しい会社員生活。オフィスビルの地下に入っていたコンビニには毎日のようにお世話になっていました。

朝はプラカップに入ったアイスコーヒーを買って出社。時間がないときのランチは温めるだけのパスタを買い、プラフォークとおしぼりをつけてもらう。あわせてペットボトル飲料やストロー付き飲料、プラパッケージのお菓子も追加。食べたらそれらのゴミをまとめてビニール袋に突っ込み、ろくに分別されていないゴミ箱に捨てていました。

なぜか退職月にエモくなってインスタに載せた“地下のセブン”の陳列(笑)

ふらっと寄れば誰かいて、フロアの違う他部署の同僚と会える場所でもありました。デスクワークに疲れたとき、理不尽なことがあった後、逃げるように向かうのもコンビニで、冬の定時後にもうひと頑張りと買いに行くあたたかいミルクティーは最高だった。

東京の会社員ライフはコンビニ抜きには成り立たなくて、首から社員証をぶらさげたまま行けるコンビニは、オアシスのような存在にすらなっていました。

コンビニが悪いと言いたいわけではなくあの便利さは素晴らしいけど、あまりにもプラスチックが多すぎる。都会にいると自然環境のことを考える余裕はなくて、プラスチック天国に浸かってしまうのも無理はなかったなと、今振り返っても思います。

オーストラリアで体感しているエコ意識の高さ

時は飛び、1年ほど前にオーストラリアにやってきました。SDGsだとかグレタさんの演説だとか、まだそこまで話題になっていない頃です。

オーストラリアには日本ほどコンビニがないのですが、コンビニでもスーパーでも、ビニール袋をもらうことはほとんどありません。

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野菜などはこのようにむき出しが当たり前。レジ袋は有料なので、みんなエコバッグを持っています。

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基本的に量り売り文化なので、ナッツ類などは瓶やケースに入って売られています。細かいところまで脱プラ化が進んでいて、繰り返し使えるプロダクトバッグをスーパーが推してる。私もこれを買ってみました。

驚いたのは、食品だけでなく、雑貨や化粧品や服などもむき出しがデフォルトなこと。ショッピングモールなどでは紙袋に入れてくれたりしますが、小さいお店なら薄い紙でペロッとくるむだけだったり、「そのままでいいよね?」と直に渡され自分のバッグにしまったりします。

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カフェはマイカップ持参の人が多いけど、テイクアウト用カップはこのようにフタまで紙製。プラスチックストローなんてこの国に来てから一度も見たことがありません。プラストローが刺さっていると怒るお客さんがいるから、ふつうに営業していくために紙製ストローの導入は必須らしいです。

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お店でテイクアウトしたりUber Eatsを頼んだりしても、ほぼ100%紙製容器です。プラスチック容器を本当に見かけない……。

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グッズも脱プラが進んでいて、マーケットには蜜蝋ラップ(洗って繰り返し使える布製のラップ)が必ず並んでいて人気商品です。他にもいろんな面白いグッズがある。

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卵パックも紙だし、

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どうしても必要なゴミ捨て用にはコーンのでんぷんからできた植物性のロール式袋が売られているし、

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どうしても必要なラップもdegradable(分解できる)だし。

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お店ではペットボトル飲料も売っているけど、日本のようにどこにでも自販機やコンビニがありません。だからみんなマイボトルを持ち歩いていて、水を汲める場所や機械はいたるところで見かけます。

私自身の生活も、ビニール袋やサランラップだけでなく、ステンレスストロー、バンブー歯ブラシ、マイカップ、エコなキッチンウェアなど、暮らしのなかのあらゆるプラ製アイテムが置き換わりました。

サステナブルでない商品はもうこの国(特にこの地域)では売れないので、アパレルにしてもジュエリーにしても、ちょっとイケてる商品はすべてが地球に配慮しているといっても過言ではないくらいです。サステナビリティはマーケティングにも必須の概念。

これが当たり前になってしまうと、まったく我慢や不便さは感じません。それどころが、逆にプラスチックがないほうが自然のままに快適なので、日本に帰るとかなり苦しさを感じるのです……。

レジ袋規制がある国と地域は世界69ヶ所。プラスチックは世界から消えていく

レジ袋の話に戻ると、オーストラリアに限らず、レジ袋を廃止したり有料化したりするのは世界的な流れになっています。こんな図を見つけました。

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緑:レジ袋の使用禁止
黄:レジ袋の有料化
橙:任意で料金をチャージ
紫:一部有料化または禁止(市町村・地域レベル)
出典:Wikipedia - Phase-out of lightweight plastic bags

Wikipediaからの出典ですが、この図によるとほとんどの先進国で何らかの規制がされていることがわかります。

「プラスチックはなぜ環境に悪いのか」

を説明しようとすると長くなっちゃうなーと思っていたら、素晴らしい記事を発見したので引用させてください。袋だけでなく、容器やストローがなぜダメか、マイクロプラスチックの問題、海洋汚染と気候変動、リサイクル率のことなど、詳しく説明してくれています。

地球環境へのダメージはこちらの記事でよくわかるので、私からは少し違う視点で、もうひとつの事実をお伝えしたいと思います。それは、「プラスチックに溢れた日本のような環境に激しくストレスを感じる人」のほうが、もうわりと世界のマジョリティになっているということです。

私自身もそうなのですが、周りの海外在住者や日本を訪れた外国人は共感してくれることです。「袋いいです」を言う隙もないスピーディな店員さんの対応、避けられぬ過剰包装……。おもてなしの心は素晴らしいけど、何もしていないのに罪悪感を押し付けられてしまうストレスは半端ないのです。

日本のプラスチック消費量は1人あたり年間32kgで、これはアメリカに次ぐ世界第2位です。コロナ後の社会、日本はインバウンド観光客を受け入れたいと思いますが、世界からプラスチックが消えていくなか今のままだと、確実にストレスフルツアーのご提供になってしまう。

プラスチックを理由にお土産を買わないとか、訪れた地域での消費行動が制限されるとか、全然あり得ると思います。気持ち良い体験にならないと再訪してくれないので、観光客数にも影響し、日本経済にとっても打撃です。

他にも、大企業が続々と生産をやめていたりなど、プラスチックフリーな世界になっていく根拠はたくさんあります。レジ袋が有料化しただけで反対の声が出る国なんて日本くらいです。恥ずかしい。

先ほど書いたような都会人生活をしていると気にしづらいし、私自身も日本に帰れば、今ほどエコな生活は難しい。。けど、未来のために視点を上げてみたほうがよさそうです。

コロナも豪雨被害も、元を辿れば気候変動。天災に見せかけた人災です

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森林火災が大地を焼き尽くし、豪雨による洪水が民家を流し、コロナウイルスが蔓延しているこの世界……。

「自然災害は防ぎようがないからしかたない」と言いますが、元を辿れば気候変動に行きつきます。この状況を作っている原因は、自分がこれまで数十年にしてきた行いなのかもしれません。今起こっている悲劇の多くは「天災に見せかけた人災」なんです。

募金や寄付をするのとは別に、本質的な解決に向かわせるには、やっぱり自分の家を自然エネルギーに買えるとか、プラスチック使用量を減らすとか、お肉を食べる量を減らしてみるとか、そういうアクションのほうがいいのかなと思います。

たしかにレジ袋有料化より影響の大きい対策はあるかもしれない。けど、どっちみち最終的にその道に行くなら、先に手をつけやすい部分からやって人々の意識を底上げしていくことには、大きな価値があると私は思いました。早く誰もが「レジ袋はなくて当然」と思えるようになるといいですね。

#PlasticFreeJuly に興味をもった人は、ぜひハッシュタグなどを見てみてください。この記事のシェアも力になります。プラスチック消費について考えるきっかけになりますように!



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