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令和5年 初場所まとめ

注目していた力士が昇進したので嬉しかったです。まるで私が昇進したかのような喜びでした。

初日は何度か流血の場面がありました。武器など使っているワケではないのに流血するなんて、相当激しいぶつかり合いなんだなと改めて思いました。流血している人を見ると、いつかの大仁田厚を思い出してしまいます。

霧馬山と玉鷲の一番。軍配が玉鷲に上がりましたが物言いがついて、取り直しとなりました。相撲の勝敗は秒で決まる短いものですが、その一瞬で、ものすごく体力を消耗すると聞きました。玉鷲からしたら、いちど勝ったことも忘れて、もういちどゼロの状態から勝負することになります。今この瞬間を生きるとは、ゼロを生きるということなのかもしれません。そして取り直して勝った玉鷲。すごいです。

今年から会場内の観戦ルールが緩やかになったのか、観客の四股名を叫ぶ声援や地鳴りのような歓声などで会場が賑やかだったように感じました。かと思えば、注目の一番の立ち合いになると、歓声がピタリと止んで恐ろしいくらいの静寂に包まれます。まるで時の止まった真空の世界にいるようです。私もつい息を止めてしまいます。

勝った力士が懸賞金を受けとるときの所作。私もいつか何処かでやってみたいなと思いながら、いつも眺めています。

ひとり大関の貴景勝。6日目、連勝中だった阿炎を引きずり下ろしました。自分の大関人生の誇りにかけて。意地みたいなものを感じました。高尚な意地。素晴らしかったです。胸が苦しくなる程に伝わってきました。

7日目の貴景勝と翆富士。結びの一番に相応しい相撲でした。相撲内容はもう、ほとんどケンカに見えました。殴れないかわりに、とにかく互いの頬を張る。凄まじかったです。互いの体が離れて動きが止まり、数秒にらみ合う場面はゾクゾクします。体は離れているのに目線は外しちゃいけないあの緊迫感。やるか、やられるかという感じです。

たまには闘魂、感情剥き出しの激しい相撲も見応えがあっていいなと思います。翆富士が最後投げ飛ばされました。負けて体に土がついても、その姿は清々しかった。正々堂々とやりきると、負けてもカッコ悪くないんだなと思いました。私も見習いたいです。

宇良は、みんなから応援されていて、観客席からは声援や四股名のプリントされているタオルがよく目立ちます。宇良はなんだか「宇良ちゃん」という感じで、ガリガリ君のソーダ味が似合う顔をしていると思います。

翆富士と錦富士は、存在感がありました。熱戦で会場を沸かせた力士は、翌日の幕の内土俵入りのとき声援が大きいように感じます。「いいぞ!いいぞ!またあの相撲を見せてくれ!」とでも言われているかのようです。

翆富士も錦富士も平幕で何敗していようともガッツのある力士は目立つなと思いました。二人とも“なんかやりそうな顔”
をしています。特に錦富士は相手が誰であっても真っ直ぐに見詰めて視線を逸らしません。その表情は、無のような、冷徹なような、芯は燃えているような、静かな怖さを感じさせます。

13日目の貴景勝と阿武咲の一番。互いの意地がぶつかり合う激しい相撲でした。貴景勝が勝って、今場所、二敗中で単独トップだった阿武咲も三敗になり、貴景勝と並びました。ギリギリまでどうなるのか分からない、誰が優勝するか分からない。こういう一番を観ると「あー、今日の相撲は面白かった!観てよかった」と感じます。

14日目、宝富士が勝ち越しを決めました。勝ち越しするのが久しぶりだったようで、勝ったときの表情が印象的でした。喜びと安心が溢れ出ているような穏やかな表情。宝富士の背景にお花畑が広がっているのが見えました。


【まゆみ山的 三賞】

《顔が怖かったで賞》
大栄翔
毎日気合いが入っていて、いい表情の力士に贈られる賞です。

《腕が長いで賞》
竜電
腕の長い力士に贈られる賞です。

《がんばったで賞》
全力士

貴景勝、貴景勝ファンのみなさま
優勝おめでとうございます!






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