最後に残るものとは from ラーゲリより愛を込めて

おはようございます、わんこふです。
昨日は映画「ラーゲリより愛を込めて」を観ました。

今日の記事にはネタバレも含むのでご注意を。



「ラーゲリより愛を込めて」は富山県出身の作家 辺見じゅんさんの「収容所から来た遺書」という小説が原作となっています。この小説は今回の映画化だけでなく、漫画化、ドラマ化されている名作です。

題名にある「ラーゲリ」というのはソ連での強制収容所を指す言葉です。

そして「ラーゲリより」という言葉からからも分かるように、主人公の山本はシベリア抑留により、終戦したにも関わらずシベリアの強制収容所で労働を強いられます。

シベリアでの労働は過酷なものでした。食料は1日に黒パン一切れとお粥を少しだけ。冬の気温は連日氷点下20度を下回るという有様でした。

そんな中で栄養失調や病により作業中に倒れる者も続出します。身体面だけでなく、精神面に不調をきたし、いきなり逃亡しようと走り出して撃たれて死ぬものも出てきます。

しかも山本は(日本人の)上官やロシア人からも目を付けられ、殴る蹴るなどの暴力はもちろん、倉庫のような場所に監禁されることも多々ありました。

しかし山本は個の尊重、例えば一等兵ではなく名前で呼ぶことや家畜のように扱うのではなく人として扱うようにしてくれという主張を撤回することはありませんでした。いくら痛めつけられても山本は折れません。

そんな山本もついに病の前に倒れます。かなり病状が悪くなかなか回復しません。

ここでラーゲリの仲間たちが座り込みをして労働を拒否し、山本を大きな病院に移すように要求します。山本の信念は仲間たちに伝わり、信頼され、慕われていたのです。

結果的になんとか山本を大きな病院で診てもらうことに成功しますが、なんと山本は末期のガンでした。さぞ無念だったでしょう。
山本は遺書を書きますが、その遺書は抜き打ち検査で見つかり没収されます。

ここで万事休すかと思いきや、実はラーゲリの仲間たちが遺書の内容を暗記しており、その記憶を頼りに山本の家族に遺書を届けに行くのでした。

映画にもあるように、モノ(例えば、遺書)は簡単に没収されるし、外からの評価は手のひらを返したように変わることがあります。例えば、山本の上官は最初のラーゲリでは部下に労働をさせ、自分は指示だけだし、傲慢な態度をとっていました。しかし次に移されたラーゲリでは上官の地位はなくなり、リンチを受けます。

しかし、人との繋がりや頭の中にある知識や思想・信念を奪うことはできません。山本がラーゲリの仲間と築いた繋がりや頭の中にある遺書の内容は何人たりとも没収したり、変えたりすることはできないのです。

これは我々にも当てはまることで、会社内での評価は簡単に変わるかもしれませんが、家族や友達との関係は簡単に変わるものではありません。一文無しになって家や車を奪われることはあるかもしれませんが、これまで蓄積してきた知識や経験、そして信念は誰にも奪うことはできません。

全てを失っても、なお最後まで残るものは何か、考えさせられる映画でした。

以上、わんこふの日記でした🐾

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