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僕らのお財布を握っているのはAppleでなく、コンビニだ!

「しゃけ」「おかか」「ツナマヨ」

そう、おにぎりの具たちです。
呪術廻戦に出てくる人気キャラ、「呪言師」の狗巻棘(いぬまき とげ)の主たるセリフたちでもあります。
よくわかんない人は呪術廻戦をご覧ください。
以下の記事には、もう狗巻君の話は一切出てきませんので、知らなくても大丈夫です。

僕は非常に朝が弱いです。じゃあ夜が強いのかと言われると、齢を重ねるごとに弱くなってきています。昨日は22時に気付いたら寝てました。
最近は昼も弱い気がします。頭があまり回ってない気がしています。
「全時間帯弱いが、しいて言うなら朝が最も弱い」
という状況です。

そんな朝激ヨワ独身おじさんには、朝ごはんをおウチで食べるなんてことは出来ないわけで、もっぱら最寄り駅のコンビニでおにぎりを買って、腹ごしらえをするのが日課になっております。

こんな生活を大体10年以上しているわけですから、やっぱり念能力が鍛えられていたのでしょう。
皆が気づいていない、ある真実に気づいてしまっていたのです。

手刀

コンビニのおにぎりが値上げしていることに!!

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資本主義の世の中だから値上げはしょうがないけど…

新卒時代に税込み100円で買えてたツナマヨ様が、今や115円もかかる!
たった、15円かもしれないけれど、「15%値上げ」と捉えたら破格の値上げです。
これは大変忌々しき事態ですよ。
コンビニエンスストアといえば、我々庶民の「第2の冷蔵庫」と言っても過言ではないほど身近な一般消費財店。
国民の日常生活とズブズブの蜜月関係にあるお店が、値上げているのです。

一方、2021/9/14(米国時間)にiPhone13が発表されました。
この金額が10年で3倍になり、日本国民の月収の6割程度まで跳ね上がったというのがニュースになりました。

この資本主義において、経済成長は必達目標であり、右肩上がりの成長のためにはインフレは必然なわけです。
そりゃコンビニもアップルもあげてきますわ!

でも、iPhoneが3倍になっても餓死はしませんが、コンビニが値上げしている成長幅に我々の収入が追い付かないと命の危険性があります。

そこで、コンビニの客単価を「生活必須ライン」と仮定して、日本人平均給与を比べることで「僕たち私たちの生きる質はどれぐらい改善(改悪)されているか」を調べてみることにしました。

コンビニエンス業界の統計を調べてみた

僕はコンビニのユーザーとしてはライトヘビー級ぐらいの階級であるが、コンビニの中の人としてはバイトもしたことがない超ド素人であります。
各種統計数値を調べるの大変かなーと思いつつ、常日頃から師事しているGoogle師匠に「コンビニ 統計」と雑なワードで検索したら、速攻でそれっぽいのが出てきました。

PDF形式でしかなかったですが、気合でExcelに打ち込みまして、色んなグラフを作って観察してみます。

まずは、売上高と店舗数。

売上と店舗数

売上高は意外と季節変動することが分かります。8月が高くて2月が低い。
確かに夏は暑いので水分補給やアイスを買ったりと、穏やかな気候の時よりも、頻繁にコンビニに行く気がします。
一方、2月は他の月よりも数日少ない(28日、長くても29日)というのもあるし、寒くて外に出たくなかったり、イベントも「節分」程度しかなく、PR出来る商材も巻き寿司と豆、という質素なものなので売り上げが伸びにくいのかもしれません。

売上のピークは2019年の8月の1,003,463百万円です。1兆超えてます。
ただ、コロナの影響で2020年以降は少し売上が伸び悩んでます。外出抑制によりエース8月の「山」が来ないのは業界に結構ダメージを与えているのではないかと推察します。

一方、店舗の方は2018年頃から55,000店後半あたりでほぼ横ばいになっています。日本の人口を1億2千万人とすると、大体2,000人に1店舗あることになります。
我が岡山県には西粟倉村という村がありますが、こちらの人口が1,472名なので、この村に1店舗あるかどうか、という感じです。

続いて、顧客数と客単価を見てみます。

顧客数と客単価

顧客数は売上高と概ね同じような季節変動がみられます。また、夏が多くて、2月は少ないということも同じように見られます。
(日数に寄る部分が多い気がするので、日別のグラフの方がよかったなと後悔してますが、まぁ気にせず行きます。)
やはり2019年夏ごろをピークにこちらも落ち込みが顕著です。
ただ、2020年平均で1カ月当たり13億2514万4千人がコンビニを利用していることになります。
観光客や留学生などを日本国民以外の利用を考慮せず、馬鹿の一つ覚えで日本国民人口で割ると、1カ月あたり全国民が10回程度コンビニに行っているということになります。これはとんでもない回数です。

一方で、単価は少しずつ少しずつ上がっています。特にコロナ影響によるのでしょうか、2019年夏から落ち込んでいる顧客数とは裏腹に、単価は一段高くなってきています。2020年12月には700円をめでたく突破しています。
僕は特に関与してないですし、単価増に向けて努力もしていないのですが、なんだか「見えざる壁」を破ったような気がして、「よくやった!」と褒めたたえたくなってしまいますね。
関係者各位はさぞかし喜ばれたのではないでしょうか(妄想)

コンビニは確実に客単価を上げてきている

季節変動や日数の違い、あるいは「増税前の駆け込み需要」「増税後の閑散期」など時節柄を取り除いて、大きなトレンドとしてみるために、総売上と客単価を12カ月移動平均にしてみます。

移動平均

めちゃくちゃ売り上げ伸びてるし、単価も上がってる!
特に単価はコロナ禍に入ったころから、急上昇し、移動平均でも700円に届きそうです。この12年の間に100円弱も値上がっております。

まとめると
全国民が1カ月当たり約10回利用するお店の
1回あたりの消費量が100円上がってるわけです。

コンビニの客単価を「生活必須ライン」という仮説は
あながち嘘ではない気がしてきました。
この客単価の値上がり率と、色んな給与関連の指標を比べていきます。

平均賃金と最低賃金を時系列にみてみる

平均賃金は厚労省の「令和2年賃金構造基本統計調査」より抜粋します。

最低賃金は地域別に設定されるのですが、コンビニは全国にあるものですので、細かく考えず全国加重平均額を使います。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/

平均賃金と最低賃金

・・・平均賃金伸びてないですね。
グラフにするとよくわかる、「見える化」とはよくいったもののです。日本人の賃金が上がってないよ、とは聞いていましたがここまで上がってないものとは思わなかったです。

一方で、最低賃金は時給を月給に無理やり換算(8時間/日×20日間/月)したので、正しい値とはなりませんが、確実に上昇していることが分かりました。

これだけでも

生活に必要なライン(最低賃金)は上がっているが、庶民が手にする収入は変わっていないので、生活が苦しくなっている

という可能性が目の端に映りますが、見なかったことにします。
気を取り直して、コンビニの客単価と比べてみます。

うそ・・・私の生活苦しすぎ?

コンビニの客単価、平均賃金、最低賃金が2008年と比べてどうなったかをグラフにしてみます。
2008年と対比しているのは「手元にあるデータで揃っているのが2008年~2020年」からだっただけで、何の意図もありません。

比率比較

最も上昇率がよかったのは、最低賃金の+28.3%です。2008年と比べて約3割上昇しています。
次いで、コンビニの客単価です。最後の怒涛の追い上げもあって、+13.3%となりました。
最も悪かったのは平均賃金です。+2.9%です。

生活を維持するためのコストが13%~28%上昇しているにも関わらず、収入は3%程度しか上昇していません。
比率同士を比較したり、足し引きするのはご法度だとは思いますが、このコストと収入の上昇比率差だけみると、国民平均として2008年から比べて1~2割は貧しくなっているように思えます。

単価上昇率だけ給与が上がっていたとしたら

2008年からコンビニ単価と同じ比率だけ、平均給与が上がっていたとすれば、当時と同じ感覚で品物を買えたのでは?との雑な考えから、シミュレーションをしてみます。

単価と給料

2008年に毎月30万円の給与だった人は、2020年時点で毎月34万円ぐらい貰えていれば、コンビニで当時と同じような買い物が出来たはずということになります。

このコンビニ単価理論(仮)を使うと「2008年で500万円貰っていた人は、2020年で567万円もらえていれば生活が維持できている」ともなります。

賃金が上がっても、生活が上がるとは限らない

大事なのは12年で13%上がっていても、12年前の生活を維持できる程度にしかならない、ということです。

人間は欲深いもので、「よりよい生活」をつい願ってしまうのです。
小学生の頃はガリガリ君やチューベットを美味しく食べていたはずなのに、
大学生になったころにはピノや雪見大福を食べるようになり、
大人になったら

「わたしー、アイスはハーゲンダッツって決めてるのー」

のようなクソ生意気なことを言いやがるのです。

しかしながら、12年で13%給与が上がっても、いつまでたってもガリガリ君を食べなければならないのです。
ハーゲンダッツを食べるためには、これを上回る昇給が必要なのです。
ただ、平均的に生きていては、そうならない現状が「平均賃金の成長」を見ると思われます。
もちろん、年齢が上がればこれ以上の昇給がある会社も多いので、一概に「12年後もガリガリ君」のようなことはあまりないかもしれませんが、ハーゲンダッツをおもむろにカゴに入れられる年齢は確実に遅くなっていると思います。

そりゃ若者はお金使えないですわ

日本企業は終身雇用、年功序列の賃金体系です。
「若手のうちは低賃金、使えるようになって偉くなれば高収入だ!」という設計思想があり、新卒の賃金がべらぼうにあがったり、若手の賃金体系が大きく伸びることはなかったように思います。

仮に2008年新卒給与と2020年新卒給与が同じだとしたらどうなるか。
私の所属している組織は地方と言うこともあり、新人事務は約16万円という低めの賃金です。恐らくこれは一切見直しがされていないと思います。
コンビニ単価理論で行くと、2020年時点で約18万円を貰っていないと、2008年当時のような暮らしは出来ないことになります。
いくら2008年とは言え、いくら地方とはいえ、月16万円だと一人で生計立てるのは相当厳しいんですけど、今は物価上昇によって更にきつくなっているのは言うまでもないでしょう。

まとめ

日本は真面目に頑張っても上がり幅が少ないこと、それなのに生活コストは順調にあがってきているようであることが改めて分かりました。
安易に副業や投資をしろという気はないのですが、「今まで通りの平均的日本のサラリーマンを続けているだけでは、そのうちコンビニで買い物することが大きな負担になるのかもしれません。

注記

コンビニに置かれている商品は飲食物、いわゆる「生活用品」がメインであり、「生活に欠かせないもの」として調査しました。
勿論、コンビニスイーツや酒タバコ類などを「贅沢」と言ってしまうことも可能ですし、「ディオやスーパー玉出のような超格安店を使うのが庶民であって、コンビニ自体が贅沢の極み!」というご意見もあるかと思います。
しかしながら、店舗数や売上高、顧客数が示すようにコンビニは特別ではなく、国民が利用する一般的な販売店であり、その中の品物は当然一般的な生活用品であるという見識です。

最も「コンビニは高すぎる!」という感覚は2008年にはなかったと思います。確かにコンビニ各社の努力(PB製品とかコーヒーとか。どれも本当に美味しいし)による単価アップの影響もあるかもしれませんが、それ以上に我々の給与が伸びなさ過ぎて、相対的に低賃金になっているという可能性がかなりあるのではないか、と考えております。

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